2011年10月12日

●「石川知裕氏の稚拙な裁判での証言」(EJ第3158号)

 陸山会の公判で、定期預金担保の銀行融資については次のよう
なやりとりが行われています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 裁判官:そもそも、なぜ、わざわざ定期預金を担保にして融資
     を受けたのですか。
 石 川:資金を溶かさないようにしました。
 裁判官:りそな銀行の陸山会口座に、4億円を確保しておきた
     かったということですか。
 石 川:現金で支払いすると、すぐにお金がなくなってしまう
     ので、預金担保を思いつきました。
 裁判官:毎年、450万円もの金利負担は、大きな負担ではな
     いですか。
 石 川:少なくないとおもいますが、資金を溶かさないために
     は大きな支出ではないと思いました。
 裁判長:(割って入り)あなたが溶かさないと言っている意味
     は、運転資金を確保するということですね。でも、債
     務を返済しない限り定期預金は使えないのだから、銀
     行に預けた4億円は運転資金になりませんね。それな
     ら、小沢氏から借りた4億円を直接使って土地を購入
     しても同じことじゃないですか。
 石 川:小沢氏からの4億円を明確にする必要がありました。
     小沢氏から借りた4億円と政治団体の金がゴッチャに
     ならないようにするためでした。
    ──『WiLL』11月超特大号掲載/長谷川学氏論文
―――――――――――――――――――――――――――――
 定期預金を担保にして融資を受ける目的について裁判官に聞か
れた石川氏は、「資金を溶かさないため」と答えています。決し
て上手な表現ではないと思います。それをとらえて裁判長は「溶
かさないとは運転資金を確保するためか」と念を押しています。
 これに対して石川氏は、運転資金であるはずはないのですから
反論すべきなのにそのように答えていないのです。これを見てわ
かることは、石川氏自身が陸山会の定期預金担保の融資の本当の
意味がわかっていないということです。
 陸山会は定期預金担保の融資は今までにもよくやっており、慣
例になっていたのです。石川氏はそれにしたがって処理をしたに
過ぎないのではないでしょうか。そのため、改めてその目的はと
聞かれ、返事に窮してしまったのです。
 石川氏の支離滅裂な証言はまだ続くのです。もう少しやり取り
を見ていきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 裁判長:(ゴッチャにならないようにするなら)小沢氏と借用
     書のやり取りがあればいいでしょう。
 石 川:(またしても沈黙したあと)うやむやにしたくなかっ
     たので。
 裁判長:うやむやという意味が分からない。小沢氏に借用書を
     書いてもらえば済む話でしょう。
 石 川:(沈黙のあと、うめくように)うまく説明できないの
     ですが・・・。すべてを合理的に説明できませんが、
     過去にも小沢氏から借りた金で預金担保を組んだこと
     があるので・・・。
 裁判長:過去にあったからというだけではなく、どういうメリ
     ットがあるのか説明して下さい。
 石 川:小沢先生に返さないといけないので・・・。その都度
     金を下ろせば無駄遣いになりませんから。
    ──『WiLL』11月超特大号掲載/長谷川学氏論文
―――――――――――――――――――――――――――――
 普通は公判の前に弁護士と十分打ち合わせをするものですが、
どうやらそれをしていないように思われます。出たとこ勝負とい
う感じです。準備する時間は十分あったはずですし、それをやっ
ていないというのは理解できないことです。
 これに加えて世田谷の土地の登記を2ヵ月先に延ばしたという
件についても石川氏と弁護士は裁判長の質問に納得のいく答えを
返していないのです。
 陸山会などの政治資金管理団体が不動産を持つことに批判があ
るようですが、2007年7月以前は認められており、陸山会の
ケースは合法なのです。それまでには自民党を中心に多くの資金
管理団体が不動産を取得しています。
 ここで整理しておきたいのは、政治団体といっても民主党や自
民党などの政党は法人格があるので、不動産を持つことができ、
現在も認められているということです。しかし、政治資金管理団
体は政党とは違い、法人格がないので、政治資金管理団体名では
不動産を持てないのです。そのため、不動産の登記は陸山会の代
表者名──小沢一郎名義ですることになります。
 それでは、政治資金管理団体が不動産を持つ場合、どのような
手続きが必要かというと、不動産を代表者名で登記すると同時に
その不動産の利用権が政治資金管理団体に属する契約を結ぶ必要
があります。陸山会による世田谷の土地取得についても同様の手
続きが必要です。これについて、石川氏は裁判長の質問に対して
次のように答えているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 石 川:もともと取得を翌年にしたかったが、不動産会社が翌
     年ではだめだと。司法書士に相談したところ、本登記
     の日を支出日にしてもいいということだったので、そ
     れで04年10月29日に陸山会が所有権を持ち仮登
     記したけれど、報告書には本登記日に合わせて05年
     1月に取得と記載しました。
    ──『WiLL』11月超特大号掲載/長谷川学氏論文
―――――――――――――――――――――――――――――
            ――── [日本の政治の現況/84]


≪画像および関連情報≫
 ●資金管理団体による不動産の取得等の制限
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  法律第百七号(平一九・七・六)
  ◎政治資金規正法の一部を改正する法律
  政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)の一部を
  次のように改正する。
  第十九条の二の次に次の一条を加える。
  (資金管理団体による不動産の取得等の制限)
  第十九条の二の二 資金管理団体は、土地若しくは建物の所
  有権又は建物の所有を目的とする地上権若しくは土地の賃借
  権を取得し、又は保有してはならない。
  ―――――――――――――――――――――――――――

登石裁判長.jpg
登石裁判長
posted by 平野 浩 at 02:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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