しなければならないのです。それが終わると死者の審判が行われ
るのです。
そのさい、秤にかけられるのが死者の心臓と「マアト」といわ
れるものです。マアトとは、ダチョウの羽根のことであり、エジ
プトの絵画に描かれている、この羽根を頭につけた女性が女神マ
アトなのです。マウトは古代エジプトの正義と真実の女神であり
太陽神ラーの娘とされています。
さて、罪の否定告白において、そのいっていることが正しいと
秤は釣り合い、死者は無罪となり、永遠の命を手に入れて冥界の
住人になります。もし、釣り合わない――つまり、心臓の方が重
いと、ワニに似た怪物にその心臓を食べられてしまい、二度と復
活できなくなってしまうのです。ミイラを作るとき、4つの内蔵
(小腸、胃、肝臓、肺)をカノポス壺に納めるのに、心臓だけミ
イラの中に残しておくのはこのためです。
このように、マアトは裁判で正義を判定する道具として使われ
正義、真実、公平を意味しているのです。ナイト/ロマスの『封
印のイエス』には次のように書いてあります。
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エジプトの特色は、秩序への欲求である。エジプトの宗教は単
なる倫理的満足ではなく、正義こそが秩序の基盤であるという
考えであった。「マアト」という観念は単なる公正ではない。
もともとこの語は、ちょうど神殿の平面図のように、水平で秩
序ある左右対称のものを指す言葉であった。のちにそれは正義
真実、公平を指す言葉となった。
――クリストファー・ナイト/ロバート・ロマス著/
松田和也訳、『封印のイエス/「ヒラムの鍵」が解く
キリストのミステリー』
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少し話が難しくなって恐縮ですが、自らフリーメーソンと名乗
るナイト/ロマスによると、これほど簡潔にメーソンリーを叙述
した一文はないといいます。メーソンリーとは、友愛と相互扶助
と真実に基づく道徳の体系であるといえます。
エジプトにおけるマアトの観念は、宗教というよりも、惑星の
運行から日常生活にいたる、あらゆる「正しさ」を表わす観念で
あって、法律の基礎となったのです。それはマアトが死者の裁き
で公正の基準として使われることからもいうことができます。
そういう人類の思考と自然の調和――人々がマアトにしたがっ
て生きれば、神はナイルの恵みをもたらしてくれるが、もし、そ
のバランスが崩れれば、それは王と国民の責任である――このよ
うに考えたのです。
このように万物に秩序と調和を求めるのは、フリーメーソンの
中心課題であり、その根本観念において、エジプトのマアトとメ
ーソンは一致する点が少なくないのです。それでは、エジプトの
観念とメーソンのそれはどちらが先なのでしょうか。
残念ながら、それをはっきりと決める証拠はないのです。しか
し、マウトと同様にメーソンリーは宗教ではなく、両者ともに最
終的には、その象徴に「建築」を求めるのです。ナイト/ロマス
がいっているように、「マウトとは、ちょうど神殿の平面図のよ
うに、水平で秩序ある左右対称のものを指す言葉である」という
ように、建築と結びついているのです。
エジプトでは、王が死ぬと、その瞬間にその息子はホルス――
すなわち、王になったのです。それは「死と再生(復活)」を意
味しており、そのために秘密の儀式が行われます。なぜ、そのよ
うな儀式をするのでしょうか。
王が死んで次の王に代わる――これは国家にとって最も危険な
ときなのです。それは反乱の絶好機であるからです。そのために
王は神であってエジプトの霊統を直接受け継ぐものであることを
示す必要があったのです。この儀式は昔から口頭で伝承され、外
に漏らすことは禁止されたのです。
ナイト/ロマスは、エジプトのこの秘儀について、『封印のイ
エス』で次のようにかなり具体的に書いています。少し長いです
が、重要なことなので、ご紹介します。
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王位継承の秘儀の中核となる最も重要な部分は、新王候補者
が星の世界へと旅立ち、そこで神々の社会の一員と認められて
ホルスとなり、死んだ王――すなわち新たなオシリス――から
霊的な冠を授けられる、という一連の儀礼である。
そしてこのとき、古い王と新たな王はともにオリオン座に旅
立ち、ひとりはその天上の住まいに残り、もうひとりは地上の
王国に帰還することになる。
新たな王は、王家の秘密を守る中心グループに属する司祭長
が処方したある薬品によって「死ぬ」。この薬は緩慢な硬直状
態を起こす幻覚剤である。これによって新王候補者はあたかも
死体のようになってしまう。
世が明け、薬の効果が切れると、候補者は新たなホルスとな
り、神々の世界から戻ってくる。この処方は厳密に計算され、
明けの明星が地平線上に昇る、まさにそのときに王が意識を取
り戻すようになっていた。
――クリストファー・ナイト/ロバート・ロマス著/
松田和也訳、『封印のイエス/「ヒラムの鍵」が解く
キリストのミステリー』
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ここまでやられたら、もはや王に歯向かうものはいなくなりま
す。それは神に逆らうことになるからです。したがって、この儀
式は重要であり、秘密は厳重に守られなければならないのです。
こういう重要な秘密を長年にわたって守っていくには、通常の
世界とは切り離された特殊な集団――すなわち秘密結社が必要と
なったのです。初期キリスト教、エジプトの秘教、そしてメーソ
ン――そこには密接な関係があります。 ・・・[秘密結社25]
≪画像および関連情報≫
・オシリスとホルス
「オシリス」
冥界の支配者。両手には王権の象徴である王笏を持つ、足は
ミイラのように束ねられている。オシリス神話ではイシスの
夫であり、ホルスの父である。身体の色は再生復活を意味す
る緑の色に塗られた。人間は死ぬとオシリス神になって復活
すると考えられていた。
「ホルス」
両眼が月と太陽である天空の神。ハヤブサあるいはハヤブサ
頭を持つ人物の姿であらわされた。国王は、第1王朝の時代
からホルス神の化身であると考えられていた。ホルス神をの
せたセレクと呼ばれる宮殿を模した長方形の枠の中に、王の
ホルス名が書かれた。
http://www.roy.hi-ho.ne.jp/mizuchi/Egypt/kamigami/osiris.htm


