野田首相はAPECや東アジア首脳会議(サミット)の閉幕後
の記者会見で、まるで宣言するように次のようにいっています。
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年内をメドに結論が出るように政府税制調査会を中心に議論
を進める。法案を提出する時が閣議決定だ。その前から与野
党で政策協議をしたい。 ──野田首相
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菅前首相に野田首相──財務省からみると、これほど扱い易い
首相はいない。経済──とくにマクロ経済や国家財政についての
知識が決定的に欠けているので、簡単に騙されてしまうのです。
官僚機構(財務省)がなぜ増税──それも消費税増税に前のめ
りになるかというと、彼らは長い間にわたって、税金が入ってく
ると、本来の目的の出費に使う以外の相当の金額を密かに貯め込
むシステムを巧妙に作り上げているからです。
何かに備えて準備するというと聞こえはよいですが、その「何
か」は国家・国民のためというよりも、自分たちの天下りのため
の財源に流用するためにそうするのです。
「国債費」というものがあります。2011年度予算では、約
22兆円が計上されています。「こんな巨額の予算を組まなけれ
ばならないので、財政が硬直化する」──これが財務省のいい分
ですが、これはとんでもないインチキな意見であると元財務官僚
の高橋洋一氏はいうのです。
一般の国民は当然この22兆円全額が国債の利払いに充てられ
ると考えますが、実は違うのです。利払いには半分程度しか使わ
れていないのです。それでは残りはどうなるのでしょうか。
残りの金額は「債務償還費」──具体的には「国債整理基金特
別会計」に積み立てられるのです。国債を償還できなくなると困
るので、そのため基金として積み立てているというのです。これ
は「減債制度」といわれています。これについては詳しく検証す
る必要がありますが、高橋氏の所論を基にして以下に述べます。
高橋氏は次のようにいっています。
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一般会計のかなりの部分が国債発行による国民からの借金で賄
われている。国債償還金は、その借金で賄われている一般会計
から支出される。つまり財務省は、将来、国債を償還するため
に、国民から二重に借金して基金を積み立てているのだ。普通
莫大な借金があるのに、さらに借金して積立をする馬鹿はいな
い。積立できる余裕があるのなら、そのお力ネは借金返済に充
てるのが、普通の人の感覚だ。そのほうが余計な金利を払わな
くて済むので当然だ。国のレベルでも一緒で、だから普通の国
には減債制度はない。 ──高橋洋一著
『財務省の隠す650兆円の国民資産』/講談社刊
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このような減債制度があるのは日本だけであり、外国にはない
のです。なぜなら、借金を返すためのお金を借金して積み立てて
いるというのはあまりにも馬鹿げていると高橋氏はいいます。ど
うしてこのような制度が残っているのでしょうか。それには、次
の2つの理由があると高橋氏はいうのです。
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1.官僚は前例踏襲主義に陥っている
2.国債残高をより大きく見せられる
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第1は、「官僚は前例踏襲主義に陥っている」ことです。
高橋氏によると、先輩の作った制度を廃止したり、変更したり
することは、先輩を批判することにつながるのです。霞が関では
先輩や上司のやった仕事の批判は御法度なのです。そのため、ほ
とんどの官僚は自己保身のため、前例踏襲主義を取り、どんなに
バカバカしい制度でも変えようとはしないのです。
第2は、「国債残高をより大きく見せられる」ことです。
2011年度予算で考えてみます。新規国債発行は約44兆円
──このうち、特別会計に積み立てる債務償還費は12兆円です
から、新規国債発行は32兆円で済むのです。しかし、実際には
44兆円の国債を発行するので、実際には赤字国債は12兆円多
くなっていることになります。国民へは借金が多くあるように見
せる方が増税しやすいので、減債制度を廃止しないのです。
したがって、この12兆円を東日本大震災の復旧・復興に回す
ことは何ら問題ではなく、そうすれば復興増税など必要ではない
のです。国会でも、みんなの党の江田幹事長をはじめ野党議員が
「なぜ国債整理基金のカネを使わないのか。以前も使った実績が
あるではないか」と政府に迫ったのですが、菅政権時代の野田財
務相は「国債償還を守るために必要である」として聞く耳を持た
なかったのです。わかっていてトボケているのか、本当に知らな
いのか知りませんが、いずれにしても許せない対応です。
野田首相は、こんなときに消費税を上げるとどんな結果を招く
のか──何もわかっていないのです。わかっていても知らん顔を
しているのであれば国民への裏切りであり、民主党は次の衆院選
で大敗確実です。50人程度になるという予測もあります。
しかし、官僚機構にとっては、経済がどうなろうと、民主党が
選挙に負けようと、国民がそれによってどんなに困窮しようと一
向に意に介さないのです。彼らは悪いことをしてもクビにはなら
ないし、給与も年金も国民とは別建てできわめて高く、安定して
いるからです。つまり、彼らに国民の痛みはわからないし、わか
ろうともしないのです。
野田官邸を牛耳っている財務省官僚、マスコミで増税の必要性
を説くキャスター、学者、政治評論家、そして最大野党の自民党
への硬軟織り交ぜての働きかけ、財務省はあらゆるところに手を
回し、消費税増税を実行しようとしています。その執念たるや尋
常ではないのです。しかし、元代表の小沢一郎氏は、11月19
日に増税反対を表明しています。 ── [財務省の正体/11]
≪画像および関連情報≫
●「中西の目チ゛カラ」/みんなの党・中西けんじ氏の主張
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国の債券発行・償還の一連の流れの中に国債整理基金と決算
剰余金が存在していることは前回説明させて頂きました。今
回は、これらを復興財源として如何に活用するかについて私
の考えをまとめたいと思います。これまで国会の場で私たち
が主張してきているのは、国債整理基金に積み上がっている
資金の活用と、一般会計から基金への定率組み入れの一時停
止です。それに対して政府が提案し国会で議決されたのは、
昨年度一般会計決算剰余金の国債整理基金への繰り入れ停止
です。私たちの主張と政府の見解の違いを正しく理解してい
ただく上でまずおさえておきたいのは、国債整理基金内の償
還財源の復興財源としての利用や、定率組み入れの停止、決
算剰余金繰り入れの停止のどれもが、国の純債務を増加させ
ると言うことです。これらはどこかに眠っている不要の資金
つまり埋蔵金などではなく、国が既に民間から借り入れてい
るが返済のために取り置きしてある資金なのです。この三つ
はすべて国債償還のために使うことを法律で定められている
資金です。ところが政府は、決算剰余金の国債整理基金への
繰り入れ停止を決める法律の説明の中で、「新たな国債発行
に依存しない」ことを今回の措置の理由としています。ネッ
トで考えれば国の債務が増えるにもかかわらず、あたかも債
務が増加しないかのような説明を行うのはめくらましとしか
言い様がありません。
http://nakanishikenji.jp/blog/seisaku/4176
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消費税増税を意欲を示す野田首相
2011年11月21日
この記事へのコメント
「官僚機構にとっては、経済がどうなろうと、民主党が選挙に負けようと、国民がそれによってどんなに困窮しようと一向に意に介さないのです。彼らは悪いことをしてもクビにはならないし、給与も年金も国民とは別建てできわめて高く、安定しているからです。つまり、彼らに国民の痛みはわからないし、わかろうともしないのです。」という主張は、わたしの体験から言っても真実だ。しかし、少し疑問がある。例えば、「官僚機構」を牛耳っているのが「財務省」であるという仮説だ。つまり、「財務省」だけではなく、「官公労」(官公庁の労組の総称で、自治労・日教組などを含む)こそが、労組の論理で、自民党の安倍・福田政権時に成立し公布された「公務員制度改革」(=2008年の国家公務員制度改革基本法)を潰した張本人である。よって、国民生活を犠牲にしつつ、国民の税金で余裕のある生活を満喫している残忍な「官僚機構」を支えているのは、「財務省」ではなく、共産主義思想を持つ「官公労」である。「財務省」は、「官僚機構」を守り、かつ支えているのではなく、それに乗っかっているだけだ。だから、問題視すべきは、「官僚機構」を守り、かつ支えている「官公労」だ。
Posted by 国家とは何かを知る者 at 2011年11月22日 00:52
付言すれば、日教組の輿石幹事長をはじめ、民主党政権を主導しているのは、「官公労」出身議員たちであり、「官公労」を票田として利用することによって政権交代を実現したのが、小沢一郎たちだ。従って、民主党政権=「官公労」=「官僚機構」の図式が成り立つ。平野氏が、「財務省」及び「官僚機構」を批判するのであれば、小沢一郎と民主党政権を批判するべきであった。平野氏が、それらを擁護し、支援する主張を展開したため、わたしは平野氏の無定見そのものである「官公労」的な政治見識を強く批判した。今や、実際に「財務省」や「官僚機構」を批判しているのは、2009年の政権交代後は、自民党である。
Posted by 国家とは何かを知る者 at 2011年11月22日 01:09
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