2011年08月19日

●「野田氏は民主党を身売りするのか」(EJ第3123号)

 昨日のEJでご紹介した政治評論家・尾山太郎氏は、民主党が
一番死守すべきだったのは公約である「天下り根絶」であるとし
て、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党は「天下り根絶」と「わたり禁止」を標榜した。天下り
 をなくすということは肩たたきという役所の慣行を変えること
 である。各省の幹部人事は「内閣人事局」が行い、政策全般に
 わたる戦略は「国家戦略局」が担い、独法などの整理は「行政
 刷新会議」が行う──というのが民主党の公約だった。小沢氏
 はいま、「マニフェスト(政権公約)を守れ」と言っているが
 幹事長時代は、「天下り根絶」を一顧だにしなかった。4Kバ
 ラマキの方が楽だったせいだろう。     ──尾山太郎氏
       2011年8月16日付、産経新聞『正論』より
―――――――――――――――――――――――――――――
 尾山太郎氏は、大方の政治評論家たちと同様に小沢一郎氏がお
嫌いなようです。尾山氏のコラムの前半では「蠢く『小鳩』よ、
恥を知れ」と書き、小沢氏も鳩山政治の失敗に責任があり、まし
て目下は政治資金規正法にかかわる刑事被告人なのだから、恥を
知ってもらいたいと批判しています。これは菅首相の「静かにし
ていろ!」の発言と同様であり、失礼な話です。
 小沢氏は鳩山政治に責任があると感じたからこそ、鳩山氏と一
緒に辞めたのです。しかし、「天下り根絶」を小沢氏が一顧だに
しなかったというのは事実に反します。尾山氏は、小沢氏が選挙
を含む党務と国会運営だけに職務を限定された幹事長であった事
実をご存知なかったようです。公務員制度改革こそ小沢氏が執念
を燃やして政権交代を成し遂げた目的であるからです。
 ところで、『週刊朝日』8月26日号に次のタイトルの対談が
掲載されています。
―――――――――――――――――――――――――――――
     瀕死の「日本システム」を再起動させるには・・
     オザワを解放すべし
     カレル・ヴァン・ウォルフレン/榊原英資
―――――――――――――――――――――――――――――
 『週刊朝日』に小沢氏を擁護する記事が載るのは久しぶりのこ
とです。「朝日新聞」は反小沢を現在も貫いていますが、「週刊
朝日」は小沢問題に対して真実を伝えようとして努力していたの
です。それは山口一臣編集長の時代のことです。
 しかし、山口氏がこの4月に販売部長に異動になると、編集方
針は一新され、親新聞とあまり変わらない記事が載るようになっ
たのです。そういう意味では、今回の対談記事は画期的な企画で
すが、ウォルフレン氏が次のようにいっているにもかかわらず、
表紙からは一切無視されています。(添付ファイル参照)
―――――――――――――――――――――――――――――
 榊:小沢さんが再びリーダーシップを発揮することはとても重
   要です。裁判が終わればそれが可能になるはずです。
 ウ:では、この号の表紙に「小沢を解放せよ!」と文字を大き
   く入れたらどうかな(笑い)。非民主的なプロセスで起訴
   された小沢さんが有罪にでもなったら、それこそ日本の民
   主主義にとって大変な危機です。
 榊:小沢さんは間違いなく無罪になると思います。
           【註】榊→榊原英資/ウ→ウォルフレン
               『週刊朝日』8月26日号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党を創設した鳩山由紀夫氏と菅直人氏の2人は、結果は満
足なものではなかったものの、ともに総理をやっています。しか
し、2人が総理になれたのは、小沢一郎氏の尽力による政権交代
のお陰ではないでしょうか。その小沢氏だけが、総理をやってい
ないのです。これはどう考えても不合理な話です。「次は小沢」
は常識的な話です。でも誰からもそういう声は出てこない。
 小沢氏は「政治の仕組みを変えて日本を変える」ということで
これまで政治活動をやってきており、着実にその成果を上げてい
ます。したがって、民主党による政権交代はその仕上げの段階に
入っているのです。それだけに従来の支配構造を死守したい官僚
組織にとって小沢氏は危険きわまる存在といってよいのです。
 そのため小沢氏に対して悪意に満ちた「人物破壊」が行われて
活動が意図的に抑止されている──このようにウォルフレン氏は
解説しています。
 野田氏のいう「大連立」は、仙谷、岡田両氏と大島副総裁との
間で話し合いが進められており、それなりの展望と感触のある話
なのです。自民党は現在党員に満足に「氷代」も出せないほど金
に困っています。したがって、第3次補正にはどうしても加わり
たいのです。民主党の現在の執行部としても連立になれば役職に
も恵まれると考えており、ひそかに狙っています。つまり、彼ら
の狙う大連立は国家国民のためではなく、自分たちの延命のため
なのです。これは自公への「身売り」そのものです。これでは菅
首相と五十歩百歩であり、その本性は同じです。
 一体小沢氏は今回の代表選をどのように戦うのでしょうか。民
主党を自公に身売りしようと画策する野田氏を支援することは考
えられないし、他のどの候補も帯に短し襷に長しであり、いずれ
もパッとしません。
 しかし、次の代表の任期は菅代表の残りの約1年なのです。し
たがって、本番は来年の9月の代表選です。その頃には裁判の決
着はついていると考えられるので、小沢氏自身が代表選に出馬す
ると考えられます。そのときは、前原氏も確実に出馬すると思わ
れるので、代表選は壮絶な戦いになるはずです。
 そうすると、次の代表はそれまでのつなぎになると考えられま
す。それなら、誰が代表にふさわしいのか。選挙の期日によって
も戦い方に違いが出てきます。おそらく来週には動きが出てくる
と思います。        ── [日本の政治の現況/49]


≪画像および関連情報≫
 ●松下幸之助の「無税国家論」について
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  野田氏は松下政経塾の第1期生である。その創始者の松下幸
  之助は無税国家論論者である。野田氏は一体何を学んできた
  のであろうか。ジャーナリストの出井康博氏は次のように述
  べている。「松下幸之助が唱えていたのは「無税国家論」で
  す。予算の使い道を徹底的に洗い直し、ムダ遣いをなくせば
  余剰金が生まれます。これを積み立てていけば、いずれは運
  用益だけで国家財政を賄えるようになり、税金はいらなくな
  る。幸之助は、高い税金が勤労意欲を失わせ、生産性を下げ
  ることを懸念した。重税は国家にとってマイナスと考えたの
  です」。  ──2011年8月17日発行/日刊ゲンダイ
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『週刊朝日』8/26.jpg
『週刊朝日』8/26
posted by 平野 浩 at 04:10| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
”サブプライム不況と日本経済”以降、いつも関心持って読ませていただいています。ありがとうございます。


私の知る範囲ですが、取材不足で理論武装が十分でないため、”生で討論”する事を嫌うのが「政治評論家:屋山太郎」氏ではなかったかと思います。
こちらに出てくる「尾山太郎」氏は、別にいるのでしょうか?
Posted by 25 at 2011年08月22日 11:56
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