2011年12月28日

●「解体の危機に瀕する特捜検察」(EJ第3210号)

 本号は2011年最後のEJになります。2012年は1月4
日から配信します。
 一人の政治家──それも与党の有力な政治家である小沢一郎氏
を失脚させるために国家権力の象徴である特捜検察が総力を上げ
て挑んでから2年半が経過しようとしています。
 これは検察にとって非常にリスキーな賭けです。失敗すれば、
組織の崩壊に繋がるからです。もし、小沢氏がこの裁判で無罪に
なって復権すると、おそらく国政調査権を使って検察組織を徹底
的に調査し、民主国家にふさわしい捜査機関に作り換えるぐらい
の荒療治はやると思われます。
 確かに小沢事務所の秘書は全員起訴され、有罪の判決を受けて
います。小沢氏自身も検察審査会の強制起訴による裁判の被告に
なっています。しかし、ここまでの裁判の経過は検察側にとって
きわめて不利になりつつあり、現在、検察組織はその崩壊の一歩
手前まで追い詰められているといっても過言ではないのです。
 2009年3月3日に小沢事務所の第一秘書である大久保隆規
氏がいきなり逮捕されたとき、小沢氏のことをよく知る人たちは
「これは自民党の仕業だな」と考えたのです。自民党にとって、
小沢民主党の勢いを止めるには、そのぐらいしか有効な方法が思
い浮かばなかったからです。
 しかし、当時の自民党に検察を動かして小沢氏にゆさぶりをか
けるような力は既になかったのです。むしろ官僚組織の危機感が
そうさせたのだと思います。なぜなら、小沢氏は「政治主導で官
僚中心の政治を国民の手に取り戻し、国のかたちを変える」こと
を政治目標にしている政治家だからです。それは小沢氏の著書や
演説、テレビなどでの話において、明確に打ち出されています。
したがって、小沢氏は官僚組織にとって、きわめてリスキーな政
治家のひとりなのです。橋下大阪市長も同様の存在です。
 「その小沢が天下を取り、総理になったら・・」──官僚組織
が危機感を持つのも当然です。小沢氏なら、ひ弱い他の民主党の
幹部と違って腕力があり、本当にやりかねないからです。「壊し
屋小沢」の異名がそれを何よりも物語っています。
 とんでもないことですが、特捜検察は一度逮捕すればたとえそ
の人が真犯人でなくても、有罪にできるノウハウを持っているの
です。犯罪のストーリーを検察が組み立て、そのストーリーを補
強するものは証拠として採用するが、それと矛盾するものはたと
えそれが真実であっても証拠にしないのです。これは12月16
日の小沢公判で、証人として出廷した前田恒彦元検事が明確にそ
う証言しているのです。これはとんでもないことです。
 それに裁判所も、とくに特捜検察の組み立てたストーリーにつ
いては、ほぼそのまま受け入れて有罪判決を出しており、検察と
裁判所は繋がっているといっても過言ではないのです。その典型
が陸山会裁判の3元秘書の有罪判決です。証拠はなくても裁判官
の推認によって全員有罪にされてしまっています。こうなると、
日本は冤罪地獄に陥ってしまうことになります。とにかく逮捕さ
れたら、一巻の終りなのです。どこかの独裁国家と何も変わらな
いのです。検察ファッショそのものです。
 小沢氏は政治とカネの元凶のようにいわれていますが、少なく
とも私の調べた限りにおいては、そういう疑惑はまったく存在し
ないのです。これは、大久保、石川、池田の元秘書3人を逮捕し
て取り調べた検察が一番よく知っているはずです。
 小沢氏もいうように、国家権力が2年9ヶ月もかけて徹底的に
調べ上げても何も出てこないのですから、それはないというのが
正しいのです。だから、検察は小沢氏を不起訴にしたのです。そ
うせざるを得なかったのです。
 むしろ、特捜検察の大きな成果は、小沢氏に「稀代の悪徳政治
家」のレッテルを貼ったことです。何しろ世論調査をすれば80
%の人が小沢氏に否定的な判定をするのです。小沢氏自身が何も
していなくても「やっているに決まっている。うまく隠している
だけだ」として、小沢氏を一方的に批判します。小沢氏が何も反
論しないので、そう信じている人が少なからずいます。
 これは、記者クラブメディアに大きな責任があります。もし、
裁判で小沢氏が無罪になり、復権すると記者クラブは今度こそ廃
止され、報道メディア各社は厳しい報復を受けるはずです。彼ら
はまさにウォルフレン氏のいう「人物破壊」を小沢氏に行ってお
り、メディアとしては絶対にやってはならないことです。もし、
小沢氏に名誉毀損で訴えられたら、どうするのでしょうか。
 既に述べたように、特捜検察は、小沢氏を起訴できないと初期
の段階で判断していたと思われます。そこで検察審査会を使って
小沢氏を強制起訴に持ち込む戦略を立てたものと思われます。小
沢氏に不起訴処分が出たとき、テレビ朝日の「サンデープロジェ
クト」(当時)で、有力な検察ОBの宗像紀夫氏が、「今度は検
察審査会で小沢氏は裁かれる」というような趣旨の発言をしてい
たのを私は聞いています。
 問題はいかにして2回の起訴相当を出させるかです。それは検
察にとってそれほど難しくないのです。というのは、検察は検察
審査会の審査員に対し、「不起訴にした理由」について資料を提
出して説明する機会が与えられるからです。これは、本音では小
沢氏を起訴したい検察にとって絶好の機会です。
 その説明のさい検察は、あくまで小沢氏は共謀していると思う
が、諸政治判断で起訴できないというニュアンスを匂わせればよ
いのです。さらに正式な証拠ではないが、付属資料として田代検
事の作成した虚偽の捜査報告書を提出すれば、素人の審査員でも
あり、本当だと思ってしまうでしょう。つまり、検察審査会の制
度を特捜検察は悪用して、小沢氏を強制起訴させたのです。
 まして検察のリーク情報に基づく記者クラブメディアの報道で
「小沢=悪人」のイメージが定着しているので、小沢氏に起訴相
当議決を出すのは簡単なことです。あなたはこのような特捜検察
を許せますか。         ── [財務省の正体/36]


≪画像および関連情報≫
 ●小沢弁護団、虚偽捜査報告書を証拠申請へ
  ―――――――――――――――――――――――――――
  資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り政治資金規正法違
  反(虚偽記入)に問われた小沢一郎民主党元代表(69)の
  公判で、当時の東京地検特捜部検事が作成した捜査報告書に
  虚偽があった事実が発覚した問題で、小沢被告の弁護側は、
  来週、この報告書を根拠にした東京第5検察審査会の起訴議
  決は無効だとして、報告書を東京地裁に証拠申請することを
  決めた。同審査会に提出された捜査資料のリストの開示も求
  め、報告書などが起訴議決に与えた影響を明らかにしたい考
  えだ。この捜査報告書は、元特捜部の田代政弘検事(44)
  が昨年5月、保釈された同会元事務担当者・石川知裕衆院議
  員(38)の再聴取後に作成。昨年1月の勾留中の取り調べ
  で小沢被告の関与を認めた理由として、石川被告が「検事か
  ら、ヤクザの手下が親分をかばうようだと言われたことが効
  いた」と述べたと記載している。
           ──2011年12月24日/読売新聞
  ―――――――――――――――――――――――――――

検察庁.jpg
検察庁
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 財務省の正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「福一も防衛省もいまも人類への害毒大量拡散中」

>12月26日東京新聞 私説・論説室から:返還問題か、移設問題か
>「返還」と書くか「移設」と書くか。たかが二文字、されど二文字である。▲

書くべきは「破棄」の二文字。

すなわち地位協定破棄。

それだけで沖縄すなわち日本から治外法権軍属が屯する米軍基地は存在できなくなって倒産して無くなる。
なぜならもう米国には海外の交戦中基地を維持する財力がないから、撤退せざるを得ない。

それとも極東に戦争を起こして特需を演出し沖縄と本土の基地に交戦中治外法権=地位協定をたてに居座り続けるか。
アメリカの選択肢はこのふたつにひとつしかない。

参照:長周新聞
朝鮮転覆狙い軍事緊張作る米国
金正日氏急死
 米日韓軍事同盟で戦争挑発    2011年12月21日付
>>http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/tyousentenpukuneraigunjikintyoutukurubeikoku.html


平和を守る日本人はすべての精神力を地位協定「破棄」=平和憲法独立不羈立国へと集中させよう。
Posted by 東行系 at 2011年12月28日 16:15
官公庁にある行政利権同盟「官公労」が、検察庁に「小沢一郎を、こじつけの事件(冤罪)で検挙し、失脚させよ」と命じたのだろう。なぜなら、こういう反国家的な汚職行為を平然とできるのは、同じく反国家的な汚職行為を肯定する共産主義思想(労組の論理)に染まった国及び地方の公務員(官公労)に他ならないからだ。「官公労」は、私利私欲におぼれて愛国心・公僕心・公共心をなくし、利己的な労働組合活動を行い、中国共産党(中国)及び朝鮮労働党(北朝鮮)と緊密に連携しながら日本国家の解体を進めている以上、国及び地方の予算から、かかる不逞の公務員(官公労)への給料支給を止め、すべからく免職しなければならない。なお、国家再建の根本策は、私利私欲なき不惜身命の気概を有する省庁(労組のない防衛・治安関連の省庁)を残し、他の全ての労働組合まみれの利己的な省庁を、その傘下に統廃合することである。これこそが、国家防衛・財政再建・社会保障を成し遂げる唯一の道である。ここで、日本国の近未来を予測するため、2010年に顕在化したギリシアの国家財政破綻の事例を挙げよう。ギリシアの国家財政破綻の原因は、人口約1100万人のうち約100万人が公務員であり、その家族を含めると、国民の過半数以上が国家予算に依存した生活を送っており、しかも、公務員が自国の存続を顧みない共産主義的な価値観に染まり利己的で贅沢な暮らしを追求していたことにある。EU加盟国であるため、ドイツとフランスが中心になってギリシアの国家財政を支えて急場をしのいでいる。日本の公務員(官公労)も、ギリシアの公務員と同様に国家の存続を顧みず、他の国民の生活を斟酌せず、私欲を満たすだけの暮らしを追求してきた。例えば、平成19年度(2007年)の国家予算の支出に関して、2万5000人の国家公務員OBが、4500法人に天下りをし、その4500法人に、12兆1000億円の血税が流れている。この支出額は消費税5%に相当する。従って、ギリシアの二の舞とならぬよう、また、かつての中曽根康弘内閣(1982〜1987)による三公社の民営化(日本専売公社=JT、日本国有鉄道=JR、日本電信電話公社=NTT)を見習い、共産主義者の牙城である官公労を早急に解体すると共に、国家(国民)を顧みない不逞の公務員(官公労)のための行政組織と化した、国家(国民)に不利益をもたらしている国及び地方の行政組織をリストラクチュアリングせねばならない。これが本当の公務員制度改革である。さて、2009年9月16日から発足した民主党連立政権(鳩山由紀夫内閣)は、発足から二ヵ月後の11月17日の閣議決定において「地域主権戦略会議」を設置したが、これは「地方自治」の問題を、共産主義者の造語である「地域主権」と言い換えて、日本国家の主権を解体し、共産主義革命を用意する反国家的な政府機関である。そもそも、民主党のマークは、国旗「日の丸」を上下に分断した図柄であり、残忍な共産主義者の政治目的をシンボライズしている。民主党議員は、選挙公約(マニフェスト)を一つも守らず、国民(有権者)を欺瞞した「衆議院議員総選挙」(2009年8月30日)において、自己の生活費と私欲のために当選しようとしたにすぎず、衆議院議員に当選した後には、国家(国民)のためではなく官公労のために、国会議員の歳費・旅費・手当等を毎月受け取りながら、反国家的な政策を熱心に推し進めている。かかる議員連中から成る民主党は、政策(主張)を異にする利己主義者の集合体であり、「官公労の行政利権(労組の票・政治資金)に与りたい」という本音を国民(有権者)に隠しながら、今後も国民を騙し続けるために、政党の「綱領」を未だに持たない。つまり、官公労は、寄せ集めの利己主義者たち(民主党議員)を操って、国民(有権者)を計画的に騙し続けるつもりなのである。民主党を操っている官公労の政治目的は、第一に、官公労の既得権益・行政利権を守るために「公務員制度改革」を潰すことである。第二に、中国共産党(中国)及び朝鮮労働党(北朝鮮)と水面下で癒着しながら日本国に共産政権を擁立することである。第三に、中国共産党(中国)が支配する共産政権下の特権階級として日本国民の全財産及び全生活を完全に支配することである。例えば、自民党の安倍晋三内閣(2006年9月〜2007年9月)の時に本格化した「公務員制度改革」は、次の福田康夫内閣(2007年9月〜2008年9月)の時に「国家公務員制度改革基本法」となって、2008年6月に公布されたが、現在に至るも「公務員制度改革」は一つも施行されていない。この原因は、自治労・日教組を含む官公労を出身母体とする民主党議員たちが、官公労の既得権益・行政利権だけを守るために、弱い国民(労働組合に非加盟で既得権益・行政利権とは一切無関係な一般国民)に過大な税金負担を押しつけ、最低限度の生活も、ままならない国民の貧困状態を見ても、 『国民の貧困・苦悩・不幸を極大化することこそが共産主義革命への第一歩である』 と考えて、国民の不幸を歓迎しながら、極端に利己的な【労組の論理】を貫き、「公務員制度改革」を潰したからだ。官公労は、自己の既得権益・行政利権が保証される限り、中国共産党(中国)による日本支配に加担・協力し、【労組の論理】によって「公務員制度改革」を潰したのである。 「公務員制度改革」を実施せずに「増税」だけを弱い国民に強要する民主党は、中国共産党(中国)及び朝鮮労働党(北朝鮮)と癒着した共産主義者の集う反国家的な政党に他ならない。
Posted by 国家とは何かを知る者 at 2011年12月29日 21:29
上記コメントのうち中国共産党のところを地位協定アメリカ「軍」とすれば実態に即した正論である。
現実に国会〜地方議会議員や官僚〜公務員のヤミ治外法権スパイ活動を、明白な証拠をもって検挙できるであろう。
すべての省庁・地方出張所へ直ちに捜査に入れ。
Posted by 東行系 at 2011年12月30日 01:59
さて日々新たなり。貼り初めよろしくお願いいたします。

>「不安を抱える子供たちを救う、面倒見のいい大人たち!」
(「日本人」の研究!さまhttp://cpt-hide-cook.seesaa.net/article/242442765.html
(本文中略)
今はその「面倒見のいい大人」がだいぶ少なくなったように思う。
また親の体質もかなり変わってきたので「面倒見のいい大人」であり続けるのがなかなか難しくなってきている。
そんな中でも、Y君は子供たちに太鼓を教え、さらに自宅を開放してまで、勉強を教えている。
そして、学校に行かない子にも生き生きと自分を出し切れる場を与えている。

本当に頭が下がる。

こういう一人一人の善意が社会を成り立たせているのではなかろうか。
(本文転載終わり)

この記事へのコメント(転載)

1.人が人を信じるということは、その人の「一生懸命さ、一所懸命さ」を一生懸命に一所懸命に信じるということなのだと、このお話から教えていただきました。

わたしも懸命に自分の考えつくかぎり親切で有り続けたいと思います。たとえ大きなお世話と言われてもね。信あれば通ず。
Posted by 通りがけ at 2011年12月26日 09:20

2.これは扶桑の島の伝統であり、縄文時代の昔から扶桑の島に住む人々をつねに同時代の世界からもっとも尊敬される美徳を具えた社会を築ける優れた人々たらしめてきた尊い性質、「親身になる」ことができる伝統的特質である。

とはいえこれは扶桑の島の民衆、常民の間だけの特質であり、支配階級や権力者で「親身になる」ことができたのは聖徳太子以来では田中角栄氏ただひとりである。彼は東大のような拝金亡者粗製濫造バカだ大学へなど行ってないからね。じつに誰よりも親身になる能力が大いなる、世界中の誰に対しても隔てなく常に親身であり続けた、世界史上不世出の首相統治者であった。

「親身になる」
これこそが扶桑の島を伝え続けるわれわれ日本人にとって命よりも大切な父祖伝来の尊い教えなのである。
Posted by 通りがけ at 2012年01月03日 05:43

すなわち、震災対応も原発事故対応も暴虐地位協定破棄もすべて「親身に」なれば即応解決できる。
Posted by 東行系 at 2012年01月03日 07:20
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