2011年08月30日

●「海江田氏の敗因を分析する」(EJ第3130号)

 遂に民主党代表選は決着。野田佳彦氏が新代表に選出されたの
です。野田首相の誕生です。海江田万里氏の完敗です。
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      ≪第1回投票≫
       海江田万里 ・・・・・ 143
       野 田佳彦 ・・・・・ 102
       前原 誠司 ・・・・・  74
       鹿野 道彦 ・・・・・  52
       馬淵 澄夫 ・・・・・  24
      ≪決選 投票≫
       野田 佳彦 ・・・・・ 215
       海江田万里 ・・・・・ 177
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 党内最大勢力の小沢グループが支援した海江田万里氏は、なぜ
勝てなかったのでしょうか。その敗因として、次の3つが考えら
れると思います。
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        1.海江田万里氏の力不足
        2.小沢傀儡政権への警戒
        3.解散回避への議員心理
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 敗因の第1は「海江田万里氏の力不足」です。
 多くの議員は、国会での海江田氏の経産相としての仕事ぶりを
見ており、リーダーとしてふさわしくないと考えたのでしょう。
私もそう思います。国会で号泣したことはともかくとして、何よ
りも問題なのは、海江田氏が経産省の役人に簡単に取り込まれて
しまったことです。今回の原発事故に対する経産省の責任はきわ
めて重大であるのに、幹部3人の更迭──実は割増金付きの特別
待遇の辞任と順送り人事を認めてしまったことです。
 あのとき、菅首相は経産省に最大のダメージを与える人事を検
討していたのです。それは、あの古賀茂明氏を事務次官に抜擢す
る人事です。
 これは菅首相にしてはなかなか良いアイデアです。実現したら
経産省は震撼し、組織が劇的に変わったかもしれないのです。と
ころが、菅首相はあくまで国のためではなく、自分の人気取りに
利用しようとするので、それが問題なのです。
 しかし、その情報を掴んだ松永和夫事務次官(当時)は、人の
好い海江田経産相を焚きつけて、素早くこの人事案を潰し、自ら
幹部3人が責任を取って辞任するかたちを急いだのです。惜しむ
らくは、もし、「古賀茂明事務次官」を海江田氏が推進していた
ら、たとえそれが実現しなかったとしても、海江田人気は相当沸
騰したと思われます。菅首相の方が一枚上手です。こんなことで
は、代表選に勝てるはずがないのです。
 敗因の第2は「小沢傀儡政権への警戒」です。
 民主党の議員、とくに一年生議員は、小沢一郎という政治家の
ことをあまりにも知らなさ過ぎです。それはたとえ小沢グループ
に属する議員も同様でしょう。ほとんど小沢氏について勉強して
いないし、小沢氏の著書である『日本改造計画』(講談社刊)も
読んでいない人も多いと思われます。
 今回の代表選でもメディアは、小沢グループが支持した海江田
氏をわざと小沢氏の名前を出すことによって貶めています。どの
メディアも同様ですが、とくに産経新聞は28日の「主張」(社
説)において、次の見出しをつけて、3人の秘書裁判の進行をあ
えて無視して論じています。明らかな海江田潰しです。
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    「民主党代表選告示」
    政治とカネはどうした/「小沢問題」と向き合え
        ──2011年8月28日付、産経新聞
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 民主党の議員──反小沢議員は当然として、中間派や小沢氏に
近い議員も含めて、小沢氏を本当にそういう政治家だと思ってい
るようです。今回の投票結果を見ると、それがよくわかります。
 数合わせ、数の力、二重権力など、これらはすべてメディアの
造語ですが、そういうメディアの論評が明確な意図を持った小沢
潰しであることを理解せず、そのまま受け入れる幼稚な議員が民
主党には多いのです。
 民主党は、このままでは次の総選挙で壊滅的敗北を喫するはず
です。その原因は、実は「マニュフェストの見直し」なのです。
メディアの世論調査では国民は「マニュフェストの見直し」に賛
成する人が多いようですが、こういうメディアの調査は信用でき
ません。小沢氏としては、自分の意見が素直に聞き入れられる体
制を求めたに過ぎないのです。小沢傀儡政権など、メディアの意
図的な造語のひとつであり、実態のないものです。
 敗因の第3は「解散回避への議員心理」です。
 第1回投票の結果から見て、野田候補の主張する大連立や増税
に反対する議員が多いので、中間派や鹿野グループ、馬淵グルー
プからある程度の数が海江田候補に入ると思ったのですが、ほと
んどそうならなかったのは意外です。
 政治評論家の分析によると、野田氏は安定しており、大連立も
主張しているので、もしそれがうまく行けば、解散・総選挙は当
面なくなるのではないかと考えた議員が多かったのではないかと
思いますが、果たしてそうでしょうか。
 野田氏になると、マニュフェストを全面見直し、自民党との大
連立を仕掛ける──これは国民に対する裏切りであり、それがど
のような結果をもたらすかについて、決戦投票で野田氏に入れた
議員は責任を持つべきです。これは民主党にとって自殺行為であ
ると思います。野田氏が勝利宣言として口にした「ノーサイドに
しましょう、もう」は果たして本当でしょうか。その実行をしば
らく見届けたいと思います。─── [日本の政治の現況/56]


≪画像および関連情報≫
 ●非小沢勢力結集に成功/東京新聞
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  野田佳彦財務相が民主党代表選で勝利したのは、海江田万里
  経済産業相を支援して復権を狙う小沢一郎元代表に批判的な
  非小沢勢力の結集に成功した結果だ。小沢氏と敵対してきた
  菅政権主流派は、野田氏と前原誠司前外相が出馬表明したこ
  とで、互いに票を食い合う状態が続いていた。その結果、海
  江田氏に大幅リードを許し、海江田氏が一回目の投票で過半
  数を制する可能性さえ指摘された。これに危機感を持った野
  田、前原、菅首相グループは投開票日の前日、非小沢系勢力
  を結集させることで一致。決選投票に持ち込んで、下位連合
  で海江田氏を破る戦略を描いた。「二位はどちらでも構わな
  い。海江田氏に勝てればいい」。前原陣営幹部はこう言い切
  った。ただ非小沢系勢力が結集しても、海江田陣営と数の上
  では互角。勝敗を決したのは、海江田氏が民主、自民、公明
  の三党合意の見直しを明言したことで、国会運営の行き詰ま
  りを心配した層が海江田氏から逃げ出した。代表選を争って
  きた鹿野道彦農相も決選投票で海江田氏に投票しないよう陣
  営に呼び掛け、これも決め手の一つとなった。海江田氏が環
  太平洋連携協定(TPP)に慎重姿勢を見せるなど、小沢氏
  の意向をくんで、次々と政策を転換する姿もマイナスに働い
  た。             ──「東京新聞/ウェブ」
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民主党新代表の野田佳彦氏.jpg
民主党新代表の野田 佳彦氏
posted by 平野 浩 at 04:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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