2011年08月12日

●「日本は財政危機ではない」(EJ第3118号)

 今まで日本の財務省は、長期にわたって日本の財政がいかに危
機的な状態にあるかを国民に印象づけてきています。したがって
民主党が国民に約束したマニュフェストの目玉である「子ども手
当」を事実上降ろしても、国民にはあまり怒りがなく、子ども手
当廃止の是非を世論調査で聞いても、賛成が反対を大きく上回っ
ています。
 実際に子ども手当が廃止されて、大きなマイナスになる世帯に
聞いても「国の財政が厳しいときであるから仕方がない」という
殊勝な返事が返って来るのです。こんなことをいう国民はおそら
く世界中で日本人だけだと思います。これは、財務省の洗脳が国
民の間にいかに浸透しているかを示しています。
 これはとても恐ろしいことです。かつての戦争もこういう国民
への洗脳によって引き起こされているからです。日本人は昔から
「官」に弱く、お上のいうことは正しいと素直に信じてしまう傾
向があるのです。
 結論からいうと、「日本は未曽有の財政危機にある」というの
は財務省のウソです。財務省はもちろん本当のことを把握してい
て、それらの情報をコントロールし、増税に世論を誘導しようと
していますが、民主党は、首相をはじめ、現政権の閣僚や執行部
がどれほど本当のことを理解しているのか、非常に疑問に思いま
す。少なくとも菅首相は日頃の言動から、経済のことはまったく
わかっていないと思います。この財務省のウソについて、EJで
は、いろいろな角度から実証していきたいと思っています。
 2010年2月のことです。5日からカナダ・イカルウィット
で開かれたG7で、菅副総理・財務相(当時)は日本の財政赤字
について何か問われるのではないかとすごく心配していたという
のです。なにしろ、日本はGDP比でギリシャよりも財政赤字を
積み上げているので、ギリシャのようになりかねないと菅氏は本
気で心配していたようです。
 これについては、「極東ブログ」の2010年2月9日付の記
事からご紹介することにします。このブログでは英和対比による
解説があり、詳しくはブログを参照願います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪極東ブログ≫
 http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/02/post-62ee.html
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 2010年2月8日付のフィナンシャルタイムズ紙の社説は、
日本の財政赤字について、次のように論じています。
―――――――――――――――――――――――――――――
    Japan’s debt woes are overstated
    日本の財政赤字問題は深刻に悩まなくてよろし
―――――――――――――――――――――――――――――
 フィナンシャルタイムズ紙は、日本はギリシャのように債務不
履行にならないとして、その理由を次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.債務の全体が誤解されやすい。日本国の債務は、国の保有
   分を相殺すれば、GDPの100%以下になる。
 2.日本の国債償還費は低く、GDPの約1.3 %。対するに
   米国は1.8%、英国は2.3 %、イタリアは5.3 % 。
 3.日本の財政には遊びの余地がある。消費税はわずか5%に
   すぎない。
 4.日本の債務の95%は国内で消化されている。外国人が気
   まぐれに影響を与えることはできない。
  以上の4つを上げて、結論として次のように書いています。
 つまり、日本の問題は依然貯蓄の過剰にある。日本の銀行には
 預金がじゃぶじゃぶしていて、投資先が必要になっている。し
 ばらくの間は、日本政府が国債の安定した買い手を探すことに
 はならない。日本の財政赤字問題は、お家の都合で解消されう
 るものだ。
―――――――――――――――――――――――――――――
 フィナンシャルタイムズ紙といえば、1888年創刊で、発行
部数44万部、世界140ヶ国、のべ150万人が読む世界最高
峰の国際経済紙です。そこにはっきりと「日本の財政は心配する
ことはない」という記事が出ているのです。
 もちろん、膨大な債務に見合う債権があるとはいえ、財政赤字
があまりにも多いのは、褒められたことではありませんが、多く
の日本人が財務省のキャンペーンによって信じ込まされている事
実とはかなり異なるのです。そんなことは、世界では常識に属す
ることです。知らないのは日本人だけです。
 ちなみに、フィナンシャルタイムズ紙の記事には、解決の処方
箋まで付いているので、その一部をご紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日銀、仕事をしろよ。日銀は国債買い上げをして、その分市場
 に貨幣供給ができるのだ。日本の財政状況は見た目ほどには悪
 くはないのだから、もうちょっと名目成長率を上げれば、全体
 の見た目も大きく改善できる。──フィナンシャルタイムズ紙
―――――――――――――――――――――――――――――
 もし、日本の財政が本当に危機的であれば、米国債の格付けが
下がったからといって、世界が円を買うはずはないのです。それ
にしても、政府(財務省)も日銀は、なぜ本気で事態の解決に動
かないのでしょうか。
 「失われた10年」といっていましたが、いつのまにか「失わ
れた20年」になり、このままでは「失われた25年」になって
しまいます。なぜ、いつまで、デフレをそのままにしておくつも
りでしょうか。そうしておいて増税とは経済に対してどういう考
え方をしているのか理解できません。
 民主党の政治家はよく勉強していると思っていたのですが、一
部の議員をのぞいてどうやら経済には弱いようです。しっかりと
勉強して欲しいものです。  ── [日本の政治の現況/44]


≪画像および関連情報≫
 ●「失われた20年」/関連ブログ
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  このブログで何度も書いてきたように、デフレ不況から脱却
  するために有効な政策を発動できるのは政府・財務省(財政
  政策)と日銀(金融政策)のみである。個別企業や個人の合
  理的な努力は無力なのだ。にもかかわらず、日本はこの20
  年間、財政支出の拡大が必要な時には「財政再建」を目指し
  て増税・歳出削減を行い、また、ようやくインフレ率がマイ
  ナスからプラスへ転じようとすると金融引き締めを行いデフ
  レに引き戻すという、信じられないような財政政策と金融政
  策を繰り返してきた。その結果が「失われた20年」であり
  「失われた3200兆円」なのである。
     http://philnews.seesaa.net/article/155723935.html
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財務省.jpg
財務省
posted by 平野 浩 at 04:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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