2012年02月15日

●「日本国債売り崩し狙うヘッジファンド」(EJ第3240号)

 最近書店に行くと、経済書のコーナーで、2種類の本が山積み
されています。「日本が財政破綻する」という内容のいわゆる破
綻本と、「日本は世界経済の最後の希望」といった真逆の内容の
本の2種類です。その割合は80対20であり、圧倒的に破綻本
が多くなっています。
 どちらも読んでいますが、20%の本の方が真実を伝えている
ような気がします。しかし、80%の破綻の本のなかに、少し気
になる内容の本を見かけるのです。それは、ヘッジファンドの関
係者と見られる外国人の著者による本です。これらの本では、日
本の破綻が非常に近く起きることを煽っている内容です。
 昨日のEJでご紹介した『週刊朝日』と「闇株新聞」ブログの
追及第2弾では、金融情報誌『日経ヴェリタス』1月29日号の
あるインタビュー記事を取り上げています。
 これは、米国ヘッジファンド「ヘイマン・キャピタル・マネジ
メント」の創業者のカイル・バス氏のインタービュー記事です。
バス氏は「日本国債はあと18カ月内に崩壊する」と断言してい
るのです。『週刊朝日』よりも少し詳しくインタビューを再現す
ることにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎日本国債に以前から警告を発しています。いつ日本の危機が
   顕在化するとみていますか。
 私は国債バブルの崩壊が今後18カ月以内に起きるとにらんで
 います。詳しいことはお話しできません。しかし、日本の長期
 金利の上昇と為替の円安に備えたポジションをすでにとってい
 ます。
 ◎なぜ今なのでしょうか。
 これまでにない深刻な構造変化が起きているからです。震災後
 の原発停止で割高な液化天然ガス(LNG)の輸入が急増し、
 日本は昨年、31年ぶりに貿易赤字になりました。今年も状況
 の好転は期待しにくいでしょう。自動車や電機などの製造業は
 拠点をアジアに移しています。生き残りを賭けた企業の動きは
 もう後戻りできません。私は14年半ばには日本が経常収支で
 も赤字になるとみています。
 ◎日本政府の「12年度予算案に対しても、ずいぶん厳しい見
  方をしているようですね。
 これほどの茶番はありません。社会保障費は一般会計ベースで
 約26兆3900億円と前年度から8%減っていました。一般
 会計の総額も90・3兆円と前年度を下回り、一見すると立派
 な予算案です。ただこれには看過できないトリックがあったの
 です。
 ◎どういう意味でしょう。
 一般会計から切り離し、『年金交付国債』なる耳慣れないもの
 が登場していたのです。これは基礎年金の国庫負担分2・6兆
 円を、将来の消費税増税で償還して穴埋めする仕組みです。ま
 だこの世に存在せず、実現する保証もない増税をあてにして交
 付国債を発行する。こんなことが許されていいのでしょうか。
             http://ameblo.jp/torisukiyonori/
―――――――――――――――――――――――――――――
 「ヘイマン・キャピタル・マネジメント」というのは新興ヘッ
ジファンドにしか過ぎません。その代表のカイル・バス氏がこの
ようにいったとしてもほとんど信用されないのです。また、カイ
ル・バス氏は昨年の11月にも「数ヵ月以内に日本国債が危機に
陥る可能性がある」というメールを発信するなど、危機を煽って
しますが、今のところ、この発言は無視されています。
 それに、カイル・バス氏の指摘は、日本政府が年金交付国債を
出した本当の意味を間違ってとらえています。EJの読者は既に
ご存知のように、2011年度予算は税収が2.5 兆円余ったの
に、財務省はそれを年金積立金に戻さず、不要不急の4次補正予
算にしたことや、財務省が年金積立金を人質にとって、増税が不
可避であることを国民に思わせようとして年金交付国債を出した
という事実を知らないようです。
 しかし、日本の主要金融情報誌『日経ヴェリタス』までもが、
カイル・バス氏の発言を取り上げると、日本国民に国債危機意識
が刷り込まれてしまいます。さらに2日後の2月2日付の朝日新
聞朝刊の「日本国債の急落を想定/三菱UFJが危機対策」の記
事によってそれは一層真実味を増します。まさにとどめのタイミ
ングであるといえます。
 これらはすべて財務省の画策であると思われます。政府だけで
なく、メディアも完全に財務省にコントロールされています。三
菱UFJ銀行も主務省の要請があれば、発表せざるを得ないと考
えられます。財務省も死に物狂いなのです。
 しかし、既に何度も述べてきているように日本の財政はけっし
てよくありませんが、危機的状況にはほど遠い状態です。しかし
海外のヘッジファンドが危機を煽り、一攫千金を手にしようと手
ぐすねを引いているのです。それを政府と金融当局が裏付ける間
違った情報をメディアで流し続けると、本当に国債破綻が起きか
ねないのです。「闇株新聞」は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 怖いのは、本来は国債の価値を守るべき日本政府が増税のため
 に国民に財政危機を宣伝することで、ヘッジファンド側に「加
 勢」してしまっていることだ。政府が「日本国債が紙クズにな
 る」と言い続けるため、国民は金利が上昇し始めたとき、「国
 債が暴落する」という不安にかられ、一斉に売りに出る危険が
 ある。最大の国債保有者である銀行も政府の意向を真に受けて
 おり、パニックになるだろう。そして資金に余裕のある日本で
 起きるはずのない「国債暴落」が現実のものになる──これで
 はヘッジファンドの思うつぼだ。 ──『週刊朝日』2/17
 ――――――――――――――――――――――――――――
               ――─ [財務省の正体/66]


≪画像および関連情報≫
 ●さっそく持ち出した貿易収支赤字/「闇株新聞」ブログ
  ―――――――――――――――――――――――――――
  財務省は、1月25日に発表された昨年の貿易収支が31年
  ぶりに赤字になったことも、さっそく消費税増税の宣伝使っ
  ている。このままだと貿易赤字がもっと膨らみ、そのうち貿
  易以外の項目も加えた経常収支までもが赤字化する。赤字に
  なると日本から資金が流出し、国内の資産が減るため、結果
  的に国債を安定的に引き受ける余力がなくなる。だから、今
  のうちに増税をしなければならない──という理論らしい。
  これを大新聞も声高に論じているが、果たして正しいのだろ
  うか。本来、貿易収支が赤字になったということで真っ先に
  議論すべきなのは、国内産業の空洞化をいかに防ぐかという
  ことのはずで、歴史的な水準となつている円高対策、高い法
  人税の引き下げ、そうでなくても高い電力料金のさらなる値
  上げの回避などのはずだ。国民にとって重要なことは無視し
  て、増税のための議論にすり替えている。あるエコノミスト
  は12年の貿易赤字が5兆円(11年が2兆5千億円)、3
  〜4年後に10兆円になり経常収支も赤字になるというご
  託宣″まで出していたが、これも増税推進論の格好の材料に
  されている。         ──『週刊朝日』2/10
  ―――――――――――――――――――――――――――

カイル・バス氏.jpg
カイル・バス氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 財務省の正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「アメリカ政治史は戦争犯罪史である。平和憲法国日本は直ちに地位協定破棄決議すべし」TPPも地位協定破棄で。

建国以来戦争政治侵略外交しか知らぬ米国が、合衆国軍法の交戦中敵国占領規定である『日米地位協定』を使って70年近くも日本と世界中で人種差別人権無視非人道戦争犯罪を続けている破廉恥醜悪な米国史が、占領統治の過去事実を証拠に明確に書き記されている長周新聞TPP解説記事をタイプ紹介します。

>『TPPに見る米国の食料戦略』
【食料自給できぬ国にして縛る】
第二次大戦と占領以来「戦後一貫して日本を標的に」
(長周新聞2012年2月13日付け(4)面記事タイプ転載)

【TPP(環太平洋経済連携協定)をめぐる批判論義のなかで、日本の農業と国土がアメリカの食料戦略の標的となってきたこと、それが食料自給率40%という惨状に示されていることが、第二次世界大戦と戦後の歴史的な経験と重ねて深められている。この問題をめぐるさまざまな事例や専門家の発言、意見を振り返ってみたい。】

 ▼鈴木宣弘東京大学大学院教授、木下順子コーネル大学客員研究員の両氏は、著書『よくわかるTPP48のまちがい』(農文協)のなかで、「アメリカの食料戦略の一番の標的が日本だといわれてきた」ことを強調。ブッシュ前大統領が、農業関係者に対する演説で日本を皮肉るような話をよくしていたことを紹介している。ブッシュは次のような発言をしていた。
 ▼「食料自給はナショナル・セキュリティに直結する問題だ。皆さんのおかげでそれが常に保たれている米国はなんとありがたいことか。食料を自給できない国なんて想像できますか?---どこの国のことかわかると思うけれども---食料自給のできない国は、国際的圧力と危険にさらされている国だ」
 ▼また1970年代末、ウィスコンシン州大学の農業経済学の教授が授業で「君たちはアメリカの威信を担っている。アメリカの農産物は政治上の武器だ。だから安くて品質の良いものをたくさんつくりなさい。それが世界をコントロールする道具になる」とのべ、「東の海の上に浮かんだ小さな国はよく働く。でも勝手に動かれても不都合だから、その行き先をフィード(家畜のエサ)で引っ張れ」とあからさまに語ったことを紹介している。
 ▼事実、その後20年を経た時点で、日本がアメリカから輸入した穀物3000万トンの三分の二以上を家畜のエサが占めるようになっていた。
 ▼それは、アメリカが第二次世界大戦で日本国民に対して行使した「飢餓作戦」から、戦後占領期以後の余剰農産物の押しつけに見られるアメリカの食料戦略に一貫したものである。
 ▼そこには食という人間の生活の根源に関わる問題を制するかどうかが、その国の運命を決定的に左右するという、古今東西の戦法の原則を貫くものであった。

[戦中にはアメリカの「飢餓作戦」]

 ▼1941(昭和16)年の日米開戦を前後して、日本国内ではコメはもちろん、塩、砂糖、味噌・醤油など、すべて配給制になった。そして、戦争末期になるとコメの飯は食卓に上がらなくなり、麦、コーリャン、アワ、ヒエなどと合わせたご飯があればよしとされるまでになった。
 ▼これは日本を戦争にひきずり出すための経済制裁に続く、アメリカの「飢餓作戦」と呼ばれる封鎖によるものであった。こうした事態は米軍の潜水艦や、関門海峡など日本湾岸の機雷封鎖によって、日本本土の穀物の後方補給地とされた満州、朝鮮、台湾からの輸送船がことごとく撃沈されるなかでひき起こされた。
 ▼戦争体験者は、敗戦後はアメリカの占領の下で、「さらにひどい食糧難」を経験したことを語っている。コメの遅配、欠配が続き、どこの家庭でも買い出しに出て、「闇米」を手に入れなければ食べていけない状況が続いたのは、いうまでもなくアメリカの占領政策によるものであった。
 ▼マッカーサーは、GHQに到着してすぐの1945(昭和20)年9月22日、「日本は産業、通商、軍事その他いかなる部門においても、完全に壊滅の状態にある。食糧供給はほとんど止まり、破局寸前の状況にある。日本が犯した罪に対する懲罰は、始まったばかりであり、長く厳しいものになるであろう」と公言し、懲罰としてこの様な状態を強いる意図を隠さなかった。GHQが貿易を全面的に禁止したことは、日本人の食糧事情を戦前の水準以下におしとどめるためでもあった。
 ▼名古屋に駐留した米第25師団長モラン少将は「連合国軍の日本占領を成功させる手段としては、まず日本の食糧不足を利用し、当面は食糧を封鎖して、日本人の抵抗意欲の抑止を第一目標とする。つまり、食糧攻めにすることだ」とのべた(中西薫著『名古屋戦乱物語』)。
 ▼モランはさらに、「(日本の)軍国主義体制を崩壊させ、武装解除が完了した段階で、徐々に米国の余剰農産物を活用し、無償・有償援助を実施して日本人に恩義を感じさせる。それまではたとえ日本農業の米麦が増産されたとしても、配給量を増加する許可を絶対に日本政府に与えてはならない」と訓示していた。名古屋では、熱田造兵廠に備蓄されていた大量の古米、小麦がすべて没収された。それは日本国内の食料難に供するのではなく、「損害賠償物資」として国外に流された。
 ▼GHQは、「闇米が出回るから、遅配・欠配が続く」などといって、買い出し列車に警察官を乗り込ませるなど、「闇米」の徹底的な取り締まりとともに、直接ジープで農家に乗りこみ、強制的に供出させることまでやった。

[戦後余剰農作物を日本に押しつけ]

 ▼こうしたなかで1946(昭和21)年、元大統領フーバーが食糧事情調査団として来日。予定どおり「食糧援助」への布石を打った。そしてこの年11月30日「ララ物資」第一便としてミルク・衣類・薬品など450トンが横浜港に到着した(写真あり:学校給食用の脱脂粉乳などの「ララ物資」第一便の歓迎に動員された横浜の子供たち)。戦後、学校給食に使われた脱脂粉乳はこの「ララ物資」によるものであった。
 ▼マッカーサーは「経済的扼殺」の成果を踏まえて、1947年2月23日、「飢餓は社会不安、混乱、暴動を生み出すに違いない。国民はどんなに邪悪な思想だろうが、食べ物を与えてくれるものに、安易に走るのだ」と「食糧援助」を本国に要請した。
 ▼こうして11月6日、「アメリカに感謝いたしましょう」と放出された輸入食糧の多くは、もともと家畜飼料で栄養値に劣るコーリャンやトウモロコシであった。それはアメリカでの市場買付け価格の二倍の高値で日本国民に押しつけられたが、「我慢して食べてもたちまち胃腸をこわす」という悪質なものであった。
 ▼「米価審議会委員」「食品流通審議会委員」などを歴任した岸康彦氏は著書『食と農の戦後史』のなかで、「フーバーは単なる慈善のために食糧援助に力を入れたわけではない。第一次大戦後、米国は大量の余剰小麦を抱え込んだ。食糧援助は飢餓救済と合わせて、米国の倉庫から、余剰小麦をへらして国際市況の低落を防ぐこと、さらには共産主義の浸透に対する防壁として農産物を利用することも狙っていた」と指摘している。
 ▼国会での感謝決議をおこなって受け入れたこれらの「援助物資」は、ガリオア・エロア基金という「見返資金制度」によるものであった。それは、物資に相当する金額を日本側が積み立てて、その30%は在日米軍基地の費用にあてるなど、資金の運用はすべてアメリカの許可を必要とした。
 ▼アメリカはそのうえに1953年、「ガリオア・エロア返済」を日本政府に要求した。そして60年「安保改訂」後の1962年、「日本はアメリカの妾(めかけ)みたいなものだから、だんなのご機嫌をとるのは当然だ」と放言した池田勇人が首相となって、4億9000万ドルの返済を実行したという屈辱的な事実も消し去ることはできない。

[60年をピークに自給率は下降]

 ▼戦後、日本の食料自給率は1960年までに79%までに引き上げられた。これをピークにそれは、下降の一途をたどっていった。そして、アメリカの余剰小麦の放出とパン食、粉食の奨励と結びついて、日本の食文化はアメリカ型にとって変えられていった。
 ▼青沼陽一郎氏は『食糧植民地ニッポン』のなかで、CIA(米国中央情報局)が1970年代に作成した食料戦略の秘密報告書に、世界的に異常気象による穀物不作が続くなら「備蓄の余裕のある穀物生産国」が生き残り、「米国は世界に対して第二次世界大戦直前をしのぐ経済的、政治的支配力を持つに至るだろう」「米国政府は食料を求める人々に対し、生殺与奪の力を持つことになる」と明記されていたことを暴露している。
 ▼こうしたアメリカの食料戦略の餌食にされてきた現実は、「食料輸入の大半を日本が依存する米国側から言えば、ゲストがホストに食い物の文句をたれるようなもので、”何を偉そうに”と侮蔑の目で見られる」(青沼氏)という屈辱的な日米の主従関係の根底に、軍事とともに食糧問題があることをはっきり示すものである。
 ▼それがTPPに貫いている(ママ)ことをだれも否定することはできない。(了)
Posted by 東行系 at 2012年02月15日 08:59
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