2006年08月02日

クリプテックスとは何か(EJ1890号)

 「ダ・ヴィンチ・コード」のサスペンスとしての興味には次の
3つがあると思うのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 1.カトリック教会の崩壊につながりかねない重大な秘密とは
   どのような秘密なのか。
 2.その秘密の鍵を握る聖杯とは何か。それが隠されている場
   所とは一体どこなのか。
 3.その秘密の場所にシラスを導く謎の「導師」と名乗る男の
   正体は一体何者なのか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 カトリック教会の崩壊につながりかねない重大な秘密――それ
は小説の中では「聖杯」という表現をとっていますが、この小説
は、のっけからその争奪戦の様相を呈します。
 その鍵を握っているのは、シオン修道会のジャック・ソニエー
ル――しかし、ソニエールはシラスに殺され、その秘密は孫娘の
ソフィ・ヌヴーに暗号のかたちで受け継がれます。そして、その
ソフィーを助けるラングドン、彼らを必死で追いかける司法警察
のファーシュ警部とコレ警部補、そしてオプス・デイの修行僧の
シラス――3どもえの争奪戦になります。
 そこにアリンガローサやシラスなどのレッド・ヘリングがから
んできて、話が一層ややこしくなる――本当に映画にいたっては
オプス・デイの司教、アリンガローサとヴァチカンの話が一番わ
けのわからない話になっています。
 その争奪の対象となるのはキー・ストーン――具体的にはクリ
プテックスといわれるものです。その中に聖杯のありかを示す地
図が隠されているのです。チューリッヒ保管銀行にソニエールが
預けていたものをソフィーが取り出したのです。
 ソフィーは、ソニエールの暗号にしたがって、ルーヴル美術の
「岩窟の聖母」の後ろから取り出した鎖付きの銀の十字架の鍵を
使い、ソニエールが死の間際に書き残した10桁の数字をコード
番号として入力してそれを取り出したのです。
 さて、ソフィーが取り出したこのクリプテックスについて、原
作には次の説明があります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 クリプテックス。手紙でも地図でも図式でも、あらゆるものを
 保護して持ち運べる容器だ。クリプテックスに情報を入れて閉
 めてしまえば、正しいパスワードを知る者しかあけることがで
 きない。
             ――ダン・ブラウン著/越前敏弥訳
  『ダ・ヴィンチ・コード(中)』より。角川文庫14158
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 このクリプテックス――壊して無理に開けようとすると、中に
はビネガー(酢)が入っていて、それが中に入っているものを溶
かしてしまう仕掛けになっています。酢で中のものが本当に溶け
るかどうかは別問題として・・・。
 クリプテックスは、真鍮と大理石とプラスチックを使って作ら
れており、五弁の薔薇の印の付いた紫檀の木箱の中に入っている
のです。映画では、実際に作動する機能を備えたクリプテックス
を4つ試作しています。原作によると、「テニスボールの缶ぐら
いの大きさ」とありますが、木箱全体がラングドンのポケットに
入らないと撮影上困るので、ポケットに入るように小型化するな
ど作るのが大変だったそうです。
 木箱の五弁の薔薇は何を意味しているのでしょうか。
 これについては、原作の中でソフィーが次のようにラングドン
に話しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 祖父は、薔薇は秘密を意味するといつも言ってたの。内密の電
 話をかけてわたしに邪魔されたくないときは、書斎のドアに薔
 薇の花を飾ったものよ。わたしにも同じようにしなさいと勧め
 た。           ――ダン・ブラウンの前掲書より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「薔薇の下/スブ・ロサ」――古代ローマ人は会議のあいだに
薔薇を上から吊るして、それが極秘の集まりであることを示した
のです。会議の出席者は、薔薇の下で語られたことは決して口外
してはならないきまりになっていたのです。
 スブ・ロサ――この言葉を聞いて思い出したことがあります。
昔、日比谷の三井ビルに「スブ・ロサ」という喫茶店が合ったの
です。その喫茶店の窓側に座ると、真下に当時有楽座があったの
です。三井ビルは今でもあるので、今もあるかも知れませんが、
印象に残る喫茶店でした。スブ・ロサとは、どういう意味なのか
なとよく考えたものです。
 実は、薔薇はシオン修道会では「聖杯」を意味するのです。原
作では次のように説明されています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 シオン修道会において薔薇が聖杯の象徴として使われているの
 は、秘密めいた含みがあるからだけではない、とラングドンは
 説明した。薔薇は最古の品種のひとつである浜梨――ロサ・ル
 ゴサは、花びらが五枚で五角形の対称性を備えており、導きの
 星である金星と同じく、図像学的に「女性」との強い結びつき
 がある。また、薔薇は、「正しい方向」や「人を導く」という
 概念とも深いつながりを持つ。――ダン・ブラウン前掲書より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 クリプテックスは、レオナルド・ダ・ヴィンチがこんなものも
考えられるとして書き残した設計図――ダ・ヴィンチはそういう
ものを多く残していたといわれる――にしたがって、ソニエール
が再現したものといわれています。ソフィーは子供の頃に祖父に
よくそういうものを作ってもらったといいます。
 重要な秘密を守るべき跡継ぎとして、ソフィーに対して暗号や
パズルなどの謎を解く能力を高めたい――そういうソニエールが
クリプテックスを作ったのです。・・・・・ [D−コード08]


≪画像および関連情報≫
 ・クリプテックスは販売されている
  ―――――――――――――――――――――――――――
  映画「ダ・ヴィンチ・コード」で登場するアイテム、クリプ
  テックスのミニレプリカ。設計したのはダ・ヴィンチ、聖杯
  に関する手がかりが入っており、映画の中で主人公たちが開
  けるのに苦労するアイテム。商品はパスワードを入れると、
  開閉可能。
  http://tenant.depart.livedoor.com/t/infinity/item2759955.html

??????????.jpg
posted by 平野 浩 at 06:38| Comment(1) | TrackBack(0) | ダ・ヴィンチ・コード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログを少しづつ研究させていただいています。研究の深さやバランス感覚のすばらしさ、陰謀史観という難しいテーマに迫っていく視点など本当に尊敬できます。よろしければ仲良くさせてください。すこし、私のブログの宣伝をさせてください。キリスト教というのはユダヤ教を真実あるべき姿に戻したものです。ユダヤ教というのはユダヤ人が信じている宗教な訳ですが、もともと彼らはイスラエルの12支族の一部にすぎませんでした。つまり、もともとはイスラエル教だった訳で、イエスはイスラエル教を完成させた訳です。さてこのイスラエル教(キリスト教)にはダ・ヴィンチコードのようなミステリーが付きまとう訳ですが、そのミステリーの源泉はこのイスラエル教の奥義カッバーラにあります。私はこのカッバーラをある程度解読し、どのようにしたらカッバーラを読み解く者、カバリストになれるかを悟りました。今、ブログでカバリストになるための特集をやっています。興味がありましたらのぞいてみてください。
http://da-vinci.seesaa.net/
Posted by 古幸徳 at 2006年08月02日 12:29
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック