燃料電池とマイクロガスタービン――これらは、ご紹介してき
たように、米国主導で急ピッチで開発が進められていますが、こ
れらはクリーンエネルギー化という観点から見て、地球の環境保
全問題に大きな影響を与えようとしています。
その一方で米国のブッシュ政権は、地球温暖化防止のための京
都議定書からの離脱を表明しています。世界のCO2総排出量の
22.6%を占める米国が京都議定書に参加しないとすれば、2
002年の議定書発効は絵に描いた餅に終わる可能性が出てきて
います。
しかし、米国はなぜこの問題に冷淡なのでしょうか。米国は、
気象衛星や観測気球を駆使して、人類の中で最も精密な気象情報
を持っているはずです。それらの情報をベースにして米国の気象
学者たちは、二酸化炭素(CO2)による地球の温暖化論議自体
に非常に疑問を持っているのです。
そこで、米国の立場に立って、この問題を検証してみたいと思
います。それが燃料電池やマイクロガスタービンと深いかかわり
があるからです。なお、これは環境問題に詳しい作家、広瀬隆氏
の所説に基づいていることをお断りしておきます。
炭素を含んだ物質、すなわち、薪、木炭、石油、ガス、ガソリ
ンなどは酸素と結合して燃え上がり、二酸化炭素(CO2)を出
します。二酸化炭素はこのような燃焼に伴う排出物であり、燃や
すものによっては有毒ガスを発生するものもあるので、二酸化炭
素の排出量を減らすべきであるということについては、米国は同
意しているのです。
しかし、そのCO2が地球温暖化の原因になるという説に対し
ては、極めて懐疑的というか、説を真っ向から否定している気象
学者も多いのです。彼らは、燃料電池やマイクロガスタービンの
ような新エネルギー技術こそ急務としています。なぜなら、それ
らの新エネルギー技術が、窒素酸化物や硫黄酸化物などの有毒ガ
スを減らし、排熱を減らすからであり、それこそ生命体にとり、
重要なことと考えているからです。彼らが有害とみなしているも
のの中には、CO2は入っていないのです。
数字について検証してみましょう。問題となっている大気中の
CO2の濃度は、体積比で百万分の1を示すppmvの単位で測
定されてきています。
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1960年 ・・・・・ 315ppmv
1995年 ・・・・・ 360ppmv
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環境保護論者の書物によると、「地球上のCO2が3%を超え
れば人間は窒息する」と書いてあります。ここで1%とは、10
000ppmvであり、3%に達するまでには、どのくらいCO
2が増えることになるかを計算してみます。
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30000ppmv−360ppmv=29640ppmv
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29640ppmvに達するのにどのくらいかかるのかについ
て知るには、1960年から1995年までの35年間で45p
pmv増えたことがわかっているので、その増加率を出して計算
すればよいことになります。
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45ppmv÷35年=1.285ppmv
29640ppmv÷1.285ppmv=23066年
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単純計算ですが、CO2が3%に達するには、23000年を
要する計算になるのです。今から23000年後といえば、人類
が存在しているかどうかわからないほど先の話です。それなのに
何をあわてているのかというわけです。
ここで大切なのは「物を燃焼させたときの排熱が問題ではなく
CO2が元凶だとされていること」です。しかし、EJ645で
述べたように、原子力発電は67%の熱が排熱として捨てられて
いますが、この無駄に捨てられる熱量こそ重大な自然破壊を引き
起こしているのです。
原子力発電所が捨てる巨大な排熱は、河川か海の水を使って冷
やされています。そのために海藻などを絶滅させ、それを食べて
生きている貝類をも死滅させます。
さらに温暖水は水中に拡散せず、熱の固まりとなって大陸棚の
ような浅瀬を浮遊するので、その温度変化によってため稚魚が殺
されるため、沿岸漁業が衰退する一因にもなっているのです。
問題は、CO2ではなく、工場と発電所と自動車の巨大排熱を
いかにしてゼロにするかなのです。そうであるとしたら、そのひ
とつの答として米国は、燃料電池とマイクロガスタービンを開発
しているのです。これこそ今求められている緊急の対策ではない
かといっているわけです。
CO2による地球温暖化が正しいとすれば、地球全体が温暖化
されていることが証明されなければならないわけですが、これに
は大きなクエッションマークがつきます。
ひとつの例をあげます。それは東京における真夏日と熱帯夜の
統計です。日本では次の2つの指標があります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
●最高気温が30度以上に上がる ・・ 「真夏日」
●最低気温25度より下がらない ・・ 「熱帯夜」
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真夏日は暑さの指標であり、熱帯夜は冷えない指標です。地球
全体が高温になると、最近の東京は昔よりも真夏日が多いはずで
す。ところが真夏日が過去最高を記録したのは1994年の66
日ですが、実はその33年前の1961年にも同じ66日が記録
され、1950年の65日がそれに続いているのです。
このように調べていくと、真夏日が最も多かった年代は199
0年代ではなく、1960〜70年代にかけてなのです。昔も結
構暑かったわけです。地球温暖化は本当のことなのでしょうか。
2001年06月28日
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