2010年10月ということですが、非常に多くのアクセス数が
あるそうです。
まず「日刊」というところが異色です。EJも日刊ですが、ブ
ログで日刊というのは少ないのです。「闇株新聞」というのは、
「闇から暴く相場の真実・・・」というサブタイトルが付いてお
り、株式投資をしている人を読者ターゲットにしているような感
じです。サイトのURLは次の通りです。
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「日刊闇株新聞」
http://yamikabu.blog136.fc2.com/
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私がこのブログの存在を知ったのは、『週刊朝日』2/10増
大号で紹介されていたからです。『週刊朝日』は、この「日刊闇
株新聞」とジョイントで、「財務省のトリックをすべて暴く!」
という連載企画をはじめたのです。
サイトの運営者は「X氏」として氏名を明かしていませんが、
業界では「知る人ぞ知る」存在のようです。そうでなければ『週
刊朝日』がジョイントなどしないでしょう。
EJのテーマはたまたま「財務省の正体」なので連載企画を読
んだのですが、主張がほぼ一致していることと、内容がとても興
味深いので、EJでも取り上げてご紹介することにします。
私は可能な限り政治経済のテーマを取り上げるテレビ番組は見
るようにしており、「朝まで生テレビ」のような長時間ものは知
人に頼んでDVD化してもらい、時間のある時に視聴するように
しています。
そういう番組を見ると、財務省側に立つ人とそうでない人に明
確に分かれます。財務省と同じ考え方に立つ人の中でも、財務省
のいっていることを心底信じ込んでいる人と、本当はそうでない
と思っているが、立場上、利害上それに合わせた発言をしている
人がいます。しかし、圧倒的に多くの人が、財務省のいうことは
正しいと刷り込まれているのです。
12月2日のEJ第3193号で取り上げましたが、五十嵐財
務副大臣のレトリックには唖然とさせられます。日本の金融資産
と負債を比較するときに、負債の方は国と地方の持ってる金融資
産を引かないグロスの数字であるのに、金融資産の方は、総額か
ら家計の住宅ローンなどの金融負債を引いたネットの数字で比較
しているのです。
基準の違う数字を比較しても意味がないことは五十嵐副大臣は
十分ご存知のはずですが、これは少しでも日本の負債を大きく見
せようと意図しているのです。しかし、この発言を基にして新聞
は一斉に次のように書き立てたのです。
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国と地方の借金、個人資産1110兆円上回る?
http://electronic-journal.seesaa.net/article/238175666.html
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「日刊闇株新聞」は、純粋にネットで日本の金融資産と負債を
比較しています。データは2011年9月末時点の数字です。
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≪資産≫
一般家計 ・・・・ 1471兆円
民間非金融法人 ・・・・ 754兆円
中央政府と地方公共団体 ・・・・ 483兆円
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2708兆円
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まず「資産」の数字です。「非金融法人」というのは、銀行以
外の一般企業を意味しています。日本の資産の合計は2708兆
円ということになります。続いて、「負債」です。
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≪負債≫
一般家計 ・・・・ 354兆円
民間非金融法人 ・・・・ 992兆円
中央政府と地方公共団体 ・・・・ 1093兆円
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2439兆円
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日本の負債が1000兆円を超えていると喧伝されているのは
この1093兆円の数字です。しかし、中央政府と地方公共団体
には483兆円の金融資産があり、ネットでは610兆円なので
す。1000兆円を超えたと騒いでいるのはグロスの数字です。
銀行をのぞく一般企業の資産は992兆円もあるのです。
まとめるとこうなります。日本全体としては2708兆円の資
産を持つ一方で、2439兆円の負債を負っていることになりま
す。これでどうして日本が破綻するのでしょうか。
しかも、EJ第3182号〜EJ第3183号で述べたように
国の負債の中の建設国債には、その負債に見合う資産があるし、
地方公共団体の負債である地方債は、その発行には非常に厳格な
制約が課せられており、固い借金であるといえます。それに日本
は世界一の債権国でもあるのです。
既に述べているように、日本の国債は米国のそれと同様に、自
国通貨建てであり、破綻はあり得ないのです。当の財務省が米国
の格付け会社に対して公式に質問状を出し、「自国通貨建ての国
債の破綻はあり得ない」と明言しているのです。どうして財務省
は国内では破綻を煽るのでしょうか。
国内に増税環境をつくるためにやっているなら、十分できてい
ると思うので、もうやめるべきです。こんなことを繰り返してい
ると、世界に知られ、海外ヘッジファンドに狙われて、本当に日
本が破綻する恐れがあります。 ――─ [財務省の正体/65]
≪画像および関連情報≫
●「日刊闇株新聞」/日本の財政について考える その3
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最近の消費税増税論議のなかでいろんな意見が出ているので
すが、もう少し原点に立ち返って考えてみましょう。まず、
国や地方公共団体の行う行政サービスの非効率さとか、官僚
の利権や天下りとか、銀行の貸し渋りだとかを一旦横に置き
ます。日本国全体を1つとして考えると、経済活動を行って
いくうちに、資金が足りない部門と余る部門が必ず出てきま
す。ここで資金が余った部門から資金が足りない部門に資金
がうまく流れるように金融仲介機関(とりあえず銀行と思っ
てください)があります。日本国全体を1つの貸借対照表と
して考えると、資産として家計が1471兆円(預金771
兆円・証券164兆円・保険と年金準備金421兆円)、民
間非金融法人が754兆円(預金183兆円・証券155兆
円)、中央政府と地方公共団体が483兆円を保有しており
総合計が2708兆円となります。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-350.html
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「日刊闇株新聞」が紹介されている週刊誌
>攘夷戦争と長州藩の足跡;歴史図録や写真で専門家が解説
「長州維新の道(上)」(図書出版のぶ工房発行、定価2300円+税)
(長周新聞2012年2月10日付(4)面新著紹介「本棚」欄記事タイプ転載)
▼幕末の攘夷戦争から明治維新にいたる長州の足跡を歴史図録や写真を豊富にとり入れ、専門家が解説する「長州維新の道」の上・下巻が、福岡市の「図書出版のぶ工房」から発行されている。「九州長州図録撰書」シリーズで、「長州と筑前、維新を歩く三部作」のうちの二冊である。
▼「長州維新の道」〔上〕は、関門海峡での幕末対外戦争である攘夷戦争、米英仏蘭四カ国連合艦隊との戦争になった馬関戦争以後の長州藩の動向、とくに高杉晋作と奇兵隊による「回天」へと急激に展開した事情に迫るとともに、巧山寺で決起した奇兵隊が下関から萩城を目指して進撃した「赤間関街道 中道筋」をたどるものである。
▼「幕末、日本の情勢はめまぐるしく変わった。黒船来航から戊辰戦争までの十数年の間に、二百数十年ぶりの開国、七百年近く続いた武家社会の終焉という大転換を遂げ、中央集権近代国家へと歩き出したのである」(遠藤順子)。
▼文久三(1863)年の攘夷戦争から、文久政変、禁門(蛤門)の変、第一次長州征討と馬関戦争、高杉晋作の奇兵隊結成、さらに俗論党の台頭と第二次長州征討。まさに内憂外患、四面楚歌に見える極限の中から、これと正面から戦い抜き倒幕戦争の勝利へと導いた高杉晋作、奇兵隊と諸隊の動向。このあたりの内的事情については、「長州攘夷戦争」(古城春樹)、「高杉晋作による奇兵隊結成と文久年間の情勢」(田口由香)に詳しく展開されている。
▼高杉晋作が、封建制の身分制度に縛られた幕府や他藩では見られなかった「身分を超えた軍隊”奇兵隊”」を結成し、馬関戦争の講和会議でイギリスによる彦島租借を阻止し、四境戦争の大島口や小倉口の戦の先頭にたって幕府軍と戦ったのは、「すべては長州一国のためのみならず、清国の覆轍を踏まず上海の惨状を日本にもたらさないためのものだった」。
▼そこでは、高杉晋作が文久2年に上海に渡航し、欧米列強の植民地となった租界や、清国の惨状を直接目撃した体験が非常に大きかったこと、「彼の人生最後の五年間の行動を強烈に動機づけし、方向を決定したのは、まさにこの上海渡航だったといえる」と強調されている。
▼田口氏は「上海の惨状を目の当たりにした高杉は”攘夷の策”を主張しているが、欧米諸国との貿易も視野に入れている。・・・・・高杉が主張する”攘夷の策”とは、西洋技術の導入によって欧米諸国と対等な関係に立つための対策であり、いわゆる外国人を追い払うという攘夷の考えとは異なっている」と指摘している。
▼このほか、「薩長同盟の功労者、中岡慎太郎」など、薩長同盟がどのような緊迫した情勢のもとで成し遂げられたのかを、筑前の動向や中岡慎太郎の活躍との関連で記している。功山寺決起の直前まで高杉晋作が、筑前の野村望東尼の平尾山荘にかくまわれていた事情、「木戸孝允の人脈と江川太郎左衛門の農兵隊構想」などについての叙述もある。
▼伊能忠敬研究会会員・遠藤薫氏(のぶ工房編集長)が、実際に歩いて撮影した下関を起点とし萩にいたる「赤間関街道中道筋」を新地、竹崎、赤間関、長府から小月、清末、神田、さらには奇兵隊の陣屋が置かれた吉田、激戦地の絵堂、大田など主な地点を史跡や風景写真、「伊能図」や現在の地図に照らして紹介している。
▼三部作完結となる「長州維新の道(下)」は「萩往還---維新をなした政治と教育」をテーマに構成されている。(一)
参照:劇団はぐるま座「動けば雷電のごとく」>>http://www.c-able.ne.jp/~haguruma/raiden%20pdf.pdf
日本の富奪い尽くす一体改革
消費税で儲ける大企業・年金は支給時に削る詐欺
米国と財界の為国民搾る 2012年2月10日付長周新聞
>>http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/nihonnnotomiubaitukusuittaikaikaku.html
野田政府がアメリカや財界に尻を叩かれて「税と社会保障の一体改革」を掲げた国民大収奪に乗り出している。消費税増税を柱にして、年金・医療・介護・保育など全分野に及ぶ改悪が内容だ。大企業は半導体など家電大手を先頭に日本国内ではもうけにならないとして法人税や消費税など優遇措置は受けながら、国内工場をつぶして海外進出しボロもうけする動きを加速。アメリカは欧州など世界的な経済危機のなかで自国経済自体がパンクし、軍事面では防衛費を削り日本を矢面に立たせ、財政面では日本から徹底的にたかる姿勢となっている。野田政府の「一体改革」による国民大収奪はこうしたアメリカと財界が日本の富を奪い尽くすTPPの先取りとなっている。それはアメリカが日本をアジア侵略戦争の盾にし廃虚にする日米軍事同盟の具体化に結びついており、独立・平和かどうかの国の進路がかかる問題となっている。
(中略)
こうして国民から搾り上げた使い道は大企業やアメリカへのバラマキに使われていく算段となっている。それは昨年11月に1日だけで政府・日銀が円高阻止で8兆円もの資金をばらまいたのを見ても、同時期に開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳会議で野田首相が各国のインフラ整備に2兆円規模を支援すると約束したのを見てもはっきりしている。こうした消費税増税を柱とする「税と社会保障の一体改革」は、日本国民の大収奪であるとともにTPPや対中国戦争を準備する米軍再編と結びついている。それは日本が経済的には徹底的に搾りとられ、あげくのはてはアメリカの企む対中国核戦争の戦場にされ廃虚になる道にほかならない。
>【人間扱いされぬ先住民】
選挙権も電気も水も奪われ「米軍基地と観光施設が優先」
「グアムと日本人」山口誠著(岩波新書、196ページ、740円+税)
長周新聞2012年2月13日付け(4)面「書評」記事タイプ転載
▼「年間100万人もの日本人がなぜグアムに行くのか」との疑問をもった関西大学社会学部准教授が、米領グアムの歴史と文化について学生たちとともに調査した結果をまとめたもの。沖縄の海兵隊の移転問題とも関連して、グアムの実際を知る手がかりになる。
▼グアムは太平洋マリアナ諸島の15の島の南端に位置し、面積約549平方キロ、淡路島とほぼ同じ大きさである。米軍基地が島の3割を占める一方で、観光客が訪れるリゾート・タモン湾には20をこえる大型ホテルが立ち並ぶ。島の総人口は17万人で、そのうち1割が米軍とその関係者、4割が先住民のチャモロ人、残りの5割が米本土やアジアから来た移住者。米軍関係者の多さと先住民の少なさが際立っている。
「数千年の歴史を持つチャモロ人」
▼グアムには数千年の歴史を持つ先住民のチャモロ人が住んでいた。西洋人がミクロネシア地域にあらわれたのは、1521年3月、スペインのマゼラン遠征隊が最初である。マゼラン隊は、グアム島の住民から水と食料の提供を受けて辛くも生き延びたにもかかわらず、武装兵を上陸させて島の住民を殺害し、住居を焼き払った。
▼1668年、スペインの宣教師サン・ヴィトレス神父がグアムを訪れ、1年間で1万3000人もの住民にカソリックの洗礼を施すなど、島の文化・伝統をキリスト教世界観で塗り替えようとしたため、これに住民が激しく抵抗し、二十数年間にわたるスペイン・チャモロ戦争に発展した。強力な火器を持つスペイン軍は、チャモロ人、とくに男性をことごとく殺害した。マゼラン隊到着の頃には5万〜10万人いたチャモロ人は、18世紀には約1500人にまで激減した。
▼こうしてスペインの植民地となったグアムは、1898年の米西戦争の結果、スペインからアメリカへ譲渡された。アメリカがグアムに派兵したのは、スペインの植民地を解放するためではなく、米大陸から中国に至る太平洋横断航路の中継地を確保するためだった。
▼米領となったグアムの行政長は、住民の選挙によらず、米国海軍大差が総督として任命され、議員も総督の任命だった。初代総督はグアムの英語化を指示、全住民に英語表記で自分の名前をサインできるようにさせた。彼らにとって教育制度の確立は必要なく、土地所有制度を整備して土地を奪い取ることが最優先にされたのである。
「一世紀以上にわたる米国の占領」
▼こうして1941年に日本軍に占領され、「大宮島」とされた三年間を除いて、アメリカは現在まで一世紀以上にわたってグアムを植民地支配下におき、アングロサクソンの法制度と言語によって統治してきた。だが、フィリピンのマニラ麻やハワイのサトウキビのような商品作物の大規模生産は期待しなかった。つまりアメリカがグアムに求めたものは、アジアへの前哨基地として「ただそこに在ること」だけだった。
▼巨大な軍事基地が存在し、現地住民の自治権が認められなかったグアムは、1960年代なかばまで、米国市民であっても軍事機密保持のために総督の許可無く島に立ち入れない「立入禁止」の孤島だった。それが変化したのは60年代の大統領ケネディ時代で、ベトナム戦争拡大からくる国際収支の深刻な赤字への対策として、グアムの観光開発が行われ、乳頭制限が解除された。日本のテレビや映画で「南国の楽園」と宣伝され、日本人が観光客の8割を占めた。同時にベトナムへの兵隊と軍事物資の供給地となった。
「グアム上回る植民地属国の日本」
▼現在でもグアムは、アメリカの「未編入領土」という名の植民地である。グアム住民は連邦政府が定める納税義務を果たしているが、アメリカ大統領選挙への投票権は与えられていない。また、普通選挙で選出された「グアム代表」は連邦下院議会に出席はできるが、議決権は与えられていない。
▼グアムは観光産業以外に主要な産業がなく、その観光産業は外資企業が占めている。外資企業は客室清掃や調理などのブルーカラーに、チャモロ人ではなく(米国市民権を持ち、最低賃金を保障しなければならない)、フィリピン人や他島からの移民を最低賃金以下で大量に雇うことで、経営コストを圧縮している。先住民のチャモロ人は、おもに米軍基地関係の仕事についている。
▼そしてグアムの住民が住んでいる地域は、給水施設が未整備のために断水が頻繁に起こる。また数年に一度大型台風が上陸し、島中の電線を破壊して、長期停電と断水になる。摂氏35度を超える熱帯の島で、水も電気もない状態が数週間から数ヶ月続き、病人や死者も出る。だが他方で、巨大な米軍基地と林立する観光施設には日々大量の水と電力が潤沢に注ぎ込まれ、停電や断水とは無縁である。チャモロ人を始めグアムの住民は、民主主義と人権を享受すべき同等の人間とはみなされていないのである。
▼しかし翻って日本の現状を見るなら、アメリカの財政危機を救うために年々膨大な富を吸い上げられているばかりでなく、沖縄や岩国や全国に米軍基地がはりめぐらされ、その維持費も拡張費も奪い盗られ、米政府が想定する対中国戦争ではグアム以上に原水爆戦争の前線基地・米国の盾として火の海にされかねない状態におかれている。グアムを上回る植民地属国の現実を直視しないわけにはいかない。(浩)