2012年04月06日

●「ラテン系南欧諸国の夢/ユーロ圏」(EJ第3276号)

 EC、EU、ユーロ、マースリヒト条約など、われわれは欧州
に関してどれほど知っているでしょうか。どれほど関心があるで
しょうか。
 この答えは「ノー」です。それは本の少なさによくあらわれて
います。もし、「欧州危機」が起きなかったら、本はもっと少な
かったでしょう。少し基本的知識を整理して先に進みます。
 まず、EUですが、EUは「欧州連合」を意味するのですが、
その正式名称は23言語で表記されるのです。EUは、そのうち
のひとつである英語表記に過ぎないのです。フランス語ではUE
アイルランド語ではAE、エストニア語ではEL、ラトビア語と
リトアニア語ではES、ブルガリア語ではEC、ギリシャ語では
EEとなります。
 さて、現在EUに加盟しているのは27ヶ国です。そのなかで
共通通貨であるユーロを導入している国は17ヶ国であり、それ
らの諸国は、ユーロゾーン、ユーロ圏といわれています。その人
口は約3億2600万人です。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ≪ユーロ導入17ヶ国≫
  オーストリア   ドイツ       オランダ
  ベルギー     ギリシャ      ポルトガル
  キプロス     アイルランド    スロバキア
  エストニア    イタリア      スロベニア
  フィンランド   ルクセンブルグ   スペイン
  フランス     マルタ
―――――――――――――――――――――――――――――
 EUには加盟しているが、ユーロを導入していない国は10ヶ
国あります。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ≪ユーロ未導入10ヶ国≫
  デンマーク               ハンガリー
  スウェーデン              ラトビア
  イギリス                リトアニア
  ブルガリア               ポーランド
  チェコ                 ルーマニア
―――――――――――――――――――――――――――――
 この他にもEUに加盟していないのにユーロを導入している国
がいくつかあるのですが、これらの国はユーロ圏には含めないの
が普通です。
 さて、ユーロに最初に加盟したのは11ヶ国です。この11ヶ
国のことを「ファースト・イレブン」といいます。本当は、ギリ
シャも加盟を申請したのですが、入れなかったことは既に述べて
います。ギリシャはこのファースト・イレブンに入れなかったこ
とで凄くくやしい思いをしているのです。
 そのあたりのことを浜矩子同志社大学大学院教授が近著で述べ
ています。浜氏はギリシャのくやしい思いには次の2つの側面が
あるとしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
        1.南部欧州に共通する願望
        2.仲間同士のライバル意識
―――――――――――――――――――――――――――――
 南部欧州とはどこを指すのでしょうか。
 PIGSがそれに当るといえます。ただし、この場合のIはイ
タリアを指しますが、「南部欧州に共通する願望」という場合は
イタリアを除くPGS──ポルトガル、ギリシャ、スペインとい
うことになります。このPGSについて、浜矩子氏は次のように
書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 今日のPIIGSの長い胴体部分を構成するのがダブルIのア
 イルランドとイタリアだとすれば、この胴長豚の頭部と臀部に
 位置するのがギリシャ・スペイン・ポルトガルの3人組だ。ラ
 テン系南欧諸国というイメージで一括りにされることが多い。
 この括り方の当否はさておくとして、彼らは確かによく似た悲
 願とコンプレックスを共有してきた。彼らが一様に欲しがり続
 けてきたのが、ヨーロッパという名のクラブの会員証だ。この
 名門クラブの正規会員になりたい。永久会員としての地位を確
 立したい。それを彼らは渇望し続けてきた。統合欧州という枠
 組みの出現は、この悲願をかなえてくれる絶好の展開だ。彼ら
 にはそう思えた。       ──浜矩子著/朝日新聞出版
      「EUメルトダウン/欧州発 世界がなくなる日」
―――――――――――――――――――――――――――――
 確かにヨーロッパの地図を見ると、ポルトガル、ギリシャ、ス
ペインは、いわゆるヨーロッパからは遠く離れた場所にあること
は確かです。したがって、名門「ヨーロッパ倶楽部」のメンバー
になることは夢であり、憧れであったのです。
 しかし、ギリシャだけはそのファーストイレブンになれなかっ
たのですから、相当くやしい思いをしたことは確かでしょう。P
GS──これらラテン系南欧3国は、ヨーロッパでありながら、
ヨーロッパでない存在で、なにかにつけ悲哀を味あう機会が少な
くなかったのです。
 しかし、ユーロ圏の一員になることで、押しも押されぬヨーロ
ッパ倶楽部の正式メンバーになれるというのが、彼らの悲願だっ
たのです。しかし、ギリシャはメンバーになれず、2年後にその
夢を果たすことになったのです。
 ギリシャの屈辱は、そもそもECへの加盟はギリシャの方が、
ポルトガルとスペイン(イベリア2国)よりも早かったのですか
ら、そういう点でもギリシャのくやしさはわかると思います。E
Cへはギリシャは1981年、スペインとポルトガルは1986
年の加盟だったのです。そのギリシャが現在大変なことになって
しまっているのです。    ─── [欧州危機と日本/05]


≪画像および関連情報≫
 ●イベリア半島とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  イベリアの名は、古代ギリシャ人が半島先住民をイベレスと
  呼んだことに由来する。しかし、もともとは漠然とピレネー
  山脈の南側に広がる地域を指した言葉である。一方、イベリ
  ア半島を属州としたローマ人たちは、この地をヒスパニアと
  と呼称したが、このラテン語に由来して現在の「スペイン」
  (英語名)は「イスパニア」とも「エスパーニャ」とも呼ば
  れるようになった。半島の付け根にあたる北東部は幅約30
  キロにわたり、ピレネー山脈によってフランスと画されてい
  る。一方、南西端は最も狭いところが約14キロのジブラル
  タル海峡を挟んでアフリカ大陸と向かい合っている。
                    ──ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

ヨーロッパ地図.jpg
ヨーロッパ地図


posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州危機 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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