2011年07月22日

●「どこが虚偽記載なのか/陸山会論告」(EJ第3103号)

 2011年7月20日、小沢一郎民主党元代表の資金管理団体
「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、検察側は次の論告求刑
を行っています。
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  石川知裕被告(衆議院議員) ・・・    禁錮2年
  大久保隆規被告(元秘書)  ・・・ 禁錮3年6ヵ月
  池田光智被告        ・・・    禁錮1年
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 ところで、「論告求刑」とは何でしょうか。
 刑事訴訟法では、「起訴」から「判決」に至るまでの間の審理
を「公判」というのです。その判決前の最後の公判において、今
までやってきた証拠調べに基づいて当事者が意見陳述を行うこと
になっているのです。
 これが「弁論」ですが、検察官が行う弁論のことを「論告」と
いうのです。この論告のときについでに検察官としては被告人に
これだけの刑を科すのが相当だという意見を述べることがあるの
です。いや、ほとんどの検察官は求刑しますが、しなくてもよい
のです。単なる慣習であり、法律上の規定ではないからです。
 ですから、ずいぶん厳しい求刑をしていますが、単なる検察官
側の願望というか希望に過ぎないのです。なお、8月22日に今
度は弁護側の最終弁論が行われ、判決は9月26日にいいわたさ
れることになっています。
 陸山会事件──一体これは何の事件なのでしょうか。この件に
ついてEJでは何回も述べていますが、推論を交えず、事実だけ
に絞って述べるならこうなります。
 小沢事務所は、秘書寮建設用地を取得するため、世田谷の物件
を購入することにしたのです。しかし、陸山会にはそのときお金
がなかったので、2004年10月に小沢一郎氏から4億円を借
り入れたのです。そして、10月末日に土地を購入したのですが
登記は2カ月後の2005年1月に行っているのです。土地取得
日と登記日のずれ──ただそれだけのことです。これだけのこと
で、現職国会議員を含む3人の元秘書を逮捕・起訴したのです。
 それでは、どこが収支報告書を虚偽記載に当るのでしょうか。
 はっきりしていることは、2004年10月に小沢氏から借り
入れた4億円は収支報告書に記載があることです。これについて
は平成16年(2004年)の収支報告書に次のように記載があ
ります。EJ第2858号(2010年7月20日)でも指摘し
た通りです。
 収支報告書は官報に記載されます。「借入金 4億円」の記載
のある官報は「官報号外223号」です。
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 <官報号外223号>
http://www.soumu.go.jp/main_content/000047155.pdf#page=162
―――――――――――――――――――――――――――――
 上記URLをクリックすると、官報号外223号の86ページ
が出るので、247ページまでスクロールすると、陸山会が出て
きます。そこにちゃんと「借入金 小沢一郎 4億円」と出てい
ます。しかし、スクロールが面倒な人も多いと思うので、EJ第
2858号で使った同じ添付ファイルを付けておきます。
 ところが21日の新聞を見ると、どの社もその記載のあること
をぼかして書いているのです。これほどはっきりしている事実を
なぜ認めないのでしょうか。
 陸山会では、小沢氏から借りた4億円を定期預金にして銀行か
ら同額の融資を受けています。検察側はこれを「複雑な資金の操
作」といっていますが、企業ではそんなことはよくあることを検
察が知らないだけです。常識を疑います。
 しかし、2004年の収支報告書にあるのは小沢氏からの借入
金(4億円)の記載だけであり、銀行から借り入れた4億円の記
載はありません。なぜでしょうか。それは記載する必要がないか
らです。政治資金規正法第4条によると、収支報告書の「収入」
の定義には、銀行からの借入金は該当しないのです。法律の専門
家である検察がなぜ知らないのでしょうか。
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 「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受で、第
 八条の三各号に掲げる方法による運用(銀行預金など)のため
 に供与し、又は交付した金銭等の当該運用に係る当該金銭等に
 相当する金銭等の収受以外のものをいう。
               ――政治資金規正法第4条より
―――――――――――――――――――――――――――――
 それでは、なぜ、購入と同時に登記しなかったのでしょうか。
それは登記しなかったのではなくて、できなかったのです。それ
は政治団体が「権力なき社団」という法的立場にあるからです。
そのため、政治団体名義あるいは政治団体代表者の肩書き名義で
の土地登記権限がないのです。そのため、代表者個人名義でない
と登記できないのです。
 陸山会としてどうするかですが、小沢氏からの4億円を定期預
金にし、それを担保として同額を土地代金として銀行から融資を
受けます。その資金を使って、不動産の所有者に代金を支払い、
この時点で土地は個人小澤一郎の所有になります。あくまで個人
ですから、収支報告書に記載する必要はないのです。
 土地の所有権が確定した個人小澤一郎は、その所有権に基づき
土地利用権が陸山会に帰属することを明示する契約を陸山会と交
わします。その契約日をもって、陸山会は、土地代金相当を個人
小澤一郎に支払い、同時にこの土地を陸山会の資産として計上す
るのです。
 陸山会はほぼそれと同様のことをやっています。どこが収支報
告書の虚偽記載なのでしょうか。ちょうど一年前のEJ第285
8号の再現になってしまいましたが、なぜこんなことでまだもめ
ているのでしょうか。    ── [日本の政治の現況/29]


≪画像および関連情報≫
 ●衝撃の郷原発言/サンデー・プロジェクト(当時)より
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  田原:
  この土地を買ったという4億円が、どうも小沢さん側が言っ
  ているように銀行から融資を受けたんではないと。どうもこ
  れは小沢さんの金ではないかと。
  郷原:
  私も最初はこう理解していたんですね。2005年に土地を
  買ったということになっていたけれども、実際には2004
  年に買っている。2004年の土地を買った原資のことが、
  全然収支報告書に出ていない。だから不記載だ。だから石川
  さんは違反だ。ということかと思っていたんですね。ところ
  がよく見てみると、2004年の収支報告書には小沢さんか
  らの4億円の借入れの記載は、あるんです。
  田原:
  えっ。ちょっと大変なことだ。何ですか?
  郷原:
  2004年の収支報告書には「小澤一郎 400,000,000」 と
  いうのは書いてあるんです。
  田原:
  この4億円が全く書かれていない謎の金ではなくて。ちょっ
  とアップしてください。郷原さんの持っている紙。どこに書
  いてありますか?
   http://ameblo.jp/hirokane604/entry-10431618730.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

陸山会/2004年収支報告書.jpg
陸山会/2004年収支報告書
posted by 平野 浩 at 04:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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