2011年08月01日

●「菅首相偽装退陣のからくり」(EJ第3109号)

 注目すべき情報があります。2011年7月28日、小沢一郎
元代表が、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と会談をしているの
です。自由報道協会の公開討論においてです。
 そこでは、政府の震災・原発事故対応について、「今までみた
いなやり方をしていたらダメだ」と菅政権を批判し、意見の一致
を見たのです。小沢氏とウォルフレン氏は確か直接会うのはこれ
がはじめてではないかと思われます。
 そして、討論会後の記者会見で、菅首相の辞任問題について、
小沢氏は次のように述べているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本人的常識で言えば菅さんも『辞める』みたいなことを言っ
 たんでしょうけれども、その常識の通用しない相手だとどうし
 ようもないわけで、今のようになっちゃうわけです。
                       ──小沢一郎
      http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-1108.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 先週のEJでも書きましたが、菅首相の側近の下村健一氏や橘
民義氏(EJ第3108号)の発言を聞いてわかったことがあり
ます。それは、6月2日の代議士会の前夜、菅首相以下、執行部
が票読みをしたところ、賛成票は80票をはるかに超えており、
不信任案の可決は必至の情勢であったのです。
 焦った菅首相は、鳩山前首相の提案を受け入れることにし、話
し合いをもったのです。そのとき菅首相は「メドがついたら首相
を辞める」と明言しているはずです。いま発言しているようなぼ
かした表現ではなく、「辞める」とはっきりいっているのです。
そうでなければ、いくら鳩山氏が甘くても、ぼかした表現では納
得するはずがないからです。
 ところが代議士会ではああいう発言です。しかし、鳩山氏とし
ては、直前に「辞める」という発言を聞いているので、総理の立
場上そういわざるを得なかったのだろうと好意的に判断したわけ
です。菅首相はそういう鳩山氏の甘さにつけ込んで不信任案可決
を回避したのです。だから、菅首相が「辞任とはいっていない」
といったとき、鳩山氏は「ペテン師だ」といって怒ったのです。
 さらに菅氏は鳩山氏が民主党を壊したくないという思いも利用
したのです。もし、このまま不信任案の採決に突入すると、小沢
グループ約77人以上が賛成する──たとえ否決しても小沢グル
ープは党を割ることは確実で、そうなると、民主党は壊れる。お
そらく同調者がさらに加わると思われるので、民主党は衆議院で
過半数を失ってしまうのです。
 したがって、鳩山氏としては、それを何とか回避したかったの
です。だからこそ、菅氏は「辞任」するフリをすれば、鳩山氏は
それに飛びつくと考えたのです。
 この経緯から見て、同席していた岡田幹事長は菅氏の「辞任」
発言を直接聞いているはずです。それでいて岡田幹事長が鳩山氏
のペテン師発言を聞いたとき、「辞任とはいっていないし、一定
のめどというのは辞任の条件ではない」と否定しているので、2
人が共謀して鳩山氏を騙したことは明らかです。
 鳩山氏は、おそらくこれで菅直人と岡田克也という人物とは付
き合っていけないと思ったはずです。最近の鳩山氏は民主党につ
いて弟である邦夫氏との対話でこう話しています。
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 邦 夫:菅さんは辞めるのか?一体、どうなっているのか霧の
     中みたいだ。兄貴はどうするつもりなんだ?
 由紀夫:いよいよ民主党への愛着がなくなってきたよ。若手議
     員らもどんどん民主党への愛着がなくなってきてる。
     もう、民主党なんか壊れたっていい。
          ──2011年7月25日発行、夕刊フジ
―――――――――――――――――――――――――――――
 鳩山邦夫氏も、兄の鳩山由紀夫氏が菅首相の「退陣偽装」に騙
されたのは「党を壊したくない」という思いであり、「兄貴はそ
の心の隙に付け込まれた」といっています。その由紀夫氏が「も
はや愛着がない」というのは、尋常ならざることです。邦夫氏は
次のように由紀夫氏の気持ちを代弁しています。
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 菅首相に母屋を取られたんだからもういい。母屋は菅首相にや
 ればいい。新しい道(新党)しかないな、ということだろう。
                  ──前掲、夕刊フジより
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 もともと民主党は、鳩山兄弟に菅氏が加わってスタートしたの
です。新党設立資金は、由紀夫氏が8億円、邦夫氏が7億円借金
して用意したのですが、菅氏は300万円しか出さなかったとい
うのです。菅直人という人は、こういうときはたとえ金があって
も出さない人といわれているのです。その民主党を菅氏は鳩山氏
をペテンにかけて取り上げたのです。
 一体民主党はどうなるのか。小沢氏はそれまで菅首相の問題は
執行部の責任でやるべきだといって、表立って動かなかったので
すが、ウォルフレン氏との討論会を契機に一挙に前面に出て発言
するようになっており、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 岡田幹事長をはじめとする執行部や、菅さんを支えてきた人た
 ちが、「お盆まで辞める」といっているのだから、今は見守る
 しかない。もっともお盆を過ぎても辞めなければ、これは話が
 違うということになってくる。自発的に辞めてくれなければど
 んな手を使っても・・・というものはある。
        ──2011年7月29日発行、日刊ゲンダイ
―――――――――――――――――――――――――――――
 なんだかんだといっても、現在の民主党は小沢グループを無視
できないのです。小沢グループが誰につくかによって、代表が決
まるからです。       ── [日本の政治の現況/35]


≪画像および関連情報≫
 ●ブログ「日々坦々」より/小沢一郎発言
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  原発事故、深刻な事態と、当初から訴えてまいりました。日
  本人の長所が発揮されていると同時に、欠点も露呈されてい
  る。皆、力をあわせて復興のため努力している。その忍耐、
  努力、能力は誇っていい。しかし、原発事故と放射能汚染の
  拡大は、個人の力の発揮だけでなく、国家として力を発揮す
  る仕組みが大事になる。ところが、一般の国民の中からもな
  かなか出てこない。これは日本的な現象。他国だったら、そ
  うはならない。国民運動のようになる。日本人の不思議なと
  ころ。マスコミが政治が何をするべきか、お悔やみをいうこ
  とか。政治家は国家がどうあるべきか、考えるのが仕事。
      http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-1108.html
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小沢一郎×カレル・ウォルフレン.jpg
小沢一郎×カレル・ウォルフレン
posted by 平野 浩 at 05:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どうしてこれほど次元の低い、中身のない権力争いになってしまったのか。
たとえば、菅さんに代わって新しい方が総理大臣になったら、どういうことを国民にアッピールするのか。日本の政府は何をするのか。
大連立は手段であって、その目的はまた別であります。その話なしでは、国民は政治にはあまり興味はありません。
問題を解決する能力はない。だが、事態を台無しにする力だけは持っている。
これを実力者の世界というか、親分の腹芸か、それとも政党の内紛のようなものか。
かくして、日本人の世の中は難しくなっている。

哲学 (あるべき姿の内容) がなくて、陰謀 (たくらみ) がある。
意思がなくて、恣意 (私意・我儘・身勝手) がある。
スッキリがなくて、モヤモヤがある。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

Posted by noga at 2011年08月01日 06:31
小沢とウォルフレンは昨年に1度会っています。

これは非公式会談で先日でも案内人を務めた
参議院議員の藤田幸久が仲介役で会っています。

昨年末に私はあるルートから存じていましたが
小沢事務所などが公式に発表していない以上、
単なる一般人の私がお話はできませんでした。

まぁどうでもいいことなんですけど、ご参考まで…。
Posted by demomass at 2011年08月05日 03:55
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