落を想定/三菱UFJが危機対策」について、いろいろな情報が
入ってきています。2月13日発行の夕刊フジに掲載された須田
慎一郎氏の「金融コンフィデンシャル」/2456号をベースに
ご紹介することにします。
このトップ記事はかなり派手に出たので、何となくスクープ記
事を思わせたのですが、それに続く他のメディアからの後追いは
一切なく、異様な感じがしたものです。
実はこの「危機管理計画」は「アウトライヤーリスク」といっ
て、2007年3月以降、新BIS規制(自己資本比率規制)に
よって義務付けられているものなのです。つまり、新BIS規制
の影響下にあるすべての大手銀行が作成しているものであって、
三菱UFJ銀行だけが作成しているものではないのです。
しかし、この記事を読むと、日本最大の銀行で日本国債を一番
多く引き受けている三菱UFJ銀行が、きたるべき国債暴落の日
に備えて「危機管理計画」を策定したというように読めると思い
ます。何しろ、1月29日に金融情報誌『日経ヴェリタス』にカ
イル・バス氏の「日本国債の18ヵ月以内の暴落」を伝えるイン
タビュー記事が出た直後のことであり、ギョッとした人は多かっ
たと思います。この記事について、経産省の有力幹部は次のよう
にコメントをしています。
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朝日新聞はいつから財務省の手先になったんだ?朝日新聞の意
図するところは、現在日本国債は価格急落リスクにさらされて
いる、ということをアピールすることにあったのだろう。つま
り、だからこそ増税は必要なのだ、という方向に持って行こう
としている。だとしたら、それはある種の世論誘導だ。そうし
た意味で言えばこの記事を最も喜んでいるのは、ほかならぬ財
務省だろう。 ──経産省の有力幹部
須田慎一郎/金融コンフィデンシャル/2456
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さらに財務省は、大きな増税キャンペーンを展開しています。
2012年2月12日付の日本経済新聞「日曜に考える」がそれ
です。テーマは「一体改革どう進めるべきか」で、増税派の急先
鋒の2人──民主党税調会長の藤井裕久氏と東京大学教授の吉川
洋氏の対談です。これは野田政権のPR記事です。
とくに問題のあるやりとりは次の部分です。橋本元首相が消費
税の税率を2%上げたことが主な原因で経済が悪化したことは、
多くの専門家が認めていることであって、増税が主犯ではないと
いっているのは、このお2人だけです。
何しろ、GDPデフレーターは、橋本増税後の1998年度に
マイナス0.5 %に転落。その後、現在にいたるまで一度もプラ
スに回帰することはなかったのです。
とくに吉川教授は、つねに政府側について政府側の政策を進め
やすくしている御用学者の一人です。これについては、12月7
日のEJ第3196号を参照してください。
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──経済への影響を懸念する声がある。
吉川/誰もが1997年に税率を3%から5%に引き上げた時
日本経済が悪くなったことを思い出している。だが、97
年秋から98年に最も落ち込んだのは設備投資と輸出。国
内の金融危機による信用収縮とアジア通貨危機の影響の方
が大きかった。
藤井/97年の経済の落ち込みは消費税が「主犯」でないのは
明らかだ。増税の直前に駆け込み需要があって、次に反動
で落ちて、後は平常に戻る。
──2月12日付、日本経済新聞より
http://electronic-journal.seesaa.net/article/239047725.html
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さて、14日のことですが、日銀がデフレ脱却に向けて少し動
いたのです。増税に突き進む政府とは違う行動です。日銀は金融
政策決定会合で、10兆円規模の追加金融緩和の実施と、金融政
策で目指す望ましい物価水準として「物価安定のめど」を導入す
ることを全員一致で決め、そして具体的な水準として「消費者物
価の前年比上昇率で当面1%を目指す」と数値を上げたのです。
これは今までになかったことです。
これは誰が考えても「インフレターゲット」です。これについ
て日銀は今まで一貫して拒んできたのですが、それが、なぜ、急
なこの決定になったのでしょうか。
確かに日銀としては画期的な決断であるといえます。しかし、
これは米国のFRBが1月25日に「2%のインフレ目標」の姿
勢を明確にしたからです。FRBもこれまで「ゴール」という言
葉を使ってこなかったのですが、今回はじめて使ったのです。
これは日銀にとってきわめて大きかったと思います。それでも
日銀は「目標」といわず、「めど」としかいっていませんが、や
らないよりマシです。しかし、どうせやるなら、2%ぐらいの目
標を設定すべきであったと考えます。
日銀としては、インフレ目標の導入と追加金融緩和を「合わせ
技」で示すことで、企業の設備投資や家庭の消費拡大を促すとと
もに円高抑制の効果も見込んでいます。
しかし、白川方明日銀総裁は、14日の会見で次のようにクギ
を刺しています。これはデフレを脱却できないのは日銀だけの責
任ではないと言い訳しているのです。
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デフレ克服には潜在的な成長率を高めることが必要であり、そ
れには企業、銀行、政府、日銀が協力して役割を果たすことが
必要である。 ──白川方明日銀総裁
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――─ [財務省の正体/67]
≪画像および関連情報≫
●日銀は?!米国がインフレ目標導入/高橋洋一氏
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FRB(米連邦準備制度理事会)が1月25日、2%インフ
レ目標を導入したことについて、日銀の反応が面白い。これ
まで国会議員などに、FRBもやっていないからインフレ目
標を導入しない、と安直な説明をしてきた日銀にとっては不
都合な事実だ。私は、バーナンキ議長がFRB理事になった
2002年から、FRBはインフレ目標を導入すると言い続
けてきたが、いよいよ日銀も年貢の収め時だ。この期に及ん
で日銀は国会議員などに「ご説明」の絨毯爆撃をしているよ
うだ。その趣旨は「あれはインフレ目標ではない。バーナン
キもそう言っている」というものだ。前原誠司民主党政調会
長などは日銀の言うことをうのみにして発言している。バー
ナンキ議長の発言というのは、25日の記者会見のことだ。
「インフレ目標か」と聞かれ、「すばらしい質問だ」と前置
きしながら、「もし“インフレ目標”を物価を最優先して雇
用などを二次的なものとするということを意味するのであれ
ば、その答えはノーだ。というのは、FRBは2つの目標を
持っているからだ」と述べた。要するに、FRBには「物価
の安定」と「雇用の最大化」の2つの責務があるので、物価
“だけ”を目標とするインフレ目標ではないと言っただけで
ある。その証拠に、バーナンキ議長は、「物価安定の目標達
成を遅らせた方が雇用に良いなら、喜んでそうする」と言い
切っている。それなのに、雇用の最大化という責務もなく物
価の安定をもっぱら行えばいい立場の日銀が「インフレ目標
でない」とのバーナンキ発言の一部のみを取り上げるのはお
笑いだ。
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20120211/ecn1202110838002-n1.htm
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インフレ目標を発表する日銀総裁
>「過失は刑事有罪であり民事賠償責任を伴う」
班目委員長「指針に瑕疵」と謝罪 原発事故調で誤り認める
http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012021501001379.html
「誤り」ではなく「過ち」すなわち過失である。
過失を謝罪したなら賠償責任を認めたことになる。保安院霞ガ関東電が三位一体となって自分たちの資産だけで国民の被曝被害全てについて全額賠償せよ。
この賠償に関しては国民の納めた税金から新たな予算支出をすることは絶対に許されない。東電は保安院が全権で監督する「私企業」だからね。東電と関連会社企業の株全てを賠償金支払いに充当し、結果東電が破産しても債務は保安院予算と関連業界私財を動員して全額弁済されなければならないのである。