2012年04月16日

●「アイルランドには悲惨な歴史がある」(EJ第3282号)

 アイルランドがユーロに加盟した結果、何が起こったのかにつ
いて考えていくことにします。なぜなら、ユーロ危機で最初にギ
ブアップするのはアイルランドではないかとみられているからで
す。しかし、アイルランド危機についてさらに言及する前に、ア
イルランドがなぜ「ケルンの虎」と呼ばれるようになったかにつ
いて、その歴史を少し振り返ってみる必要があります。
 アイルランドの人口は現在約458万人です。しかし、かつて
その人口は800万人を超えていたときがあったのです。それが
どうして半分近くに減ってしまったかというと、その原因は19
世紀にヨーロッパで起こったジャガイモ飢饉にあるのです。ジャ
ガイモが疫病により不作になったことによって起こった食糧危機
です。当時ジャガイモはアイルランドの主要食物になっていたの
で、アイルランド人の死活問題になったのです。
 しかし、単なるジャガイモの不作が一国の人口減少を起こすほ
どの飢饉にまで拡大したのは、それに対してとられた国の政策の
まずさと英国の冷たい対応にあったのです。
 当時グレートブリテン(英国)とアイルランドの連合王国が成
立しており、アイルランド島は全土がロンドンの連合王国政府お
よ連合王国議会による直接的な統治下に置かれていたのです。こ
れは公式にアイルランドが英国の植民地になったことを意味して
いるのです。
 当然アイルランドでは、独立運動のための組織が数多く誕生し
たのです。そして1858年には武闘派集団──IRBが誕生す
るにいたるのです。これにアングロサクソンの英国人とケルト人
という人種問題、プロテスタント(英国)とカトリック(アイル
ランド)という宗教問題が加わり、泥沼の闘争が続くのです。
 ジャガイモの不作は1845年から49年の4年間も続いたの
ですが、ヨーロッパの他の地域では在地の貴族や地主が救済活動
を行ったのです。しかし、アイルランドの貴族や地主はほとんど
がブリテン島に住んでおり、自らの地代収入を心配するあまり、
アイルランドの食料輸出禁止に反対するなどして、多くの餓死者
が出ているにもかかわらず、食料がアイルランドから輸出される
という悲惨な状態が続いのです。
 しかも、連合王国政府、すなわち英国も、緊急に救済食料を他
から調達して飢えて苦しんでいる人々に直接食料を配給すること
を予算の関係などから躊躇し、調達した食料を安値で売るなどの
間接的救済策しかとらなかったのです。そのため、アイルランド
では、多くの人が餓死や病気で死んでいったのです。
 アイルランドの飢饉に詳しいセシル・ウッドハム=スミス氏は
当時の悲惨な状況について次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 飢餓でアイルランドの人々が死んでいっている時に、大量の食
 物がアイルランドからイングランドに輸出されていたという疑
 いようのないこの事実ほど、激しい怒りをかき立て、この2つ
 の国(イングランドとアイルランド)の間に憎悪の関係を生ん
 だものはない。  "The Great Hunger; Ireland 1845-1849"
                    ──ウィキペディア
―――――――――――――――――――――――――――――
 その結果、最終的に人口の少なくとも20%が餓死および病死
で減少し、10%から20%が国外へ脱出しています。また、こ
れにより婚姻や出産が激減し、最終的にはアイルランド島の総人
口が最盛期の半分にまで落ち込んでしまったのです。アイルラン
ドにはこういう悲惨な歴史があるのです。
 国外に脱出したアイルランド人の多くが住み着いた先は、米国
のボストンです。彼らは底辺部から出発して、次第にアイルラン
ド系はボストンの市政を牛耳るようになっていったのです。
 ちなみに、アイルランド系として初のボストン市長になったの
はフィッツジェラルドなる人物だったのですが、その娘はジョゼ
フ・ケネディという青年実業家と結婚し、やがて、その娘はジョ
ン・フィッツジェラルド・ケネディなる男子を産んだのです。い
うまでもなく後の合衆国大統領です。
 1913年になると、北アイルランドのアルスター地方で、プ
ロテスタントを守るアルスター義勇軍が設立されると、それに対
抗するアイルランド共和軍(IRA)が結成され、宗教を背景と
する闘争が激しさを増していったのです。
 このアイルランド共和軍は、当初アイルランド政府公認の軍隊
だったのですが、1924年以降はその存在は非合法となり、英
国からテロ組織として対立を強めることになります。
 このようにアイルランド人にとって英国は敵であり、とくにか
つてのジャガイモ飢饉のさい冷たい態度をとった英国に対して強
い敵意を持っているのです。英国もアイルランドを敵視し、その
関係は深刻なものであったのです。
 一方米国にとってアイルランドは英国と同様に英語を使う国で
あり、米国内のアイリッシュ系の支えもあって多くの米企業が進
出し、経済において目覚ましい発展を遂げるのです。そして今や
米国にとってアイルランドはEU進出の窓口として欠かせない存
在になっているのです。アイルランドが「ケルトの虎」といわれ
るのはこういうところから来ているのです。
 懸案の北アイルランドを巡る英国との紛争は、1994年から
英国との協議がはじまり、現在は沈静化にいたっています。これ
を受けて、1997年に当時の英国のトニー・ブレア首相は、ア
イルランドで開催された追悼集会において、1万5千人の群衆を
前に、飢饉当時の英国政府の責任を認め、謝罪の手紙を読み上げ
ています。これはアイルランド人に対する英国政府の要人からの
初めての謝罪であったのです。
 アイルランドは現在苦境に立っています。しかし、このような
経緯があることから考えて、何とか問題を解決するとみられてい
ますが、状況は予断を許さないのです。明日からその問題につい
て述べていくことにします。  ── [欧州危機と日本/11]


≪画像および関連情報≫
 ●アイルランド紛争の歴史
  ―――――――――――――――――――――――――――
  数多くの戦乱があった20世紀の歴史、そんな中、世紀の初
  めから最後まで戦乱が続いた数少ない地域。それがアイルラ
  ンド、中でも北アイルランドです。ただし、アイルランドは
  その100年の間に戦乱の歴史に終止符を打つことができま
  した。(もちろん、再び紛争が繰り返す可能性が消えたわけ
  ではありませんが・・・)それは解決不能といわれる世界各
  地の紛争の中で数少ない快挙でした。テロリズムによる混乱
  が続く21世紀、北アイルランド紛争の歴史を振り返ること
  は、非常に重要な気がします。アイルランドとイギリスの関
  係は、日本と韓国の関係に近いものがあります。アイルラン
  ドは、遥かな昔からイギリスからの侵略を受け、何度となく
  戦ってきました。元々アイルランドはケルト民族の国である
  のに対して、イギリス(正確にはイングランド)がアングロ
  ・サクソン、アングロ・ノルマンの国であり、民族がことな
  る国でした。さらに、宗教改革以降、イギリスがプロテスタ
  ントの国になったのに対し、アイルランドはカトリックの国
  にとどまったことから、二つの国は宗教的に対立する運命と
  なります。そんな中、イギリスは世界一の海軍を持ったこと
  で一躍世界一豊かな国となり、その隣のアイルランドはその
  植民地になってしまいます。そして、その植民地がイギリス
  から独立をする際にイギリスの一部として残ったのが、北ア
  イルランドでした。なぜ北アイルランドは、イギリス領とし
  ての道を選んだのか?ここから北アイルランド紛争の長い長
  い歴史が始まることになります。
        http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/ireland.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

アイルランドに謝罪したブレア元首相.jpg
アイルランドに謝罪したブレア元首相
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州危機 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
野田政権である間にどんな政策が可決されても日米地位協定をさえ破棄してしまえば新しい政権ですべてチャラにできます。たとえ憲法9条改正案が可決されていても、国民が日米地位協定を自分の手で破棄すればすぐに改正そのものを新政権で取り消しできます。TPPでも消費税でも脱原発でも所詮内政問題ですから。端的に言って今の棄民テロ政府構成員を全員投獄すればそれで片付きます。

ただし、地位協定を破棄する前に他国と戦争を始めてしまったらもう取り返しがつかないでしょう。他国との開戦は間違いなく日本と日本人を滅亡させます。いったんどこかと開戦すればかつて世界に宣言した平和憲法に自分から背いたテロ国家として世界中から孤立し、すべての国から集中的に一斉反撃を加えられてあっという間に全滅します。国土と国民を軍事攻撃から防御するどんな努力も役に立ちません。無条件降伏を申し出てももはやどんな言い訳も信用されない嘘つき民族として受け入れられず無条件で殲滅されるでしょう。かつてアメリカが孤立した島国であるゆえに原爆を投下した日本ですから、各国が核ミサイルを今更撃ち込んで列島ごと滅亡させても他国は誰も困らないのです。そればかりか日本列島を日本人に管理させておくと原発が次々に爆発して世界中に放射能の雨が降るので、日本が戦争を始めたらアメリカや中国に頼んで大地震で列島ごと海底に葬り去るという解決策をとるでしょう。アメリカはほいほい喜んで地震兵器の威力を世界中に示威し軍事的優位を誇示するために、日本列島をHAARPで文字通り沈没させるでしょうね。

もし私がユダ金だったら、以上の見通しの下に長期戦略を建てておき、米政翼賛会や野田スパイ政府に日本の内政を混乱させている隙に、現存の地位協定を利用して在日米軍の機能を強化しつつ自衛隊を米軍の海外侵略戦争に参加させて日本人を戦場に送り出し、日本国そのものを現実の戦争に引きずりこむことに全力を挙げるでしょう。

これが、私が「地位協定破棄」という国家独立の成否がかかった外交問題こそがすべての内政問題に優先する日本の存続と日本人の生存を決する最大緊急事項であるとする理由です。

南スーダンの自衛隊員は直ちに武装解除して難民としてロシア軍駐屯地へ逃げ込み身一つで日本へ帰国してください。あるいはロシア大使館へ駆け込むとよいでしょう。

日本人として日本国憲法第9条にまっこうから背く、国際紛争を武力で解決する戦闘行為に、ユダ金の思惑通りに南スーダンの紛争危険地帯でまさに関わってしまうその前に。

われわれ本国内の日本人は国民自身の手で日米地位協定を破棄して日本人のふるさと日本列島をユダ金の魔手から必ずや守り抜きますから。

第9条を墨守する国際間紛争解決手段としての対外武力行使の自発的禁止こそが、日本を守る最強の自衛外交政策である。

世界に比類無き日本国憲法の「第9条がすべてを守る」のである。

ゆえにまさに第9条を否定し集団自衛権行使を是とする大阪市長たちを、私はまさに日本国を破壊し国民を棄民する亡国勢力であると断定する。
Posted by 東行系 at 2012年04月16日 03:39
公明党創価学会に破防法を適用すればすべて解決する。オウム真理教と同じ憲法違反のカルトテロ組織だからね。
そして国会が終われば国会議員の不逮捕特権は消滅するから、創価学会および電通から賄賂をもらって見返りに破防法逃れの便宜供与した国会議員を全員逮捕すればよい。それらすべてに官僚が関わっているから霞ヶ関も全員共犯全員逮捕で一件落着。

かくてゴミ掃除が済んだあとの新国会冒頭で最初に地位協定を破棄する。米軍はアメリカへ帰れ。

じつに簡単なことである、『破防法発動』。テロリスト相手には一切交渉無用、がテロとの戦いの絶対原則だからね。
Posted by 東行系 at 2012年04月16日 23:12
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