ンヘンよりは遠いのです。ザルツブルグにいて大司教の許しがな
いと外に出られないレオポルトは、息子のモーツァルトがウェー
バー家に深入りしつつあることをどうして知ったのでしょうか。
このテーマの最初のところで述べたように、レオポルトは音楽
の指導者としては大変優れており、多くの弟子がいたのです。そ
ういう弟子の大半はウィーンにおり、彼らがレオポルトに手紙で
モーツァルトの情報を詳細に伝えてくれたのです。
しかし、セシリアのモーツァルト誘拐作戦は、計画性を持って
着々と進められたのです。コンスタンチェにいつも小ざっぱりし
た衣装を着せ、清潔感あふれる雰囲気を感じさせるよう振舞わせ
たのです。このセシリアの作戦は、モーツァルトが父に送った次
の手紙から成功していることがわかります。手紙はウェーバー家
のことを書いています。
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ひとつの家族が、一人一人、気質が全く違うのを見たことがあ
りません。長女のヨゼファは怠け者で、粗野で、嘘つきで、狡
猾な人間です。ランゲに嫁いだ次女アロイジアも嘘つきで、意
地悪で、コケットです。(一部略)ところで、三女、つまりぼ
くのやさしい、いとしいコンスタンチェは、家族のなかの殉教
者なのです。いちばん気立てがよく、いちばん分別があり、姉
妹のなかでいちばんいい娘です。家じゅうの面倒を見ているの
ですが、なにひとつうまくいきません。
――真木洋三著、『モーツァルトは誰に殺されたか』より
読売新聞社刊
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モーツァルトがコンスタンチェを妻に迎えることに反対してい
たのは、レオポルトだけではないのです。まわりのモーツァルト
の友人は全部反対だったのです。それは、コンスタンチェがふし
だらな女であるという理由からです。
この噂を耳にしたセシリアは危機感を持ち、相談相手のトール
ヴァルトの知恵を借りて、一世一代の大芝居を打つのです。この
助っ人のトールヴァルトは、セシリアを伴い、コンスタンチェの
後見人であると名乗ってモーツァルトに会います。そして、次の
ようにいったのです。
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私はコンスタンチェの後見人ですが、彼女はあなたとのあらぬ
噂話や中傷に傷ついています。そこで、コンスタンチェとの今
後の交際は、文書で約束するまで、一切お断りします。
――トールヴァルトの言
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驚いたのはモーツァルトです。コンスタンチェも悪くないなと
思いはじめたときに交際断絶を宣言されたので、ショックを受け
たのです。そして、どのような文書を入れるのかと聞いたところ
トールヴァルトは次のようにいったのです。
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ヴォルフガング・モーツァルトは、コンスタンチェ・ウェーバ
ーと2年以内に結婚する義務を負うものとします。もし双方に
それが不可能な事情が起き、考えが変わった場合、罰金として
300フロリンを毎年支払います。 ――前掲書より
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ひどい話です。普通の常識ある人であれば、即座に結婚をあき
らめたでしょうが、モーツァルトは違ったのです。彼は即座にそ
のように文書を書き、トールヴァルトに渡したのです。彼はそれ
を一読すると、セシリアに渡して引き上げます。
しかし、セシリアと後見人の計画はさらに手の込んだものだっ
たのです。こういう連中の手にかかると、純情なモーツァルトな
ど赤子の手をひねるように簡単に騙されてしまいます。
そこにコンスタンツェが現れます。モーツァルトは彼女に結婚
契約書を書いた事情を話すと、コンスタンツェは母親に文書を見
せるようにいい、それを破り捨ててしまうのです。そして、モー
ツァルトに次のようにいったのです。
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モーツァルトさん。私はあなたを信じています。こんな契約書
なんかいりません。あなたの言葉だけで結構です。
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このコンスタンツェの言葉にモーツァルトが喜んだのはいうま
でもありません。しかし、すべては芝居だったのです。後見人の
トールヴァルトはそこまでの筋書きを書いていたのです。まんま
とモーツァルトは騙されてしまったのです。
モーツァルトについて知ろうとするとき、モーツァルトがどう
いう人間だったのかということと、妻のコンスタンツェについて
詳しく知っておく必要があります。
現在、モーツァルトにかかわるいろいろな手紙や文書、逸話を
分析すると、コンツタンツェがいかにモーツァルトを愛していな
かったことが明らかになっています。
モーツァルトが死んだとき、最低ランクの葬式を出し、墓さえ
も作らなかっただけでなく、ニッセンという男と早々と再婚し、
モーツァルトの作品から入る資金などで、贅沢な暮らしをしてい
るのです。アロイジアさえもできなかった暮らしをです。
モーツァルトの死後30年経ったある日、ある夫妻がコンスタ
ンツェに会ったとき、モーツァルトが愛用していた金時計を見せ
てもらったそうです。夫妻が熱心に見ていると、コンスタンツェ
は「よかったら、それ上げますよ」といったというのです。
そんな恐れ多いことを・・と夫妻は遠慮したのですが、本当に
コンスタンツェがモーツァルトを愛していたのであれば、世界的
な音楽家になった夫の遺品を簡単に人にくれてやることなことは
しないでしょう。コンスタンツェは最初からモーツァルトを金づ
るとしてとらえ、一世一代の大芝居まで打って、モーツァルトと
結婚したのです。 ・・・・・ [モーツァルト09]
≪画像および関連情報≫
・世界の3大悪女とは誰か
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1.モーツァルトの妻 ・・・・・・・ コンスタンツェ
2.哲学者ソクラテスの妻 ・・・・・ クサンティップ
3.文豪トルストイの妻 ・ソフィア・アンドレーエヴナ
これら有名人の妻達にはなぜか悪妻が多いようである。天才
であるがゆえに凡庸な女性では飽き足らず“やや難しい”女
性を選んでしまう運命なのであろうか。モーツァルトを愛す
る者たちにとって、その妻を悪く書く事はためらわれ、良い
人物として解釈したいものである、しかしそれでは、本当の
モーツァルトの姿は見えてこない。後世の人々から“悪妻の
レッテル”を貼られてしまうには、どんな訳、どんな事実が
あったのであろうか。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/salieri-mozalt/konstanz.htm
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