2012年07月03日

●「統一通貨存立の2条件とは何か」(EJ第3335号)

 ユーロは果たして持続可能なのでしょうか。
 ビル・エモットいう人物を知っていますか。『日はまた昇る・
日本のこれからの15年』(草思社)の著者で、英国の高級週刊
誌「エコノミスト」の元編集長です。そのエモット氏は、ユーロ
の崩壊について次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 (ユーロの)崩壊は起こりそうか。答えはノーだ。だが本当に
 怖いのは、崩壊があり得る、と考えられていることだ。ほんの
 1年前には考えられなかったことだ。私のみるところ、ユーロ
 が完全崩壊する可能性は約20%。ヨ一口ッパ各国の問では、
 崩壊を防いで制度を維持しようとする政治的な意思は非常に強
 い。だが、さらなる危機に見舞われる可能性も高い。今後1年
 の問にギリシャがユーロ圏を離脱し、独自通貨に戻る可能性は
 50〜60%。さらに別の国がギリシャに続く可能性は30〜
 40%だ。どちらが起きてもヨーロッパ経済に大打撃を与え、
 不況を悪化させ、長引かせる。  ──ビル・エモット氏論文
              「世界を絶望に導くユーロ恐慌」
     「ニューズウィーク日本版」/2012年7月4日号
―――――――――――――――――――――――――――――
 エモット氏によると、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性は50
〜60%、かなり高い確率であるといえます。これが起きると、
それが導火線になってユーロ崩壊が起きかねないのです。
 もしユーロが崩壊するとどうなるのでしょうか。
 EUは世界最大の経済圏であり、世界の生産高の3分の1を占
め、米国を上回るのです。したがって、ユーロが崩壊すると、世
界最大規模であるヨーロッパの銀行システムの大半が機能不全に
なり、ヨーロッパは新たな大恐慌の時代に入ります。そしてそれ
は確実に世界経済を道連れにし、ヨーロッパ発の世界経済恐慌が
起きる可能性があります。
 もともとユーロという統一共通通貨システムには無理があった
のです。なぜなら、ユーロシステムの導入は、経済的な動機とい
うよりはきわめて政治的な動機で導入されたからです。
 すべては、1989年12月のベルリンの壁の崩壊がきっかけ
だったのです。これにより東西ドイツが再統一を決定したことに
よって、ヨーロッパでは統一ドイツが突出し、ECの伝統的なパ
ワーバランスが崩れる──このように、当時のフランスのフラン
ソワ・ミッテラン大統領は考えたのです。
 当時の西ドイツは、ヨーロッパにおける経済大国の地位を築き
つつあり、その西ドイツと東ドイツが統合すると、領土的にも経
済的にも強国ドイツがヨーロッパに出現することになり、フラン
スとしてはその力を削ぐ必要があると考えたのです。
 そこで、ミッテラン大統領は、当時のヘルムート・コール首相
に対して、統一通貨の速やかな導入を条件としてドイツの再統一
を支持すると持ちかけたのです。通貨統合はドイツの主権を弱め
るとの判断に立っていたのです。つまり、通貨統合は政治的打算
の産物なのです。
 ユーロというシステムが持続可能なのかどうかをチェックする
ために、ユーロの存立条件というものを考えてみます。ユーロ問
題には一家言ある同志社大学大学院の浜矩子教授は、ユーロの存
立条件として、次の2つを上げています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.その域内で経済実態の収斂度が完璧であるなこと
  2.その域内で所得再分配の仕組みが確立されている
―――――――――――――――――――――――――――――
 第1の条件である「経済実態の収斂度が完璧」というのは、ど
ういうことでしょうか。
 それはそのエリア、域内のどこにいっても経済実態が同じとい
うことです。物価水準も、失業率も、賃金水準も、金利も同じで
ある状態をいうのです。
 そんな経済圏はあり得ないですが、仮にそういう状況になれば
通貨は同じで何らかまわないといえます。むしろ、そのような経
済圏で通貨が違うことの方がおかしいのです。
 ひとつの国のなかにあっても、経済実態の収斂度が完璧などと
いうことはあり得ないのです。日本では「円」という統一通貨を
使っていますが、どこに行っても、経済実態の収斂度が完璧では
ないのです。
 それなら、どうして「円」という統一通貨が成り立っているの
でしょうか。それが第2の条件、その域内で所得再分配の仕組み
が確立されているから可能なのです。日本は国中どこでも経済実
態の収斂度は完璧なのかというと、けっしてそうではなく、むし
ろ格差はどんどん拡がっています。
 それでも「円」という統一通貨圏ができているのは、財政とい
う名の中央所得分配装置が機能していたからです。これについて
浜矩子教授は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 中央所得再分配装置が機能してきたから、なんとか円単一通貨
 圏が成り立ってきた。所得移転効果が機能しなくなり、国内の
 地域共同体がみな同じ統一財政基準に従って自己管理しなけれ
 ばならないとなったら、いつまで、日本は円単一通貨圏であり
 続けられるか。そんなに窮屈なことをいうなら、自分たちは自
 分たちで独白の地域通貨をもつことにする。そうした円に対す
 る反乱が起きてもおかしくない。       ──浜矩子著
         「ギリシャ離脱が欠陥通貨にとどめを刺す」
             『Voice』7月(2012年)
―――――――――――――――――――――――――――――
 ユーロ圏は、これら2つの条件をいずれも満たしていないので
す。ユーロ発足時点では域内の経済状態は、完璧な収斂度とは程
遠い状態にあったのです。しかし、政治判断を優先し、ユーロを
見切り発車させたのです。  ―── [欧州危機と日本/64]


≪画像および関連情報≫
 ●ビル・エモット氏へのインタビュー
  ―――――――――――――――――――――――――――
  −−イタリアも日本も政府債務が膨らんでいるが・・・
  「イタリアでは戦後、キリスト教民主党による事実上の一党
  支配、日本でも自民党支配が続き、有権者は政権を選択でき
  なかった。有権者は票の見返りとして政治家に橋や道路、鉄
  道、空港の建設を求めた」。
  −−経済学者のモンティ首相にイタリアの未来がかかってい
  るが・・・
  「英国のサッチャー元首相は、改革に5〜6年を要した。モ
  ンティ氏には1年しか与えられていない。自由化を進め、政
  府債務を減らせれば経済が復活する可能性はあるが、非常に
  難しい。ギリシャ問題が資金調達費用を押し上げている」
  −−日本の野田政権も消費税増税を掲げて財政再建に取り組
  んでいるが・・・
  「モンティ首相のように消費税増税とともに経済成長を実現
  させる経済自由化の両面作戦が必要だ。成長戦略を欠いたま
  までは収支黒字化に失敗するだろう」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120121/erp12012119460004-n2.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

ビル・エモット氏.jpg
ビル・エモット氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州危機 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
以下、内藤朝雄さん(明大・社会学者)のツイッターから。
=転載開始=
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6月23日 内藤朝雄‏@naitoasao
・ttp://twitter.com/#!/naitoasao
【橋下徹の正体】脱原発に関して最初から裏切る予定だった。橋下が前原に託した首相官邸宛てのメッセージが暴露された。「再稼働が決まるまでの間は、脱原発でやらせてもらう」。(『FRIDAY』2012年6月22日号、18ページ、講談社)その後大阪に瓦礫をまいて国政へ。後は野となれ山となれ

@naitoasao 【リツィートしてください】先ほどの橋下徹の「再稼働が決まるまでの間、脱原発でやらせてもらう」のツィート、総力をあげて拡散してください。このFRIDAYの記事が人の命を救います。リツィートを受け取った人にもリツィートをお願いしてください

【橋下徹、大阪市民は放射能で死んでも、瓦礫を受け入れるべし、という内容の発言をする】橋下徹市長の発言についてtogetterでまとめ。多くの人に読んでもらいたい。・ttp://togetter.com/li/263167

橋下徹ツィッター発言(2012/2/24)「世界では自らの命を落としてでも難題に立ち向かわなければならない事態が多数ある。しかし日本では震災直後にあれだけ「頑張ろう日本」「頑張ろう東北」「絆」と叫ばれていたのにがれき処理になったら一斉に拒絶。全ては憲法9条が原因だと思っています」

以下略続きは阿修羅で
>>・ttp://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/168.html

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全国どこの土地でも次回の抗議デモは皆ビデオカメラと(電池と)黄色ハンカチだけ持参で整然と静粛にやろうね(笑)

>>
庭山由紀 ‏@niwayamayuki
@iwakamiyasumi 土曜日カメラが入る前はもっとひどかったと抗議に参加した市民から聞いている。カメラがあったおかげで機動隊は下手なことができなくなった。IWJに感謝。そしてIWJで監視し続けた皆さんに感謝。現実を見ること、監視することって大事なんだなってつくづく思った。
会話を表示
返信 リツイート お気に入りに登録

20時間 岩上安身 ‏@iwakamiyasumi
最前線ゾーンは、外部と遮断された形で孤立させられ、その中で重装備の機動隊が反対派市民に圧力をかけた。もし我々が中継をしていなかったら、目撃者のいない「密室の暴行」になっていたかもしれない。( #iwakamiyasumi live at ・ttp://ustre.am/eOVh)
庭山由紀さんがリツイート
<<
以下略続きは下記で
・ttp://twitter.com/#!/niwayamayuki
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【豊葦原瑞穂の国の大和(大いなる和)魂】

日本人だから黄色いハンカチじゃなく白ハンカチに日の丸赤く染めて持ってったほうがユダ金スパイ官憲暴力除けと日本独立不羈回復して豊葦原瑞穂の国再建の霊験あらたかだな。

うん、ビデオカメラと手作り日の丸ハンカチ持参で整然と結集し常民皆相和して日出ずる国日本人の平和のこころを平常心で全世界に示そう。

これこそが常に地上世界に冠たる「和をもって貴しとなす」日本人民衆伝統の静かなる扶桑革命である。
Posted by 東行系 at 2012年07月03日 08:20
★★★ 「小沢政局」の読み方 ★★★

2012年6月26日の衆議院本会議における消費税の増税法案の採決は、 賛成363票・反対96票・棄権19票で可決され、参議院へ送られた。 密室談合政治である「三党合意」を交わした民主・自民・公明・・・が、消費税の増税に賛成した。一方、民主党内の小沢一郎Gと鳩山由紀夫G、みんなの党、新党きづな・・・が、消費税の増税に反対した。この採決において、消費税の増税に反対した議員たちの主張に深く同感する。 ネット上などで公表されている彼らの主張を読めば、誰であれ、納得できる正論だ。 ここで、別の視点から消費税の増税に反対したい。 ちまたに宣伝されている『消費税は、社会保障費に使う』とか、『国債の暴落を防ぐため』という理由は、建前=フィクションにすぎない。つまり、消費税の増税に向けた「三党合意」を手配したのは、経団連・連合・財務省(官公労)であり、消費税で既に「利益」を得てきた立場にあり、さらなる「利益」を求めて、「民主党政権」(野田内閣)に消費税の増税を進めさせている。これが、増税推進派の本音=リアリティだ。 経団連・連合・財務省(官公労)は、『消費税がもたらした莫大な利益を、もっと大きくしよう』という欲得勘定に溺れて、消費税という『濡れ手に粟』の、麻薬どうぜんの「利益」に酔いしれ、『もっと、もっと欲しい!』と、狂ったように叫んでいる。そして、マスコミも、財務省(官公労)によって、アメ(=広告収入)を与えられつつ、ムチ(=国税査察・検察捜査)で脅されているため、広告スポンサーである経団連・連合・財務省(官公労)が操作する「民主党政権」(野田内閣)の宣伝機関に成り下がり、もはや、国民に真実を伝える「マスコミ」ではなく、国民にウソばかりを宣伝する「ダマスゴミ」になった。ダマスゴミにならなかった新聞社は、嫌がらせの国税査察を受けた中日新聞(=東京新聞)ぐらいだ。 「利益」狂いの経団連・連合・財務省(官公労)の実態ついて、先ず、湖東 京至 元静岡大学教授が指摘しているように、外国人持ち株比率が高い多国籍企業や、日本政府(官公庁)と癒着した東京電力(株)のような大企業から構成される経団連(日本経済団体連合会)は、消費税の還付金制度(優遇税制)によって莫大な利益を得てきた。例えば、トヨタ自動車(株)への2009年度の消費税率5%の還付金は、2106億円だったが、消費税率が今後10%になれば、2倍の4212億円の還付金を得られる計算になる。 日本政府の税収が不足しているのであれば、経団連(大企業)に対する消費税の還付金制度(優遇税制)を止めなければならない。 次に、連合(日本労働組合総連合会)は、日本政府(内閣・財務省)に対して、大企業のみに利益をもたらす直接税(法人税・所得税)の減税を要求し、実際に減税を勝ち取ってきた。つまり、連合は、低所得者ほど重い負担割合になる間接税(消費税)を増税することによって、直接税(法人税・所得税)の減税分と相殺する方針なのだ。連合が、このように、大企業の労働組合員以外の一般国民に間接税(消費税)による過大な税負担を押しつける反面、中小企業の労働組合から成る社保協(中央社会保障推進協議会)などは、連合とは対照的に、間接税(消費税)の増税に強く反対している。日本政府の税収が不足しているのであれば、大企業を優遇する直接税(法人税・所得税)の減税を止め、公平な課税の原則である直接税(法人税・所得税)に対する「累進課税制度」に立ち返らねばならない。最後に、財務省(官公労)に関しては、「天下りなどの行政利権」「許認可権などの既得権益」「特別会計に依存した官僚主導政治」を維持し続ける「財源」として、消費税の増税を推進している。しかし、消費税の増税をする前に、特別会計のムダを無くし、大規模な「公務員制度改革」を行わねばならない。特別会計のムダを放置したまま、「公務員制度改革」を微塵も行わなければ、消費税率を80%に引き上げても、日本政府の税収不足は続く。 以上のごとく、消費税の増税を画策する経団連・連合・財務省(官公労)の動機は、私利私欲が100% =「自己の利益のため」であって、「国家(国民)のため」ではない。消費税の増税は、国家(主権・国民・領土)を疲弊させ、日本経済を完全に破壊する。 さて、消費税の増税に反対する小沢一郎は、中国・韓国とのパイプを通じて、「在日外国人参政権」を推進してきた「売国奴」である。しかも、日本国の行政利権・既得権益を破壊する「壊し屋」でもある。つまり、小沢一郎は、選挙のことしか考えない、無定見な日和見(ひよりみ)主義者だからこそ、在日外国人の票さえも集めようとした。また、選挙を最優先するからこそ、国民感情を常に把握しており、権力闘争に強い「壊し屋」たりうるのだ。 昨今の小沢一郎は、官僚(内閣官房・財務省・検察庁)の職権乱用による「不当裁判」に巻き込まれ、その人格を誹謗中傷した「怪文書」をバラまかれたが、これらの陰湿な人物破壊工作は、行政利権・既得権益にしがみつく経団連・連合・財務省(官公労)に支えられた「民主党政権」が、小沢一郎という「壊し屋」を恐れている証なのだ。 消費税の増税に反対した小沢一郎Gは、めげることなく、反国家的な私利私欲にまみれた「民主党政権」(野田内閣)を内部から破壊し、解散・総選挙へと追い込むべきだ。 この波乱の政局において、自民党の「保守派」の安倍晋三Gと、「上げ潮派」の中川秀直Gは、行政利権・既得権益にしがみつく経団連・連合・財務省(官公労)と協調している自民党の「空気を読めない執行部」と決別して、国家(国民)を中心とする政界再編を実現すべきだ。また、橋下徹大阪市長が率いる「維新の会」は、尖閣諸島の領土保全策を宣言した石原慎太郎都知事、みんなの党、新党きづな、亀井静香G、河村たかし名古屋市長の「減税日本」と連携しながら、その斬新な政治構想を実現してほしい。 かくして、日本国の歴史と文化を愛する国民は、力を合わせて、私利私欲にまみれた拝金主義者と共産主義者から成る、反国家的な「民主党政権」を早急に葬り去るべきである。 政治指導者たる者は、「財源」と「税収」に関して、現行システムの枠内にとらわれて思い悩む必要は無い。なぜなら、戦前のナチス・ドイツや現代の中国における「国家財政制度」を研究すれば理解できる「テーゼ」であるが、 『日銀(中央銀行)を内閣の管理下に置き、国民が国家(主権・領土)のために労働する限り、消費税の廃止を含む、あらゆる無税化を容易に実現しうる』からである。
Posted by 国家とは何かを知る者 at 2012年07月03日 19:52
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