2012年05月11日

●「スーパーマリオ2人とパパデモス」(EJ第3298号)

 総選挙の結果、ギリシャが混迷しています。これまでギリシャ
は、次の2つの政党が連立を組んで政権を支えてきたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.新民主主義党(ND) ・・・・・・・・ 中道右派
  2.全ギリシャ社会主義運動(PASOK)・ 中道左派
―――――――――――――――――――――――――――――
 本来は主張が対立しているNDとPASOKですが、国家破綻
の回避に協力し、辞任したPASOKのパパンドレウ首相に代る
首相としてギリシャ中央銀行総裁でECBの副総裁を務めていた
ル―カス・パパデモス氏を首相に担ぎ出したのです。
 しかし、総選挙においてNDは第一党を確保したものの、PA
SOKは3位となり、過半数を失ってしまったのです。第二党に
は、急進左派連合が入ったのです。これでは連立を組むことは困
難で、NDは組閣を断念したのです。
 パプリアス大統領は急進左派連合に組閣を要請したものの、左
右両極の小党だけでは連立を組むのは困難であるとして断わって
います。こうなると、6月中旬に再選挙を行うしか、方法がなく
なってしまったのです。
 このギリシャと似たようなことをやっているのがイタリアなの
です。昨年の11月にシルビオ・ベルルスコーニ首相が辞任し、
マリオ・モンティ氏が首相に就任したのです。イタリア大統領の
緊急勅令によるものです。この人は国会議員ではなく、学者なの
です。首相に就任すると、14人の閣僚を任命したのですが、全
員が国会議員ではないのです。つまり、選挙で選ばれた人が一人
もいない内閣ができたのです。この国では、大統領の緊急勅令で
そんなことができてしまうのです。
 ところが、このモンティ首相はただ者ではないのです。就任か
ら約6ヵ月の間に、消費税の増税、年金受給年齢の引き上げ、既
得権益に切り込む競争促進策など、痛みを伴う改革を次々と仕上
げているのです。野田政権と大変な違いです。そして現在は、正
社員の解雇条件を緩和する労働市場改革に取り組んでいますが、
さすがにこれには苦労しているようです。
 2012年4月16日付の日本経済新聞「核心」欄「イタリア
に出来るなら」には、このマリオ・モンティ内閣についての作家
・塩野七生氏の評価が掲載されています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 イタリア在住の塩野七生さんが月刊「文芸春秋」の巻頭随筆で
 4回続けてモンティ改革を取り上げた。辛口の作家らしく、最
 初は、有権者ではなく市場に選ばれた内閣で「(税金を)取れ
 るところならばどこからでも取る、という会計士内閣」、と酷
 評していた。ところが3回目には「この3ヵ月間の成果は、一
 言で言えば目ざましいにつきる」「多くの政策が、ハイ次とい
 う感じで実現されている」と手放しに近い好評価に変わった。
    ──2012年4月16日付の日本経済新聞「核心」欄
                 「イタリアに出来るなら」
―――――――――――――――――――――――――――――
 このマリオ・モンティ首相の首相就任は2011年11月のこ
とですが、同じ月にEUの重要職に就任したもうひとりのマリオ
がいるのです。マリオ・ドラギECB総裁です。モンティ首相は
「スーパーマリオ」の異名があるそうですが、2人のマリオの出
現は、スーパー・マリオ・ブラザーズそのものです。
 副島隆彦氏の情報によると、この2人のマリオとギリシャのパ
パデモス氏の3人は、いずれも後ろに米国の影が指している人物
のようです。その経歴を見ると、歴然としています。
―――――――――――――――――――――――――――――
   マリオ・モンティ ・・・ 米イエール大学に留学
    マリオ・ドラギ ・・・ MITで経済学博士号
      パパデモス ・・・ MITで経済学博士号
―――――――――――――――――――――――――――――
 マリオ・モンティ氏は親米派で、日米欧三極委員会のヨーロッ
パ委員長を務め、ゴールドマン・サックス社の国際的顧問も務め
ている親米派です。
 マリオ・ドラギ氏は、MIT──マサチューセッツ工科大学で
経済学の博士号を取り、2002年〜2005年まで、ゴールド
マン・サックス社の国際部門の副会長など役職に就いています。
 パパデモス氏は、ドラギ氏と同様にMITで経済学の博士号を
取り、コロンビア大学教授を経てギリシャ銀行総裁を務めている
のです。
 この2人のマリオは、ゴールドマン・サックスに深く関与して
います。ギリシャがユーロに加盟するときの粉飾のデリバティブ
に関わったのがゴールドマン・サックスなのです。朝倉慶氏はこ
れについて、自著で次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 元々ギリシアのユーロ加盟はギリシアの国家財政の粉飾決算に
 よる賜物だったのです。財政赤字をデリバティブ取引でごまか
 し、ユーロ加盟という権利を得ました。この時使った手法は、
 いまオリンパスで問題になっている飛ばしの手法そのものだっ
 たのです。ギリシアの借金を、為替のレート操作によって一時
 的にゴールドマン・サックスに付け替えたわけです。まさに飛
 ばしたのです。これには裏契約があって、その後ギリシアの中
 央銀行がゴールドマン・サックスからこのデリバティブ商品を
 引き受けるということでした。そして、この取引を遂行し、ま
 とめてきたのが当時ギリシアの中央銀行総裁だったこのパパデ
 モス新首相なのです。      ──朝倉慶著/徳間書店刊
     『もうこれは世界大恐慌/超インフレ時代に備えよ』
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように、欧州危機には、米国財務省と2人のマリオ、そし
て、ギリシャのパパデモス首相の親米トリオが深く関わっている
のです。           ── [欧州危機と日本/27]


≪画像および関連情報≫
 ●「日米欧三極委員会」とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  日米欧三極委員会とは日本・北米・ヨーロッパなどからの参
  加者が会談する私的組織であり、民間における非営利の政策
  協議グループである。現在の正式な日本語名称は「三極委員
  会」。1973年にデイビッド・ロックフェラー、ズグネフ
  ・ブレジンスキーらの働きにより、「日米欧委員会」として
  発足した。日本・北米・ヨーロッパに設けられた三つの委員
  会によって総会が運営される。参加国は委員会の規定では、
  「先進工業民主主義国」とされている。三極委員会の目的は
  先進国共通の国内・国際問題等について共同研究及び討議を
  行い、政府及び民間の指導者に政策提言を行うことである。
  欧州では90年代中頃に中欧諸国から、北米では2000年
  ににメキシコから参加者があり、2000年以降にアジア太
  平洋地域の参加国が拡大されることから、日本委員会はアジ
  ア太平洋委員会となった。それにともない日本語名称は「日
  米欧委員会」から「三極委員会」に改称された。
                    ──ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

イタリア/マリオ・モンティ首相.jpg
イタリア/マリオ・モンティ首相
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 欧州危機 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

ゴールドマン・サックスの社員が美人ばかりな件 頭もいいし完璧だな
Excerpt: 1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2012/10/09(火) 13:24:36.60 ID:tbZNdLlj0● ?BRZ(10050)
Weblog: 【2ch】ニュース速報嫌儲版
Tracked: 2012-10-09 18:02