2006年10月30日

フリーメーソンの通過儀礼とは何か(EJ1951号)

 『魔笛』をさらに分析するために、フリーメーソンの通過儀礼
について詳しく調べてみる必要があります。既に述べているよう
に、フリーメーソンには次の3つの位階があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
          第1位階  徒 弟
          第2位階  職 人
          第3位階  親 方
―――――――――――――――――――――――――――――
 モーツァルトはもちろん、第3位階までをクリアしていること
は既に述べました。各位階ごとに通過儀礼の内容は違うのですが
第3位階の通過儀礼において、その位階への志願者はこれまでの
位階とは異なる役割を演ずることになります。その役割とは「ヒ
ラム・アビブ」なのです。なお、フリーメーソンについての詳細
は、私のブログの「秘密結社の謎と真相」(56回)をお読みく
ださい。ブログのアドレスは次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
     http://electronic-journal.seesaa.net/
―――――――――――――――――――――――――――――
 フリーメーソンのロッジには、儀礼を執り行うために次の3人
の役職者がいるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.ワーシップフル・マスター ・・・  儀礼総括責任者
 2.シニア ・ウォーデン   ・・・   儀礼の役職者
 3.ジュニア・ウォーデン   ・・・   儀礼の役職者
―――――――――――――――――――――――――――――
 儀礼は真っ暗な闇の中ではじまるのです。東のワーシップフル
・マスターの前にある蝋燭の光だけが見えます。そして、志願者
はこの位階の目的が「死」そのものであることを告げられます。
 最初に、これまでの2つの位階――徒弟と職人の儀礼について
ワーシップフル・マスターから次の要約が読み上げられます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 第1階級においては、神、隣人、そしてわれわれ自身に対する
 責務を教えられた。第2階級では、人間の学問の秘儀に参与し
 創造主の作業を分析し、その善き性質と偉大さを跡付けた。第
 3階級では、それらすべてを固めねばならない。・・・人類を
 友愛の絆で固め・・・死の暗闇の後に・・正義の復活がある。
 そのとき、塵の中にまどろんでいた死すべき肉体は目覚め、そ
 の同胞とつながり、不死を身に纏う・・・
 ――クリストファ・ナイト/ロバート・ロマス著/松田和也訳
               『封印のイエス』より。学研刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 ヒラム・アビフというのは、フリーメーソンの創始者といわれ
ている人物ですが、彼は3人の男によって殺されたという伝承が
あります。第3位階の志願者は、そのヒラム・アビフ自身を演ず
ることが求められるのです。
 まず、志願者は右の額を軽く一撃され、左膝を地面につくよう
指示されます。ヒラム・アビフは、第1の悪漢が武器として持つ
定規で、右の頬を激しく一撃されたのです。そして、次のような
ワーシップフル・マスターによる語りが入ります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・・・彼は立ち上がり、西の門に走った。そこに第2の悪漢が
 いた。・・・これに対しても、同じように決然と、同じ答えを
 返した。コンパスを持っていた悪漢は、これでマスターの左の
 頬を激しく打った。マスターは右の膝をもって大地に跪いた。
              ――ナイト/ロマスの前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 志願者はここで左の頬を軽く叩かれ、右膝を地面につくよう指
示されます。そして語りが続けられます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・・・われらがマスターは、血を流し、意識を失いそうになり
 ながら、東の門に走った。・・・そこには第3の悪漢がいたが
 ・・・同じ答えを返し、・・・巨大な石鎚をもって、額の中央
 に打撃を受けた・・・マスターは絶命し、地面に横たわった。
              ――ナイト/ロマスの前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 ワーシップフル・マスターが背後から近づき、手にした道具で
志願者の額を叩くと、仰向けになって寝るよう指示されます。挑
戦者が床に倒れると、身体に屍衣(死体を包む布)が巻かれ、ワ
ーシップフル・マスターは次のように続けます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・・・われらがブラザーは・・・秘密を漏らすよりも死を選ん
 だヒラム・アビフと・・・同じ状況に置かれた。・・ブラザー
 ・ジュニア・ウォーデン、われらがマスターの代理人を、エン
 タード・アプレンティスの握手をもって立たしめよ。
              ――ナイト/ロマスの前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 フリーメーソンには、3つの握手法――徒弟の握手/職人の握
手/親方の握手法があるのですが、徒弟と職人の握手法が試みら
れますが、志願者を起すことはできません。そこで、ワーシップ
フル・マスターは親方の握手法によって志願者を起こします。そ
して、ワーシップフル・マスターは次のようにいいます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ブラザーよ、すべてのマスター・メーソンはこのようにして象
 徴的な死から甦り・・仲間に加わったのだ。マスター・メーソ
 ンの光は、天上からの神の光の助けなしには人間の理性では見
 通すことのできぬ闇のヴェールである。・・・
―――――――――――――――――――――――――――――
 このようにして志願者は第3位階「親方」に昇進するのですが
これは「死と復活」の儀礼そのものです。『魔笛』では、これに
当たる儀礼が演じられているのです。―  [モーツァルト29]


≪画像および関連情報≫
 ・フリーメーソンの握手法――「親方の握手法」
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ハサミのように開かれた指が意味するもの――それはフリー
  メイソンの重要な象徴である直角定規もしくは開かれたコン
  パスである。さらに、その手の型で握手をすることは、直角
  定規とコンパスを交差させることを意味し、メイソンが信条
  とする“道徳”と“真理”の調和を表現している。
   http://unkokuse.hp.infoseek.co.jp/shinpi/meison.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

1951号.jpg
posted by 平野 浩 at 06:40| Comment(0) | TrackBack(0) | モーツァルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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