す。秘密結社というと、何となく秘密的な、陰謀的な、神秘的な
おどろおどろしいイメージがありますが、よく考えてみると、こ
の世の中は秘密結社だらけなのです。
秘密結社の定義とか分類という話になると、必ず出てくるある
名前があります。それは、セルジュ・ユタンという人物です。彼
は、秘密結社を次の2つに分けています。
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1.政治的秘密結社
2.入社的秘密結社
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「政治的秘密結社」とは、国王や政府を倒すという政治的目的
を持った結社であり、その目的ゆえにその存在は秘密とされ、メ
ンバーの名前も秘密にされます。
フランス革命のさいのジャコバン・クラブやロシア革命の時の
ボリシェヴィキは、政治的秘密結社といえます。これらの秘密結
社は、その政治的目的が達成されると結社は閉じられるのです。
「入社的秘密結社」とは、「入社式/イニシエーション」が重
要な意味を持ちます。入社式を通ってメンバーになることが大事
なのです。そして、最初の入社式を通ると、さらに上の段階への
入社式があり、その階段を一段一段上がっていくことに意義があ
るのです。フリーメーソンはその典型です。
セルジュ・ユタンによると、入社式秘密結社では、とくに迫害
されていなければその存在は隠されておらず、入社儀式だけが非
公開であり、秘密に行われるだけであるとしています。
ところで、セルジュ・ユタンというと、あのノストラダムスの
予言集の編集を行った人です。『ノストラダムスの大予言』
者、五島勉氏は、同書のなかで、セルジュ・ユタンを次のように
紹介しています。
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セルジュ・ユタンというのは、ソルボンヌ大学出身、やはりユ
ダヤ系フランス人のすぐれた神秘哲学者である。〔中略〕ノス
トラダムス研究家としても、表面に出ている人としては、本場
の第一人者。詩の解釈をつづけるかたわら、フランス各地に埋
もれたノストラダムスの原本・異本を掘り起こし、正確な編集
をしてきたことで知られている。
――五島 勉著、「ノストラダムスの大予言X」
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さて、ユタンの秘密結社の分類ですが、「政治」と「入社」と
対比してみると、政治は「目的」であり、入社は「方法」であっ
て対立項になっていない――これでは区分する共通基準になって
いないというのが、陰謀作家と称される海野弘氏の主張です。
それならばどのように分類すべきでしょうか。
海野弘氏の所説をご紹介しましょう。添付ファイルの図をご覧
ください。
まず、縦軸の両極に「秘密」と「公開」があります。秘密結社
の秘密のレベルにはいろいろあるので、縦軸にそのレベルをとっ
ています。次に横軸の両極、すなわち左右――「私」と「われわ
れ」を配置しています。「私」とは個人、内的、精神世界であり
「われわれ」は社会、外的、現実世界をあらわします。
これら縦軸、横軸によって4つの面が形成されます。4つの面
のそれぞれについて考えます。
「T」は個人的な精神世界であり、秘密性が高いのです。秘密
の宗教カルトなどはこれに属するのです。なお、秘密――シーク
レット(secret)の「sec-」は「分離し、隠す」という意味です。
「sec-」は「sect/セクト」につながってきますが、これは分
派――とくに宗教的分派の意です。なお、宗教的分派は「cult/
カルト」と呼ばれることもあります。
「U」は私的な内的世界ですが、秘密性はなくオープンです。
芸術や学問のグループなどはこれに属します。もっとも作品――
成果は発表され、誰でも見ることはできますが、その創造プロセ
スは必ずしもオープンというわけではありません。
「V」は、オープンで、社会的な団体・組織をあらわしていま
す。協会とか組合といった一般的な集団のほとんどはこれに属す
るといってよいと思います。
「W」は、社会的、政治的で、きわめて秘密性が強いのです。
一般的な秘密結社という場合は、ほとんど「W」を指していると
考えて間違いがないでしょう。イルミナティやフリーメーソンな
ども「W」に属します。
現代は「秘密結社ブーム」といわれています。個人的興味が多
様化している時代といわれています。その典型的なものに、最近
大流行の「SNS/ソシャール・ネットワーキング・サービス」
があります。
SNSは、その存在は告知されていますので、秘密性は薄いと
いえます。そういう意味では「V」ですが、SNSは入会に関し
ては閉じており、会員である人の推薦メールがないと入れないの
です。そこに多少の秘密性があります。そして入会してからは個
人的な付き合いの世界であり、「U」の世界であるといえます。
海野弘氏は、現代においてなぜ秘密結社が流行しているのかに
ついて次のように述べています。
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秘密結社は共通の認識の危機からあらわれる。常識は分裂し、
バラバラになり、分離する。私たちは社会へのつながりを失っ
て、小さなグループに逃避しようとする。現代社会において、
「秘密」はどのようなものになっているだろうか。現代の二つ
の傾向が「秘密」を形成していると思われる。一つは「ビジュ
アル・カルチャー(視覚文化)であり、もう一つは「インター
ネット」である。 ――海野弘著、『秘密結社の世界史』
平凡新書/315
−−−−−−−−−−−−−−−− ・・・・[秘密結社13]
≪画像および関連情報≫
・海野弘著、『秘密結社の世界史』
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人はなぜ“秘密結社”に魅せられるのか?ヴィジュアル・カ
ルチャー、インターネットの発達によって、見える表面と見
えない背後の二重化が進んだ現代では、物事の背後にある秘
密を垣間見たいという欲望が高まっている。古代密儀、テン
プル騎士団、薔薇十字団、フリーメーソン、イルミナティ、
KKK、ナチス、カルト、マフィア。古代から中世、近代、
二十世紀、現代に至るまで秘密結社という「隠された視点」
から世界史を読み直す。
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