2011年10月11日

●「定期担保融資のどこが不正操作か」(EJ第3157号)

 忘れてはならないのは、陸山会の裁判の争点が政治資金収支報
告書の虚偽記載であるということです。裁判の訴因がそうなって
いるのです。しかし、公判の内容はまるで水谷建設からの贈収賄
事件そのもの。新聞は公判の模様をそのまま伝えるので、国民は
贈収賄事件の裁判だと錯覚してしまいます。それなら、検察は、
なぜ、堂々と贈収賄事件で立件しないのでしょうか。贈収賄が本
当であれば重罪です。それなのに、なぜ、執行猶予など付けたの
でしょうか。
 別件で現職国会議員を含む3人の元秘書を逮捕・起訴し、公判
の内容も水谷建設からの贈収賄の疑惑が不必要に強調され、その
うえで虚偽記載で全員有罪にし、アリバイ作りのために執行猶予
を付ける。検察だけではなく、裁判所まで腐っています。頼みの
綱の裁判所がこれではダメです。日本の司法の危機です。今週か
らはこの問題を徹底究明していきます。
 陸山会事件で検察はひとつのストーリーを作っています。その
ストーリーとはこうです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏は岩手県の胆沢ダムの工事に関連し、水谷建設から不正
 な金を収受した。そして、それらの金を含む4億円を陸山会に
 貸し付け、世田谷の土地を購入している。そのさい、小沢氏は
 秘書たちにその金を隠すことを命じ、秘書たちはその工作をし
 ている。彼らは小沢氏から借りた4億円を政治資金収支報告書
 に記載せず、その金を担保にして銀行から融資を受けるという
 不自然きわまることをしている。収支報告書の虚偽記載はその
 隠蔽工作の結果である。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これが本当なら、小沢氏は石川知裕氏がいうまでもなく、「悪
党」そのものです。しかし、その真偽を調べてみると、このスト
ーリーはデタラメであることがわかります。一般的にいって、小
沢氏を批判する人は、それがどのような高名な作家であっても、
ジャーナリストであっても、政治家であっても、コメンテーター
であっても、いずれの人も小沢氏のことをろくに調べもせず、自
分の小沢観に立って、新聞やテレビなどの風評をそのまま信じて
しまっています。最初から決めつけているのです。
 しかし、少しでも興味を持ってこの事件を調べた人に限って、
小沢氏の正当性を認める人が多いのです。別に小沢ファンでも、
親小沢でも、小沢擁護派でもないのです。少し調べれば、誰でも
検察の主張はおかしいことがわかるからです。その中にあって、
記者クラブメディアは事実を正しく掴んでいて、政略的に小沢批
判記事を書いているフシがあります。それだけに罪は万死に値し
ますし、そう遠くない将来にその報いは受けると思います。
 今やこの問題についてまともに書いているのは、新聞では「日
刊ゲンダイ紙」、週刊誌では「週刊ポスト」と「週刊朝日」ぐら
いなものです。一方、ネットでは表のメディアとは対照的に事実
を正確に掴んでいる人が多く、その結果、小沢氏を擁護する人が
圧倒的です。小沢氏が「ニコニコ動画」などのネットテレビにし
か出ないのは、編集によって意図が歪められることを恐れてのこ
とです。民主主義国家においてメディアが信じられないというの
は、「メディアの死」そのものです。
 とくに陸山会の公判で一番問題になったのは、当時の石川秘書
が、小沢氏から借りた4億円を定期預金にし、それを担保にして
同額を銀行から借り入れたことです。検察側はこれをもって「小
沢氏からの資金を隠すための不自然な資金の操作」と決めつけて
いるのですが、裁判所でもそれを信じているようです。
 企業が定期預金を利用して銀行から融資を受ける──これはそ
れほど不自然な行為ではないのです。確かに利息を取られますが
それを上回るメリットがあるからです。小沢事務所のやったのと
似た例で説明しましょう。
 ある企業が工場用の土地を購入することにして、その土地代金
と同額の定期預金を担保にして銀行から融資を受け、土地を購入
したのです。経理担当役員の判断です。資金がないわけではない
のです。なぜ、定期預金を解約して買わなかったのでしょうか。
 それは企業の信用を維持するための処置です。定期預金を担保
にしても、当然のことですが、帳簿上には定期預金は残っていま
す。使えないだけです。それに加えて、定期預金を担保にして購
入した土地は企業の増加資産になるのです。これは企業にとって
大きなメリットになるといえます。
 これは、企業でも政治団体でも同じことです。しかし、検察官
や社会を知らない裁判官にはわからないようです。そしてもうひ
とりわかっていない人がいたのです。それはその処理をした当の
本人である石川知裕議員です。なぜ、石川議員かというと、彼は
どうして定期預金を担保に融資を受けたのか、そのメリットは何
かについて、裁判官に十分説明ができていないからです。これに
ついての詳細は明日のEJで述べます。
 定期預金を取り崩さず、それを担保にして融資を受けるという
ことは、銀行にとってもメリットがあるのです。陸山会が銀行に
配慮したことは十分考えられるのです。しかし、その銀行──り
そな銀行衆議院支店の当時の支店長は検察寄りの発言をしている
のです。それは「土地購入のための定期預金担保の融資は異例中
の異例」とまで発言しています。本当なのでしょうか。理解に苦
しみますが、これが有罪のひとつの根拠を形成していることは間
違いないと思います。
 私は公判の情報を集めてみて、陸山会裁判が有罪になったのは
石川知裕氏自身と彼の弁護人であるヤメ検の木下貴司氏の対応に
も一因があったと思います。
 木下貴司氏は、どちらかというと説明があまりうまくない石川
氏にあまり喋らさず、自分で話してしまう傾向があるのです。し
かし、その説明もダラダラしてまわりくどいのです。これでは裁
判には勝てないでしょう。――── [日本の政治の現況/83]


≪画像および関連情報≫
 ●木下貴司弁護士/陸山会判決を批判
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢一郎元民主党代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる政
  治資金規正法違反事件で虚偽記載罪に問われ、有罪判決を受
  けた元秘書の衆院議員・石川知裕議員が2011年9月26
  日夕方、都内の衆議院第一議員会館で記者会見を開いた。会
  見では、石川議員の主任弁護人・木下貴司弁護士が、「裁判
  所が、検察が主張しておらずそれに沿う証拠も提出していな
  いのに、事実を独断的に認定している。現在の刑事訴訟法の
  あり方を超えた判決であり、非常に遺憾である」との声明を
  発表。石川議員は判決内容について拘置所の中で検事さんか
  ら言われた『事実と裁判の結果は違う』という言葉が忘れら
  れない。水谷建設から(受領したとされる)5000万円の
  認定を含めて、判決はまったく受け入れることはできない」
  と憤りを示した。http://news.nicovideo.jp/watch/nw119836
  ―――――――――――――――――――――――――――

石川弁護団/木下貴司氏.jpg
石川弁護団/木下 貴司氏(右)
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かに、石川本人がよく判っていなかったという点、定期預金担保は、借りる企業も貸す銀行もメリットありますから、貴方の言われることは正鵠を得ていると思っております。
ただ、本件と関係ない4億円問題の証人なるものを呼ぶと裁判所が決定した時、既にマスコミ報道で疑惑持っていたから((疑惑推認)、そこに裁判所が引っかかり、そこから、プラス説明が上手く出来ない石川に、さらに偽証に近い銀行の証言で、裁判所は「推認有罪」したのでしょうね。
Posted by yamada hideo at 2011年10月11日 12:12
すみません、教えてください
1)「定期預金を担保にして購入した土地は企業の増加資産になるのです。これは企業にとって大きなメリットになるといえます。」とありますが、同時に借金という負債も増えますから資産の増加にはならないのでは?むしろ利息分だけ資産は減るのではないですか?

2)100歩譲って資産が増加したとしてもそれは見せかけの資産増加であって粉飾まがいではないですか?株主や投資家や取引先を欺く行為ではないですか?

3)さらに100歩譲ってそういう操作での企業の行為を理解したとしても、政治家個人や資金管理団体が、見せかけの資産を倍に見せることで得られるメリットとは何ですか?

Posted by tanaka at 2011年10月15日 12:30
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
RDF Site Summary