2001年05月15日

ディスプレイが変わる/LED編(EJ615号)

 『怒りのブレイクスルー』(中村修二著、集英社刊)という本
をご存知ですか。サブタイトルに「常識に背を向けたとき『青い
光』が見えてきた」と書いてあります。
 これは、20世紀中には開発困難といわれた「青色発光ダイオ
ード」を開発した中村修二博士の書いた本です。この本は今年の
4月に発刊されたのですが、とてもよく売れているそうです。中
村修二博士は、現在、カルフォルニア大学、サンタバーバラ校の
教授ですが、ノーベル賞に一番近い男といわれている人です。
 今朝から、これに関連してディスプレイの先端技術をテーマに
取り上げたいと思います。
 私は現在、EIZOのL350という15型TFT液晶ディス
プレイを使っています。購入したのは3年前のことですが、その
とき店員から、「TFT液晶は、画像の一部が欠ける『ドット欠
け』という現象が起こることがありますが、それは故障として返
品はできませんがよろしいですか」といわれたのです。
 幸いにして私のディスプレイはきれいに表示されていますが、
TFT液晶はディスプレイの面積が大きくなると、この「ドット
欠け」の現象がよく起こったのです。
 しかし、最近ではさすがにそういうことはなく、あの高かった
TFT液晶ディスプレイもかなり値が下がってきています。とこ
ろが、皮肉なことに最近では、次世代のディスプレイの技術が目
白押しなのです。だから、値が下がったともいえます。
 そこで、ディスプレイの先端技術を整理しておきましょう。フ
ラットパネル・ディスプレイの世界では、素子が自ら光るものと
そうでないものにわけられます。
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   発 光 型 ・・・・・ PDP、LED、有機EL
   非発光型 ・・・・・ TET(LCD/透過型)
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 PDP、LED、LCDなどといわれても?!となってしまう
と思うので、説明していきましょう。これを理解することによっ
て、今後ディスプレイがどうなっていくかがわかるのです。
 発光型というのは、ディスプレイを構成する素子が少量の電気
を流すと光るものをいいます。それでは、LCD、すなわちTF
Tはどうかというと、非発光型になります。非発光型には透過型
と反射型がありますが、TFTは透過型に属します。
 発光型と非発光型では、ディスプレイとしてどこが違ってくる
のかというと、非発光型ではバックライトが必要なのです。バッ
クライトは画面が真っ黒な状態でも点灯しており、電力を消費し
ているのです。もっとも電力そのものはわずかなものですが、バ
ッテリーを使うノートPCやPDAでは、電源が使えない外での
使用時間に大きな影響を与えます。
 発光型のPDPとは、「プラズマディスプレイ」のことです。
50インチの大型ディスプレイがすでに商品化されており、画面
は明るく鮮明ですが、消費電力がブラウン管型の2倍以上かかる
などの問題点があります。
 続いてLEDは、「発光ダイオード」です。よく駅前などに、
100インチ以上の大型テレビがありますね。あれは、発光ダイ
オードで作られているそうです。発光ダイオードは消費電力が少
ないので壁面テレビにはうってつけなのです。しかし、その色彩
は今ひとつ冴えません。鮮明な色を出すには、赤、緑、青が必要
なのですが、本物の青が使われていないからです。
 発光ダイオードは、赤、黄、緑についてはかなり前から開発さ
れていたのですが、青だけはさまざまな困難性があってどうして
も開発できなかったのです。その青を開発したのが、冒頭の中村
博士なのです。しかし、中村博士は、「この国はどこかがおかし
い」と日本に失望して、米国に行ってしまったのです。
 発光ダイオードはもっと身近なものに使われています。電気製
品の動作表示ランプや携帯電話の光るアンテナがそうです。こん
なところにも発光ダイオードは使われているのです。
 もうひとつ、信号機があります。現在の日本の信号機は青、黄
(橙)、赤のガラスを後ろから電球で色を出しています。ところ
が、これは、ニュースステーションで知ったことですが、欧米の
信号機は発光ダイオードに変わりつつあるそうです。なぜかとい
うと、色が鮮明であることと、長持ちすること、低消費電力であ
るからです。
 それでは、なぜ、日本では発光ダイオードにならないのかとい
うと、警察が一枚かんでいるというのです。信号機のメンテナン
スは警察の所管ですが、信号機の電球の取り替えは1信号機当た
り3万円の手当てが出るということで、発光ダイオードに取り替
えることを拒否しているとのことです。まったくふざけた話であ
ると思います。
 ディスプレイの話ではありませんが、もう少し発光ダイオード
の話をします。青色発光ダイオードが開発されると、その技術を
応用して「青色レーザー」の開発が可能になります。
 現行のCDは、レーザーでCDから情報を読み取るのですが、
ここで使われているレーザーは赤色レーザーなのです。つまり、
赤色レーザーがLPのときの針の役割をするのです。この赤色レ
ーザーを青色レーザーにすると、何が起こるのでしょうか。
 青色レーザーは赤色レーザーに比べて波長が半分程度短く、こ
れは針がそれだけ細いことを意味します。したがって、赤色レー
ザーを青色レーザーに変えると、CDからより多くの情報が読み
取れることになり、結果としてCDの容量が増加します。また、
CDからより多くの情報が読み取れるということは、音質にも影
響を与えることになります。もちろん音はよくなるはずです。
 そして、最後は有機ELです。ELとは、エレクトロルミネッ
センスのことですが、これがいま大変注目されているのです。こ
の有機ELを使った13型ディスプレイが今年の2月にソニーか
ら発表されているのです。さすが、ソニー、13型とは立派なこ
とです。有機ELについては、明日のEJで説明します。

615号.jpg
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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