2011年08月18日

●「財務省に取り込まれた野田財務相」(EJ第3122号)

 民主党の総裁選に名乗りを上げた野田財務相は、代表選の主要
テーマは「大連立による救国内閣」であると発言しています。こ
の言葉に騙されてはいけないと思います。大連立は手段であり、
その手段を使って野田氏は何をしようとしているのでしょうか。
 それは「増税──消費税の増税」です。財務省はこれに賭けて
いるのです。そのため、財務省はまず財務相になった菅氏を洗脳
したのです。これには自民党の財務省寄りの議員を使って狡猾な
謀略を仕掛けています。
 その自民党議員は、国会で菅財務相(当時)に対し経済学の基
礎的な知識「乗数効果」の意味を問い、答えられない菅財務相に
万座で恥をかかせた後、協力を約束して取り込んだのです。まさ
か財務省がそこまでするかと思うかもしれませんが、このような
ことは官僚の常套手段なのです。
 財務副大臣としてこれを見ていた野田氏としては、自分が将来
首相になるには財務省の協力は欠かせないと思っても不思議はな
いのです。もちろん財務省はあらゆるデータを駆使し、野田氏を
完璧に洗脳したのです。
 既に洗脳されている自民党は「消費税10%」を早くから宣言
していますし、民主党は財務省に洗脳された菅内閣が2010年
の参院選で突然「消費税10%」を打ち上げ、選挙に大敗し、ね
じれ国会の原因をつくっています。
 本来であれば、民主党は大敗した原因を総括して分析し、20
09年の衆院選のとき民主党が打ち出したマニュフェストとの関
係も十分議論して政権運営を行うべきだったのですが、それを怠
り、あろうことか、政権首脳は「脱小沢」を鮮明にして、党内融
和を乱す政権運営を強引に進めたのです。これは政権運営という
よりも「政争」そのものです。
 それに加えて、菅内閣は増税派の与謝野氏まで閣内に引っ張っ
てきて「税と社会保障の一体改革」をまとめ上げ、紛糾したもの
の、閣議了承までもっていっています。与謝野氏の閣内取り込み
をアドバイスしたのもおそらく財務省でしょう。
 しかし、次の代表が誰になるかによって実現するかどうかわか
らないのです。そのため、野田財務相は8月12日の記者会見で
次のようにいい、増税反対派を牽制したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 (「税と社会保障の一体改革」は)どんな内閣であっても先送
 りできないテーマである。ちゃぶ台返しの議論があってはなら
 ない。                  ──野田財務相
―――――――――――――――――――――――――――――
 一見もっともな議論のように見えます。国民も社会保障の目的
に使うなら消費税を5%上げてもいいではないかと考える人が多
く、世論調査では賛成が反対を上回っています。
 しかし、ここに落とし穴があるのです。消費税を社会保障の目
的税にすると、もともと社会保障費は毎年激増していくものであ
り、不足すると税率を上げて行くことになります。そうすると、
税率は10%どころか20%、30%以上にもなってしまうので
す。世論調査でこれに賛成した人は、そのあたりのことをよくわ
かった上での賛成なのでしょうか。もっと議論すべき問題である
と思います。
 もうひとつ重要なことがあります。他党と連立を組むには、当
たり前のことですが、民主党が一本にまとまっていることが必要
です。しかし、民主党は菅政権の「脱小沢」の政権運営により、
主流派、小沢派、中間派に割れています。とくに主流派と小沢派
の亀裂は深く、まるで別の党のようです。
 民主党の3派による力学は、主流派対小沢派の対立に中間派が
どちらにつくかによって優位が移動するのです。小沢氏が秘書逮
捕や強制起訴によって貶められているときは、中間派の多くは主
流派に付き、菅首相の増税推進や退陣表明後の居座りによって不
信が増大している現在では、中間派の多くは小沢派に付いて、小
沢派が大勢力になっているのです。
 したがって、主流派は民主党をひとつにまとめるには、「脱小
沢」や「殺小沢」の政権運営をやめて、真の党内融和を心がける
必要があります。つまり、主流派は自民党との連立ではなく、小
沢派との連立(?)が必要なのです。野田氏も当初は「誰かを排
除する恩讐の政治はよくない」と党内融和を掲げていたはずなの
ですが、これは菅氏が代表選後にいった「ノーサイド」発言と同
じ意味だったようです。
 自公と大連立を組む場合、当然自公は小沢グループ付きの連立
には反対するはずです。この連立工作は仙谷副官房長官が行って
おり、当然小沢派外しを前提としているのです。何も恩讐の政治
を超えていないのです。依然として「脱小沢」です。
 ここで民主党がなぜ政権交代できたかについて考えてみる必要
があります。少なくとも自民党が口汚く罵る「バラマキ4K」に
有権者が釣られたわけではないのです。これについて、政治評論
家の尾山太郎氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党は2年前、何をやると言ったか、思い出して貰いたい。
 バラマキ4Kに釣られた有権者もいただろうが、最も人心を捕
 らえたのは「天下り根絶」の公約だっただろう。当時、天下り
 法人数は4600、天下り者数は2万8000人、法人に流れ
 込むカネは12兆6000億円といわれた。例えばUR(都市
 再生機構)は不動産業を営み、明らかに民業を圧迫している。
 7月に総務省が発表した「3代以上」にわたり理事長を同一省
 庁出身者が占めている独立行政法人は1594に及ぶ。官が民
 業に侵入する現象は日本の官僚内閣制≠フ象徴だ。天下り法
 人は民業を歪め、競争を阻害する。日本を20年にわたり不況
 に導いている元凶ともいえる。 ──8月16日付、産経新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
              ── [日本の政治の現況/48]


≪画像および関連情報≫
 ●UR──独立行政法人都市再生機構とは何か
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  独立行政法人都市再生機構は、大都市や地方中心都市におけ
  る市街地の整備改善や賃貸住宅の供給支援、UR賃貸住宅─
  旧公団住宅の管理を主な目的とした国土交通省所管の独立行
  政法人である。略称は都市機構またはUR、愛称はUR都市
  機構。2004年7月1日、都市基盤整備公団と地域振興整
  備公団の地方都市開発整備部門が統合され、設立された。運
  営形態、業務範囲などは独立行政法人都市再生機構法によっ
  て定められている。主な収益はUR賃貸住宅の家賃収入や市
  街地整備による土地の売却益である。本社は神奈川県横浜市
  中区にある。            ──ウィキペディア
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野田財務相.jpg
野田財務相
posted by 平野 浩 at 04:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大連立は自民党おも支配し、野田政権を長期化したいという野望である。
Posted by 菅左人 at 2011年08月18日 05:11
野田だと、日本ここまで落ちたのか。
Posted by ななし at 2011年08月18日 20:13
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