2011年08月11日

●「日本は経済運営に失敗している」(EJ第3117号)

 現在の日本は、こと経済に関してはあまりにも無策というか、
明らかに政策を間違えているとしか思えないのです。それは次の
数字を見れば歴然としています。
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    ≪株価≫
    1989年12月末
     日経平均 ・・・・・・ 38915 円
     NYダウ ・・・・・・  2753ドル
    2010年12月末
     日経平均 ・・・・・・ 10229 円
     NYダウ ・・・・・・ 11577ドル
    ≪名目GDP≫
    1991年
     日  本 ・・・・・・  467 兆円
     アメリカ ・・・・・・  5.9 兆ドル
    2010年
     日  本 ・・・・・・  480 兆円
     アメリカ ・・・・・・ 14.6 兆ドル
                   出典/中浜経済研究室
      http://money-clinic.co.jp/economy/blog/652.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 株価については約20年経過しているのに日経平均は 0.26
倍、NYダウは4.2 倍になっています。名目GDPで見ると、
日本は1.02 倍(横ばい)であるのに対し、米国は2.47 倍
に増加しています。日本は、20年前から一向に成長していない
ということになります。
 米国もリーマンショックがあり、けっして経済はよくないにも
かかわらず、この差がついています。日本はGDPが増えず、株
価は4分の1、地価は半分以下、給料も増えず、物価も上がらな
いという構図です。日本の経済運営は明らかに失敗しているとし
か思えません。
 まして東日本大震災以後は、増税、増税、増税です。まず、自
民党が消費税増税10%を打ち出し、2010年に菅首相がそれ
に呼応するように消費税増税10%を掲げて参院選を戦い、惨敗
し、ねじれ国会の原因をつくっています。
 日本の財政赤字が危機的状況にあることは否定しませんが、国
民には正しい実態が知らされているとは思えないのです。これに
ついては改めてきちんと述べますが、少なくとも現時点での増税
が日本経済にもたらす影響には深刻なものがあります。
 この20年間の経済運営は自民党と財務省がやってきたのです
が、明らかに経済運営に失敗しています。とくに依然としてデフ
レから脱却できない日本──自民党、財務省、日銀の責任は重大
です。民主党政権になってからは、財務省は、菅、野田財務相に
働きかけ、彼らの描いたシナリオに沿って増税路線を進ませよう
と画策しているのです。
 しかし、なぜ、こうも単純に増税推進になってしまうのでしょ
うか。他の経済運営の手段はないのでしょうか。自由党党首時代
の小沢氏は、2003年5月24日に新進党代表のとき以来、4
年半ぶりに代表質問に立ち、はげしく自民党を批判したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 (1996年総選挙で)所得税・住民税の半減、法人税の大幅
 引き下げを柱とする18兆円の大減税を訴えました。国民が自
 分の所得の使い道を自分で決められる仕組みに改めるとともに
 可処分所得を増やすことで個人消費を拡大し、景気の回復にも
 役立つと考えたからであります。(中略)政府・自民党は『財
 源はどうするのか。無責任なばら撒きだ』と激しく攻撃しまし
 た。私たちは一時的に国債を増発しても、景気回復による税の
 自然増収と行政経費の削減によって十分カバーできると反論し
 ましたが、聞く耳を全く持ちませんでした。(中略)一方で政
 府・自民党は相変わらず、従来型の公共事業と国債増発を続け
 その結果、国債発行残高は平成8年度(1996年)の245
 兆円から現在の428兆円にまで急増、国家財政は破綻状態に
 陥っています。(中略)仮に、私たちが主張したように、全額
 国債を財源として18兆円減税を実施しても、今年度(200
 3年)までの6年間で108兆円にしかなりません。平成9年
 度(1997年)から18兆円減税を断行していれば、少なく
 とも日本経済と国家財政が、今のように破滅的になることはな
 かった。
  ──渡辺乾介著/小学館/『小沢一郎/嫌われる伝説』より
―――――――――――――――――――――――――――――
 このときの小沢氏の代表質問について渡辺乾介氏はこう記述し
ています。「小沢氏は、自民党政治が招いた国と社会の危機を指
摘したくだりでは悔恨を叩きつけ、咆哮せんばかりの激しさであ
り、議場はどよめいた」と。
 事実自民党政権が政権を担っていた2009年までの国債残高
は、800兆円に膨らんだのです。この経済失政は自民党に全責
任があります。そうであるのに、政権を再び取り戻すために特例
公債法を人質に取り、菅政権を解散・総選挙に追い込むという姑
息な戦略を取ろうとしています。
 自民党としては、菅首相のままで選挙を戦いたいのです。最近
自民党が行った独自の世論調査によると、今選挙をすると、自公
で過半数が取れるという結果が出たからです。これによって、菅
首相のままで選挙をした方が得策である──そのように判断して
作戦を変更したものと思われます。
 東日本大震災の被災地復旧や復興が進んでいないなか、政局の
ために国民の生活をさらにドン底に落とすようなことをしようと
する自民党は明らかに間違っています。公約を平気で変更する現
在の民主党政権は本来の民主党ではないといえます。国民は冷静
に判断すべきです。     ── [日本の政治の現況/43]


≪画像および関連情報≫
 ●「エコノMIX異論正論」/池田信夫氏のコラム
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  参議院選挙が7月11日に決まったが今回も「不毛の選択」
  といわざるをえない。民主党は鳩山首相から菅首相に代わっ
  ても「行き過ぎた市場原理主義」を嫌悪して所得再分配ばか
  りいう方針は変わらない。それに対して自民党は「小さな政
  府」という対抗軸を打ち出すことに失敗し、選挙の争点がよ
  くわからない。あとの新党は、ポピュリズムや意味不明なも
  のばかり。この調子では、日本経済の「失われた20年」は
  25年年ぐらいに延長されそうだ。
  http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2010/06/20-1.php
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小沢一郎氏代表質問.jpg
小沢 一郎氏代表質問
posted by 平野 浩 at 04:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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