2001年06月18日

ゲームソフトを証券化する/新しい金融技術(EJ639号)

 今週から最近とみに話題になっている「証券化」について何回
か取り上げて研究してみたいと思います。
 17日の午前9時から12チャンネルで「証券化時代で誰でも
投資家」という番組をやっていましたが、ご覧になりましたか。
最近はこの「証券化」ということばが大流行です。ところで「証
券化」とは一体何でしょうか。
 「証券化」について知る前に、企業における資金の調達方法に
ついて知っておく必要があります。企業の資金の調達方法には、
次の2つがあります。
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 間接金融 ・・ 銀行など金融機関から資金の融資を受ける
 直接金融 ・・ 銀行を通さず資本市場から資金を調達する
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 銀行から資金を調達することがなぜ「間接」なのかというと、
銀行は預金者から集めたお金を企業に融資するのですから、企業
と預金者との関係は「間接」ということになります。
 間接金融にしても直接金融にしても現在と将来を結ぶお金の取
引ですから、そこには必ずリスクというものが発生します。問題
は、そのリスクを誰がかぶるのか、いい替えると誰がリスクテイ
カーになるかです。すなわち、間接金融では銀行が、直接金融で
は投資家がリスクテイカーになるのですが、この違いが間接金融
と直接金融の違いということができます。
 それでは、世界の趨勢はどうなっているのでしょうか。
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      間接金融  直接金融  うち株式    債権
 日 本 62.4% 37.6% 27.5% 10.1%
 米 国 15.6% 84.4% 70.9% 13.5%
 英 国 14.0% 86.0%  ―――    ―――
 ドイツ 71.3% 28.7% 27.1%  1.6%
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 この数値は、主要国の非金融法人、つまり、銀行・証券会社な
どの金融機関を除く全法人を対象としています。これによると、
日本とドイツが間接金融中心、米国、英国は直接金融中心である
ことが一目でわかります。
 ドイツは日本以上に間接金融中心ですが、ドイツは銀行が強い
ので間接金融がまだ可能なのです。しかし、日本やアジアのよう
な銀行の弱い国では、いつまでも銀行の金融仲介機能だけに頼る
ことはできないのです。
 したがって、ドイツの行き方はむしろ特殊であって、世界の趨
勢は資本市場を通した直接金融のウエイトがますます高まるのは
必至の情勢なのです。現在「証券化」が注目される最大の理由は
それが金融の直接金融化に最も適した技術だからです。
 昨年の話ですが、マネックス証券はコナミ株式会社、みずほ証
券と組んで、「ゲームファンド/ときめきメモリアル」を開発し
て話題になりましたが、これは、これからの証券化のサンプルで
あるといえます。
 ところで「ときめきメモリアル」とは何だかご存知ですか。若
い人は誰でも知っていますが、簡単に説明しておきます。
 「ときめきメモリアル」は、1994年にPCエンジン版とし
て発売された人気ゲームソフトのことです。高校生活3年間が舞
台となり、プレイヤーの行動によって多様に変化するストーリー
展開と、プレイヤーが自らを磨いて、告白を受けるという斬新な
ゲーム性がユーザを獲得し、「恋愛シュミュレーション」という
新しいジャンルを確立したゲームソフトなのです。
 1995年10月の初回出荷以来、53万本が販売されたので
す。プレイステーション版「ときめきメモリアル2」は1999
年11月の初回出荷後、最初の6ヶ月間で38万本を売るという
記録を樹立したのです。
 「ゲームファンド/ときめきメモリアル」は、ゲームソフト制
作上で生ずるキャッシュフローを小口証券化し、一般投資家にネ
ットで購入してもらうことによって資金調達を図るという新しい
ファンド(投資信託)なのです。ゲームソフト会社は、ゲームが
完成する前にその制作資金を調達できるのですから、こんなよい
ことはないし、投資する側も確実にソフトを入手できることに加
えて、その投資額によってさまざまな恩典が受けられるだけでな
く、たくさん売れれば償還利益も得られるというなかなかよい内
容なのです。一口1万円ですから、誰でも投資可能です。
 マネックス証券によると、この試みで7億7000万円の資金
が集められたそうです。これこそまさに証券化による直接金融の
典型的なサンプルといえます。マネックス証券の松本社長による
と、このファンドのペイラインは10万〜20万の出荷というこ
とですから、「ときメモ」の今までの実績からいえば、何も問題
ない数字といえます。
 ここで「証券化」の原点に戻って考えてみましょう。証券化に
は2つの流れがあります。
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 企業金融の証券化 ・・・ コーポレイト・ファイナンス
 資産金融の証券化 ・・・ アセット  ・ファイナンス
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 企業金融の証券化は、自社で各種の証券を発行することによっ
て、資金調達することを意味します。社債やCP(コマーシャル
・ペーパー)などの発行が、その代表になります。
 資産金融の証券化は、企業などが保有する資産を他の資産と区
別し、その資産を裏づけにした証券を発行して資金調達をするこ
とを意味するのです。
 これらは、直接金融という点では同じですが、投資家から見る
と、全く違う種類の証券化なのです。どのように違うのかという
と、企業金融の証券化は、証券を発行する企業の価値が高いか低
いかによって証券の価値判断がなされますが、資産金融の証券化
は、発行する企業の価値は評価されず、証券化の対象になる資産
の価値そのものが証券の価値を決めるのです。


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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