2011年08月22日

●「民主党代表選/仙谷氏の思惑」(EJ第3124号)

 民主党の代表選──どうやら仙谷官房副長官の戦略が狂ってき
たようです。仙谷氏の戦略とはこうです。今回は切り札である前
原氏は温存し、野田氏を擁立することで、「脱小沢」グループ約
70人をまとめて多数派を形成し、代表選を乗り切り、今国会会
期中に新首相を選出するというものです。短期決戦です。
 いうまでもなく今回の民主党の代表選は、事実上首相を選ぶ選
挙なのです。その大事な選挙を本稿執筆時点では、8月29日に
代表選、新首相の指名は30日、とたったの2日でやろうとして
いるのです。それが民主党執行部の方針なのです。それにしても
なぜそのように急ぐのでしょうか。
 民主党のこれまでの首相である鳩山氏と菅氏は、ともに民主党
の創設者であり、野党ではあったものの、その政治活動は多くの
国民の目にとまっています。したがって、政権交代後に首相の地
位に就いても誰も不思議には思わないでしょう。
 しかし、現在代表選で名前の出ている候補者の知名度はいずれ
も低く、国民はどういう人物かわからないのです。そういう人に
国を委ねられるでしょうか。それだけに代表選では、ある程度の
時間をとって大いに論戦を戦わせ、その主義や主張を国民にアッ
ピールする義務があると思うのです。それをなぜ2日で強行しよ
うとしているのでしょうか。
 この問いを民主党議員にすると、現在は東日本大震災や福島原
発事故による非常時であり、一日も政治空白が許されるときでは
ないという返事が返ってきます。しかし、現在の菅政権の存在そ
のものが政治空白であり、次の日本を委ねる首相の主義や主張を
吟味するための短い政治空白など問題ではないはずです。どう考
えても2日で決めるのは無茶苦茶な話なのです。
 仙谷氏を中心とする「脱小沢」陣営では、9月26日に出る陸
山会事件の秘書公判判決の結果を気にしているのです。もし、無
罪判決が出ると、小沢氏自身の裁判も即無罪になる可能性があっ
たからです。『週刊ポスト』はそのように報じていたのです。
 そういう話が出ていた8月上旬のことですが、突如小沢氏の初
公判の日程が「10月6日」と発表されたのです。これは、小沢
氏自身の即無罪はないという指定弁護士たちの意思表明であると
思われます。しかし、あまりにもタイミングが良すぎるのと思う
のは私だけでしょうか。
 何しろ仙谷氏といえば、法務・法曹関係に隠然たる力を持って
おり、そこに何らかのコントロールがあったと考えても不思議は
ないといえます。昨年の検察審査会の強制起訴議決についても疑
惑がたくさんあり、これについては改めて書くつもりです。
 『週刊ポスト』9/2号によると、この代表選について官房機
密費が使われているといわれます。
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 今回の代表選では軍資金≠ェ飛び交っている。現在、官房機
 密費を握っているのは党内で野田氏と同盟を組む枝野幸男・官
 房長官や仙谷由人・官房副長官ら凌雲会(前原グループ)であ
 る。菅首相が退陣を明言してからほどなく、民主党の広報戦略
 にかかわる広告代理店関係者に、官邸スタッフの一人から連絡
 が入ったという。「菅総理が辞める前に、いまある機密費を使
 い切りたい。こちらに有利な世論を喚起できるようないいアイ
 デアを出して欲しい」。機密費の支出権を持つ枝野長官ら官邸
 中枢が、自分たちに都合がいい新首相をつくるため、メディア
 工作に機密費を投入する相談だったというのである。それと軌
 を一にして、大新聞には連日、「野田本命」の記事が躍り始め
 た。代表選から小沢氏を排除せよという論調には、ますますエ
 ンジンがかかった。       ──『週刊ポスト』9/2
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 こうしたメディアの援護にもかかわらず、野田氏の支持は広が
らなかったのです。野田氏の打ち上げた「大連立」「増税」「マ
ニュフェスト見直し」の3つに対して、強く反発する民主党議員
が多かったからです。
 野田氏としては、前原氏は今回の代表選は出ないという前提で
前原グループの支援をあてにしていたのです。そのため、野田氏
は8月17日に前原氏と会って支援を要請したのですが、前原氏
は即答を避けています。
 翌8月18日に前原グループは会合を開いています。その席で
前原氏は支持議員から強く出馬を求められたのです。そして、も
し前原氏が出馬しないのであれば、自主投票にして欲しいという
要望が出されたのです。つまり、前原氏が出るなら凌雲会として
一本化するが、出ないのであれば野田氏を支持するかどうかは各
自の自由にするというものです。
 このとき仙谷氏は会合に同席していましたが、実に不思議な発
言をしているのです。
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 ・私が野田氏を推すとの報道があるが、そんなことはない。
 ・もう「親小沢」とか「反小沢」かという議論は、乗り越えて
  いかなければなりません。
            ──2011年8月20日/産経新聞
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 この2つの仙谷氏の発言は何を意味しているのでしょうか。彼
は野田氏をかつぐ気でいたのですが、支持が拡がらないので、危
機感を感じ、前原氏が出馬するのであれば、野田氏を切って前原
氏を支援する気でいるのです。どちらにしても自分は主流派でい
たいのです。
 しかし、これ以上「脱小沢」を続けるのは得策でないと判断し
代表選後には、挙党体制をつくるべきだと前原氏の会合で説いて
いるのです。もし、小沢氏が無罪となって復権すると、自分は主
流派でいられなくなるとの恐れから、このような信じられない発
言をしたのではないかと思われます。代表選はますます混迷を深
めています。        ── [日本の政治の現況/50]


≪画像および関連情報≫
 ●野田佳彦氏の小沢氏に関係する発言
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  野田氏は講演で小沢氏の党員資格停止処分の解除にも言及し
  次のように述べている。「93年の政権交代の推進者は小沢
  先生だ。依然として政局の中心にいる。希有な存在であり、
  政治力量のすごい方だ。与野党が向き合うとかきは、与党が
  しっかりまとまるのは必須条件である。 ──18日千葉市
  内での野田佳彦氏の講演/2011年8月20日/産経新聞
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仙谷由人官房副長官.jpg
仙谷 由人官房副長官
posted by 平野 浩 at 04:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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