2011年07月21日

●「姜尚中氏/小沢一郎は復活してくる」(EJ第3102号)

 石川知裕氏のウェーバーの目による小沢一郎論を続けることに
します。減税日本の河村たかし代表は、政治家が家業になってい
る政治家──政治を代々家業にしている者が増えていることを嘆
いています。
 とくに比例単独で当選した人々は、地元事務所も私設秘書も不
要であり、事務所の運営はすべて公費で賄えるので、歳費はすべ
て自分の懐に入ります。こういう政治家の中に小沢一郎氏の「政
治とカネ」を根拠もないのに批判する者がいるのですが、こうい
う輩は、小沢氏を批判する資格などかけらもないのです。
 ウェーバーは、政治家を分けるのは「経済的側面」であるとい
い、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 政治を恒常的な収入源にしようとする者、これが職業としての
 政治『によって』生きる者であり、そうでない者は政治『のた
 めに』ということになる。(中略)ずばり言えば、恒産がある
 か、でなければ私生活の面で充分な収入の得られるような地位
 にあるか、そのどちらかが必要である。
           ──マックス・ウェーバー著/脇圭平訳
              『職業としての政治』/岩波文庫
―――――――――――――――――――――――――――――
 政治家は官僚に立ち向かう必要があります。そのためにはお金
がいります。それは政治のために必要なお金なのです。そういう
お金が確実に定期的に入ってくる何らかの制度が必要である──
このようにウェーバーはいうのです。そうでないと、議員歳費を
当てにするようなサラリーマン的な政治家が多くなる恐れがあり
ます。政治家が税金で賄われる生活に安住してしまうと、「第2
の官僚」が続々と生まれるだけなのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 国家や政党の指導が、(経済的な意味で)政治によってではな
 く、もっぱら政治のために生きる人によっておこなわれる場合
 政治指導者層の人的補充はどうしても『金権制的』におこなわ
 れるようになる。(中略)政治関係者、つまり指導者とその部
 下が、金権制的でない方法で補充されるためには、政治の仕事
 に携わることによってその人に定期的かつ確実な収入が得られ
 るという、自明の前提が必要だ。
          ──マックス・ウェーバー著の前掲著より
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢一郎氏は、自民党を離党して樹立した細川政権において、
かねてからの念願である政治改革4法──改正公職選挙法や改正
政治資金規正法、政党助成法などの政治改革四法を難産のすえ成
立させているのです。
 小沢氏としては、政治改革法は自民党において成立を目指した
のですが、それが不可能であると悟ると、果敢に自民党を離党し
新生党を結党、総選挙のうえ誕生した細川連立政権においてそれ
を成立させたのです。
 この政治改革四法において、ウェーバーのいう「政治の仕事に
携わることによってその人に定期的かつ確実な収入が得られると
いう自明の前提」の実現として、企業・団体献金の制限を打ち出
し、その代償として政党助成法を成立させているのです。さらに
1999年の自自公政権において、今や当たり前になった副大臣
・政務官制度を導入しています。何のことはない。政治改革の諸
制度に関する限り、ほとんど小沢氏がやっているのです。このよ
うに野党であっても小沢氏はきちんと仕事をしているのです。
 一般的には、小沢一郎という政治家は「政治とカネ」に汚い政
治家としての認識しか持っていない人が多いのですが、これはマ
スコミによる意図的な宣伝であり、その実体は大きく異なるので
す。小沢一郎の本当の姿を知りたければ、石川知裕氏の著書を一
読されることをお勧めします。
 小沢氏は、自分のやるべきことを『日本改造計画』によって具
体的に示し、行動を起こすたびにきちんと目標にしている仕事を
着実に仕上げているのです。石川氏は、そういう真の政治家のあ
り方を示すウェーバーの言葉として次を上げています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 政治とは、情熱と判断力の2つを駆使しながら、堅い板に力を
 こめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である。
                 ──マックス・ウェーバー
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここでいう「堅い板」とは官僚主導政治であり、「判断力」と
は先を見通す力であると石川氏はいうのです。そういう力を有す
る政治家をこともあろうに座敷牢に閉じ込めて自由に動けないよ
うにしている菅民主党政権は、国益に反することを平然と行って
いることになります。
 姜尚中氏は、石川氏の本の文中に出ている、ウェーバーと小沢
一郎などについて、次のように独自の意見を述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ウェーバーの『職業としての政治』に出てくる政党政治が生ん
 だ「ボス」を(石川氏は)小沢氏に当てはめていますが、彼は
 必ずしも黒幕型のリーダーではな思います。2010年代表選
 小沢氏は連日ワイドショーなどに出て饒舌に語っていました。
 文中にもある、代表選で打った演説は「能弁の小沢」の典型例
 です。師弟対談での小沢氏の話しぶりを見ると、角栄が裁判闘
 争のさなかに見せたような悲壮感がありません。むしろ、ディ
 レッタント(好事家)になっているのでは。読み終えて、小沢
 氏は、これから積極的に表舞台に出てくるという確信を得まし
 た。          ──『サンデー毎日』7/24より
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように姜尚中氏は、一般的にいわれている小沢一郎像とは
異なる表現をしており、「小沢一郎は復活してくる」と読み解い
ているのです。       ── [日本の政治の現況/28]


≪画像および関連情報≫
 ●職業政治家について(『職業としての政治』)
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  政治は臨時や副業の政治家でも可能であるが、物的にも心的
  にも一義的に政治で生きている人々としての職業政治家がい
  る。職業として政治を行う場合は政治のために生きるか、政
  治によって生きるのかのどちからがある。もしも政治のため
  に生きる政治家が成り立つためには十分な資産を持つか、私
  生活で十分な収入がなければならない。つまり政治関係者が
  政治のために生活するためにはその報酬を保障しなければな
  らない。              ──ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

姜尚中氏と石川氏の本.jpg
姜尚中氏と石川氏の本


posted by 平野 浩 at 04:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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