るEFSFとEFSM──これらはユーロにおいて起こる、あら
ゆる事態を想定して作られたものとはとても思えないのです。
まず、EFSFから考えてみます。EFSFとは、次の言葉の
略記です。
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EFSF/欧州金融安定ファシリティ
European Financial Stability Facility
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EFSFの対象は、EUのうちのユーロ導入17ヶ国です。E
FSF債を発行して4400億ユーロ(約45兆円)の資金を調
達するのです。EFSF債にはユーロ圏各国政府の保証が付いて
いるので、主要格付け会社からトリプルAの格付けを獲得してい
ます。債券発行額の120%をユーロ圏各国で分担保証すること
になっています。主要国の保証比率は次の通りです。
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ドイツ ・・・・ 27%
フランス ・・・・ 20%
イタリア ・・・・ 18%
スペイン ・・・・ 12%
その他国 ・・・・ 77%
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金融危機が起こったとき、対象国につなぎ融資をしたり、その
国の国債を購入したり、危ない金融機関に資本注入したりするの
です。しかし、高い保証割合を担う国の中にPIIGSのIであ
るイタリアとスペインが入っているのです。
浜矩子氏は、このEFSFの後の2文字「SF」は、サイエン
ス・フィクションと読めるとして、次のようにEFSFについて
述べています。
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このやり方が全くSF的だと思うのである。なぜなら、保証責
任を負えば、その分各国の財政負担は増えることになる。この
仕組みには、ユーロ圏の全ての国々が参加している。つまり、
当のPIIGS諸国も財政負担増にコミットしているわけであ
る。さすがに、支援融資を受けている間は、保証責任の履行を
求められることはない。したがって、目下、実際にEFSF融
資の対象となっているポルトガルとアイルランド、そしてEF
SFとは別枠ながら支援を受け入れているギリシャは実質的な
負担を免れている。だが、枠組みには参加しているわけである
から、支援対象からはずれれば財政負担が強まることになる。
──浜矩子著/朝日新聞出版
「EUメルトダウン/欧州発 世界がなくなる日」
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要するにこの救済システムは現実離れしているというのです。
EFSFは、財政難に陥った国を救済するために、ユーロ圏全体
として大きな財政負担を負うシステムなのです。しかもその制度
は、2013年6月までの期限付きなのです。
続いて、EFSMについて考えます。EFSMは、次の言葉の
略語なのです。
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EFSM/欧州金融安定メカニズム
European Financial Stabilisation Mechanism
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EFSMがEFSFと違うのは、EFSFの対象国がユーロ圏
17ヶ国に限られるのに対し、EFSMの対象国はEU27ヶ国
である点です。資金は、EFSFと同様に債券を発行して集め、
EUの政府予算で保証します。融資枠は600億ユーロ(約6兆
円)と少なく、主要国の保証割合は次の通りです。
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ドイツ ・・・・ 20%
フランス ・・・・ 18%
イタリア ・・・・ 14%
イギリス ・・・・ 11%(非ユーロ圏)
スペイン ・・・・ 10%
その他国 ・・・・ 73%
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EU27ヶ国が対象ですから、イギリスは非ユーロ圏ですが、
11%の負担を負っています。しかし、融資条件が極めて厳しく
条件をクリアするのは至難の業です。
浜矩子氏は、EFSFと同じようにEFSMの後の2文字「S
M」は、スアサイド・モーション(自殺)であるとして、次のよ
うに述べています。
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なぜ、そこに自殺行為性を見出すのか。この場合も、問題は資
金調達方式にある。EFSMを所管しているのが、欧州委員会
である。欧州委員会はEUの行政組織だ。日本でいえば、省庁
に相当する。この欧州委貞会が差配して債券を発行し、民間金
融機関などから資金供与を受ける。こうして調達した資金を、
欧州委員会が救済を要する国々に再融資するわけだ。そして、
資金受け入れ国が債務返済難に陥った時は、その返済をEU予
算の中から肩代わりする。要は、EU予算による保証付きの融
資だということである。 ──浜矩子著/朝日新聞出版
「EUメルトダウン/欧州発 世界がなくなる日」
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現在EU財政は厳しい状況、もっとストレートにいえば、火の
車なのです。このような状況で不確定性の多い財政の負担増を負
うのは大きなリスクであり、浜矩子氏はこれを「自殺行為」だと
いっているのです。しかし、現在の危機を乗り越えるにはもうひ
とつの仕組みが必要なのです。 ── [欧州危機と日本/21]
≪画像および関連情報≫
●単一通貨「円」窮地に/浜矩子氏
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ユーロ圏のドタバタ悲喜劇をみながらふと思うことがある。
日本経済は、単一通貨圏である。その単一通貨は円である。
日本経済は、いつまで円単一通貨圏であり続けられるだろう
か。ある領域が単一通貨圏として安定的に存続できるために
は、条件がある。二つの条件だ。そのうちのいずれか一つが
満たされていなければ、その領域は単一通貨圏とは成り得な
い。条件その一が経済実態の完全収斂(しゅうれん)。その
二が中央所得再分配装置の存在だ。その一からみていこう。
経済実態が完全に収斂しているとは、どういうことか。要は
そのエリアの津々浦々、どこに行っても、経済実態が完璧に
同じだということである。どこに行っても物価水準は同じ。
失業率も同じ。賃金水準も同じ。金利も同じ。このような状
態であれば、そのエリアの中に複数の通貨が存在することに
は、意味がない。たとえ、その領域の中に多数の国々が含ま
れていたとしても、経済実態が同じだということは、すなわ
ち、それら各国の購買力が皆同じだということだ。A国とB
国との間で購買力が同じなら、A国の通貨とB国の通貨は1
対1の関係にある。1対1の関係で交換可能な二つの通貨な
ら、それらを一つの共通通貨、すなわち単一通貨に置き換え
ることに、何ら問題はない。
http://now2chblog.blog55.fc2.com/blog-entry-2347.html
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浜 矩子教授



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