万人の国です。1999年のユーロ発足時にギリシャは、ユーロ
に加盟しようとしたのですが、加盟条件を満たしていないとして
拒否されています。そこで、2001年になって財政収支のデー
タを提出し、遅れて加盟が承認されたのです。当時のギリシャ政
権は、コスタス・シミティス首相率いる全ギリシャ社会主義運動
党の第3次政権だったのです。
2004年3月のことですが、コスタス・カラマンリス氏率い
る新民主主義党は、コスタス・シミティス政権に選挙で勝利し、
に政権交代したのです。実はこの政権でユーロ加盟のときの財政
収支データを修正しているのですが、この時点でユーロ加盟基準
を満たしていないことが判明したのです。しかし、この政権はそ
の事実を隠してしまったのです。
どうしてそんなことをしたか、です。真相はわかりませんが、
2004年8月には「アテネ・オリンピック」が開催されること
になっていたのです。しかも、経費が当初予想の46億ユーロを
はるかに超えて、70億ユーロに達したのです。きっとその関係
もあって、財政収支データを隠匿したと思われます。
2009年10月になって、新民主主義党が選挙で敗れ、全ギ
リシャ社会主義運動党が政権を取り、ゲオルギオス・アンドレア
ス・パパンドレウ氏が首相に就任し、ユーロ加盟のさいの財政収
支データは虚偽であったことをばらしてしまったのです。
このインチキなギリシャのユーロ加盟について、既出の上念司
氏は自著で次のように述べています。
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言ってみれば、実力的には絶対に合格しないはずのユーロとい
う進学校に、ギリシャはカンニングで入ってしまったようなも
のです。さらに悪いことにギリシャは素行不良の生徒でした。
過去200年間で100回も借金を踏み倒している札付きの不
良だったのです。受験のためにしばらくおとなしくしていただ
けですから、合格したら元の不良に戻るのは必然でした。しか
し、ドイツヤフランスの金融機関は、ギリシャがユーロに参加
できたということで勝手に素行不良が治ったと思い込んでしま
いました。 ──上念司著
『日本再生を妨げる/売国経済論の正体』/徳間書店
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ここでユーロ各国銀行の、2010年11月時点のギリシャへ
の債権を確認する必要があります。
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フランス ・・・・・ 530.0 億ドル
ドイツ ・・・・・ 340.0 億ドル
イギリス ・・・・・ 130.1 億ドル
ポルトガル ・・・・・ 100.2 億ドル
アメリカ ・・・・・ 70.4 億ドル
オランダ ・・・・・ 40.5 億ドル
イタリー ・・・・・ 40.2 億ドル
オーストリア ・・・・・ 30.1 億ドル
──上念司著
『日本再生を妨げる/売国経済論の正体』/徳間書店
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これを見ると、フランスとドイツの2国で870億ドル(約6
兆円)、全体の3分の2を占めています。こうなると、ギリシャ
がデフォルトすると大変なことになります。
問題はどうしてそんなギリシャ国債を買ったかです。ギリシャ
がおかしいことはユーロ各国は2005年頃からわかっていたは
ずなのです。それでも貸し込んだのには理由があります。それは
ギリシャ国債はユーロ債になっており、ギリシャに投資するさい
の為替リスクがなくなったからです。
しかも当時ギリシャは不動産バフルが沸き立っていて、国とし
て何となく調子が良さそうに見えたのです。それにギリシャ国債
は他の欧州各国のそれよりも高金利で魅力的であり、フランスと
ドイツの金融機関は、そんなギリシャに多額の資金をつぎ込んで
しまったのです。
ギリシャはギリシャで、国民は不動産バブルに浮かれてしまい
時の政府のバラマキ政策──年金や公務員手当などの増額によっ
て、盛り上がっていたのです。不動産は高値を呼び、投機的な不
動産取引が頻繁に行われていたのです。かつて日本が被ったあの
バブルと同じ現象です。
それにギリシャは公務員の数が労働人口の2割以上を占め、国
民性なのか、税金をきちんと納めない国民が多く、税務署も税務
署で、取り立てが厳しくないのです。そのため、脱税する者もた
くさんいたといいます。ギリシャという国家システム自体が既に
破綻していたのです。
そこにリーマンショックが襲ったのです。ここで一挙にバフル
が弾けたのです。ところで、バフルとは一体何でしょうか。
バブルというのは、民間が借金を増やして資産に投資する経済
活動のことで、それが爆発的に拡大する現象です。なぜ、爆発的
に拡大するのかというと、投資利益が実質金利を上回って、投資
効率が高くなる──つまり、「儲かる」からです。
しかし、いつまでもそれが続くのではなく、やがてピークに達
し、それから一挙に崩壊するのです。投資利益が金利とイコール
になったときがピークなのですが、事前にそのピークを見極める
ことは不可能なのです。
資産価値が下落して投資利益が下がり、やがて金利を下回るよ
うになるのです。つまり、投資しても「儲からない」状態になっ
てしまうのです。そうなると、バフルは一挙に崩壊してしまいま
す。問題はバブルが崩壊した後の国として打つべき処置です。ギ
リシャはどうしたのでしょうか。日本のケースも含めて明日考え
ることにします。 ─── [欧州危機と日本/03]
≪画像および関連情報≫
●バブルとは何か
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「バブル景気」という語は1987年に命名されたとされ、
元になった「バブル経済」という語自体は1990年の流行
語大賞の流行語部門銀賞を「受賞者:該当者なし」(誰が最
初に使い、流行らせたのか判らないため)で受賞している。
しかし、この語が広く一般に、実感を伴って認知されたのは
投機経済が崩壊した後である。例えば、1990年末に出版
された朝日現代用語・知恵蔵1991には「バブル」という
語は使用されていない。元来、「バブル」は「泡」を意味す
る語なので、泡沫景気(ほうまつけいき)と呼ばれることも
ある。1990年代初期には、平成景気(へいせいけいき)
とも呼ばれた。経済学者の野口悠紀雄は、1987年11月
に「バブルで膨らんだ地価」という論文を、『週刊東洋経済
・近代経済学シリーズ』に掲載しており、「私の知る限り、
この時期の地価高騰を「バブル」という言葉で規定したのは
これが最初だ」と述べている。一方で景気の後退の様は「バ
ブル崩壊」と言われ、「失われた20年」、更には格差社会
の発生へとつながる。 ──ウィキペディア
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アテネ・オリンピック(2004年8月)


