しょうか。
昨日のEJで述べたように、アイルランドのGDPは約23兆
2千億円。これに対して対外負債は約191兆3千億円もあるの
です。GDPの8.2 倍ということになります。2011年の時
点では、それがGDPの11.7 倍の規模に達していたのです。
日本に置き直すと、5000兆円の対外負債がある計算になりま
す。ちなみに日本は、2011年6月現在で、海外の国に対し、
260兆3780億円の巨大な対外資産を有する世界最大の債権
国なのです。
2008年10月にアイスランドが破綻しましたが、そのとき
もGDPの10倍規模の対外負債を抱えていたのです。したがっ
て、アイルランドの11.7 倍の対外負債は、破綻といってもよ
いほどの規模になります。しかし、アイルランド人はギリシャ人
と違い、この巨額な負債に真摯に向き合う勤勉さを持つ国民であ
り、着実に成果を上げています。ユーロに残りたいからです。
不動産バブルが崩壊すると、銀行の不良債権が増加します。バ
ランスシートの借方の資産が毀損しているのに、貸方の負債は消
えないで残っているからです。この結果、銀行は機能不全状態に
陥り、そのままに放置すると、資本主義の根本である信用創造の
プロセスが崩壊してしまいます。
したがって、金融システムの崩壊を防ぐために、アイルランド
政府は銀行に巨額の資金を注入し、信用創造のプロセスを守ろう
としたのです。このアイルランド政府の措置は、バブル崩壊後の
日本でも同じことをやっており、正しい対応です。
2010年10月の時点でアイルランド政府は、330億ユー
ロ(約4兆円)の公的資金を銀行に投入していますが、その時点
のアイルランドのGDPは2278億ユーロ(約20兆円)しか
なかったので、その20%に該当する巨額の資金を銀行や住宅貯
蓄組合に投入したのです。
しかし、これだけの金額では済まなかったのです。アイルラン
ド政府は、2009年1月に国有化したアングロ・アイリッシュ
銀行の追加資本の注入で、最大で500億ユーロ(約5兆660
0億円)が必要になっていたからです。
アイルランド政府は、国有化したアングロ・アイリッシュ銀行
を預金業務を引き継ぐ「グッドバンク」と、不良債権を引き受け
る「バッドバンク」に分割する方針で臨んでいます。
アイルランド政府は、これらの銀行の処理コストを、IMF、
EU、ECBから資金援助を受けて実施したのです。その結果、
アイルランド政府の支出額は、1000億ユーロ近くにまで跳ね
上がったのです。そのため、2010年度における財政赤字が対
GDP比で実に32%という想像を絶する数字になってしまった
というわけです。
ちなみに、アイルランドでは、2011年2月25日の総選挙
で、それまでの与党フィアナ・フォイルが敗北し、フィナ・ゲー
ル代表のエンダ・ケニー氏が首相を務めています。しかし、現政
権の着実な政策によって、現在も続いている銀行処理によって、
アイルランドは少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるようです。
しかし、金額が巨額であるため、現在も綱渡りの状態が続いて
いるようです。ごく最近の状況を伝える2012年3月23日付
の「朝日新聞デジタル」の記事を以下にまとめます。
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「アイルランド、長期債発行案をECB」
2012年3月23日付「朝日新聞デジタル」
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201203230005.html
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アイルランド政府は、銀行処理の資金をIMF、EU、ECB
から約束手形を発行して300億ユーロの資金を調達したのです
が、その返済をめぐって、同国のケニー首相が、現金による返済
ではなく、長期債を発行して返済する提案を欧州中央銀行(EC
B)に提出することを明らかにしたのです。
具体的には、2025年償還債を発行する案をECBと交渉し
ているということです。長期債を発行するにあたっては、ECB
の支持を得ることが不可欠であるからです。それにしても「20
25年債」とは!?これは永久債です。
しかし、ECBはこの提案に難色を示しており、ECBとして
は、より金利の低い欧州金融安定ファシリティー(EFSF)融
資への乗り替えなどが好ましいと考えているようです。なぜなら
約束手形の現在の金利は8.2 %であり、EFSFの融資プログ
ラムの金利は平均で4%未満と低いからです。いずれにしても、
その返済が相当の重荷になっていることは確かです。
2010年度における財政赤字が対GDP比で32%──マー
ストリヒト条約が定めた枠の10倍にもなると、普通の独自通貨
国であれば、対外負債返済リスクが高まるので、通貨は暴落しま
す。もちろんこれによって、デフォルトの危険性は増大しますが
通貨下落による輸出競争力が増加するので、それによって経常収
支の黒字化への道も開けるのです。だから、通貨下落は「ボーナ
ス」といわれるのです。
2008年に破綻したアイスランドは、ユーロに加盟しておら
ず、独自通貨のクローネを有しています。したがって、アイスラ
ンドが破綻すると、クローネは暴落して約半分になったのです。
しかし、これによって、アイスランドの輸出競争力は急回復し、
現在では経常収支が黒字になっているのです。かつての韓国の急
回復と同じです。
しかし、ユーロ加盟国のアイルランドは通貨の暴落はないので
す。確かにECBは積極的にギリシャやアイルランドの国債を購
入して金利高騰を抑えようと努力していますが、「ボーナス」の
ないアイルランドは増税で国民からユーロを絞り取るなどの緊縮
政策を取るしかないのです。 ── [欧州危機と日本/14]
≪画像および関連情報≫
●アイスランド経済V字回復!
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欧州債務危機で単一通貨ユーロ圏の国債格下げが相次ぐ中、
2008年の世界金融危機で、金融システムが完全に崩壊し
た。人口32万の島国アイスランドの格付けが「投資適格」
に引き上げられるなど回復が顕著になってきた。民間銀行の
海外債務を政府が肩代わりせずに大半を踏み倒し、金融危機
ではアキレス腱(けん)になった小さな通貨アイスランド・
クローナが切り下げられ、輸出ドライブがかかったためだ。
17日、欧州系格付け会社フィッチ・レーティングスは同国
の外貨建て国債の長期信用格付けを投資不適格の「ダブルB
プラス」から投資適格の「トリプルBマイナス」に1段階引
き上げた。昨年8月に国際通貨基金(IMF)の支援プログ
ラムも終了、「金融・通貨危機以来、同国は構造改革を進め
信用回復に努めてきた」と評価され、「投資不適格」のギリ
シャとは大きな違いを見せた。政府債務は昨年、国内総生産
(GDP)の100%に達したが、基礎的財政収支は今年黒
字化すると予想されるなどトンネルは脱した。昨年の経済成
長率は2.9%、今年も2.4%成長が期待され、来年には
経常収支赤字が解消される。
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1329592244/
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エンダ・ケニー/アイルランド首相


