員資格停止処分の凍結ないし解除を口にしています。驚くべきこ
とは、それが海江田万里氏や小沢鋭仁氏のように、小沢氏に近い
鳩山グループの候補者だけではなく、今まで脱小沢を標榜してい
た候補者の口からも出ていることです。
もちろん代表選において、数を持つ小沢グループの支持を得る
ことが狙いのすり寄りであることは明らかです。しかし、それを
口にする候補者のすべてが、そういう支援狙いだけであるとはい
い切れないのです。
やはり、それらの議員は心のどこかで、検察が不起訴を出した
にもかかわらず、検察審査会による2度の起訴相当議決──それ
もきわめて疑惑に満ちた決定によるものであることを知っている
からです。それを仙谷官房副長官は「起訴は起訴である」といい
岡田幹事長が強引に党員資格停止処分に踏み切ったのです。民主
党の議員は、そのうしろめたさがどこかにあるので、ここにきて
処分の凍結ないし解除をいい出したのです。自分が代表になれば
それができるからです。
これについて、メディアはいつものことながら、批判的です。
とくに20日の産経新聞は社説に「耳疑う小沢氏処分の解除」と
いうタイトルをつけて、次のように書いています。
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民主党は今年2月、「法に基づき国会議員本人が起訴された事
実は重い」として、小沢氏の党員資格停止処分を下したばかり
だ。具体的には判決確定まで党の役職に就けず、公認や活動資
金も得られないなどの内容だ。いったい、どんな理屈をつけれ
ば代表選実施が処分解除につながるのか。党のけじめをつけた
のではなかったか。強制起訴の裁判も進んでいないのに、党倫
理委員会などで検討を重ねた正式決定の変更を安易に論じる状
況そのものが、党への信頼をさらに失わせている。
──2011年8月20日付、産経新聞「社説」より
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大新聞は、小沢氏の問題になると正義面をして「立派な」こと
をいいますが、大きな事実誤認があるのです。「党倫理委員会な
どで検討を重ねた正式決定」というが、最初の党倫理委員会では
多くの議員が反対だったのです。
そうすると、菅政権の執行部は菅首相の命を受けて、常任幹部
会(党倫理委員会の上部機関)のメンバーを入れ替え、親小沢グ
ループが反対しても決定できないメンバー構成にして、2011
年2月に強引に決定しているのです。
それに小沢氏が党則に基づいて異議申し立てたにもかかわらず
長期間最終決定を放り出し、菅首相の退陣が見えてきた7月末に
なって慌てて正式決定をしたのです。なぜ、ここにきて正式決定
をしたのでしょうか。それは小沢氏が代表選に出てくるのを封じ
たのです。これでは政局そのものです。
マスコミはすべてを知っていながら、依然として小沢叩きをや
めないのです。この調子だと、仮に小沢氏の秘書が無罪になって
も、小沢氏自身の検察審の最終判決が無罪と出ても、あるいはそ
の以後も、メディアは小沢氏を叩き続けると思われます。脱小沢
で大失敗し、日本を危機に陥れた菅政権の現状を見ても、こうい
う偏向報道をなぜまだやめないのでしょうか。
もうひとつ、マスコミは「数の力」を批判します。しかし、政
治における「数」がなぜ悪いのでしょうか。
小沢グループが「数」を持っているのは2009年の衆院選で
勝利したからです。小沢氏の選挙指揮が功を奏し、大勢の民主党
新人議員が当選したのです。小沢グループの大半はそうした新人
議員で成り立っているのです。
しかし、それらの新人議員は、小沢主義というか、小沢イズム
というものがわかっていないのです。そのため、小沢グループは
当選した新人議員に教育しようとします。小沢一郎という人は、
しっかりとした政治信条を持っており、民主党において最多の政
治経験を持つ小沢氏の話を聞くことは、とくに新人議員にとって
は役に立つことは多いはずです。
しかし、このことと小沢グループに参加するかどうかは各議員
の自由です。鳩山内閣において小沢氏が幹事長になったときでさ
え、当選した新人が他のグループにも流れているのです。すべて
が小沢グループが囲い込んでいるわけではないのです。
しかし、それ以後は、小沢氏の秘書の逮捕・起訴、幹事長辞任
代表選の敗北、検察審の強制起訴などなど、そしてそれを巡る嵐
のようなマスメディアによる小沢叩き──小沢氏にとってマイナ
スなことがいろいろあって、当然小沢グループから離れていった
新人議員は多いのです。小沢氏の主張は「来る者は拒まず、去る
者は追わず」に徹しています。それでいて、小沢グループには現
在も120名以上の議員がいるのです。新聞報道によると、前原
誠司氏は「国民的人気がある」そうですが、彼のグループは50
人程度であり、最近増加したという話は聞かないのです。
このようなさまざまなマイナスの出来事にもかかわらず、小沢
氏のグループが120名という数を有しているというのは、小沢
氏の信条に共鳴する人が多いということであり、これこそ人気の
バロメーターといってもよいと思います。
このように政治において「数の力」は、物事を決める重要な要
素であり、批判の対象になるものではないのです。どうも小沢氏
には、田中角栄の次の言葉の負の影響が多いようです。
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政治は数であり、数は力であり、力は金である
──田中角栄
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本号をお送りする日には、代表選に出馬する候補は絞られてい
ると思います。いずれにしても小沢グループが支持する候補が総
理になる可能性があります。 ── [日本の政治の現況/52]
≪画像および関連情報≫
●自民党幹事長時代の「呼びつけ面接事件」の真相
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代表選候補者の小沢詣が行われると、マスコミは自民党幹事
長時代の小沢氏のやった「呼びつけ面接事件」を紹介して、
またしても小沢氏を貶めている。しかし真相はこうである。
「小沢の呼びつけ面接事件が起きた。当日は折悪しく日曜日
に当たった。経世会事務局がある建物には職員が出勤してお
らず、ホテルは秋シーズンで予約が取れなかった。小沢は候
補たちの事務所を訪ねようとしたが、渡辺が事務所の不都合
を理由に、小沢のいるところに出向くと申し出たことから、
小沢の事務所で会談することになつた。それを知った宮沢と
三塚も同意し、時間差をつくつて会った」。──渡辺乾介著
『小沢一郎/嫌われる伝説』/小学館刊
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かぎを握る小沢 一郎氏
誰が民主党代表になっても最大不幸社会となる予感がするが、せめて、
バラマキ4Kを民主党の政策から完全に排除できる人物が代表になってもらいたい。
バラマキ4Kの推進者である金まみれの小沢一郎が推す議員が代表になると最悪の事態となることを憂える。
「何をどうやってやる」ここにポイントをおいて、その人のナマの言葉を自分の耳で聞きたい、そんな思いです。