おり、今週で終了する予定です。
2010年もあと3ヵ月ですが、ちょうど10年前と現在では
大きく異なることがあります。現代は、次の2つの世界がまるで
パラレルワールドのように併存していることです。
―――――――――――――――――――――――――――――
1.リアルの世界
2.ネットの世界
―――――――――――――――――――――――――――――
インターネットが作り出す世界は、もちろんインターネットが
普及を始めた時点から存在しているのですが、10年位前から、
それがリアルの世界に大きな影響を及ぼすようになり、とくにビ
ジネスの世界では、これら2つの世界を意識せざるを得ない状況
になってきているのです。
しかし、ここにきてこれら2つの世界の間には、大きな問題も
生じているのです。それを明らかにするのが今回のテーマであっ
たのですが、ここで整理してみることにします。
既出の岸博幸氏──慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究
科教授は、これら2つの世界とは「常識の違う世界」であるとし
て、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
例えば、音楽の違法ダウンロードは端的に言えば万引き、泥棒
です。それにも拘わらず、日本では中高生が何の躊躇もなくど
んどんやっています。でも、彼らだってお店でCDを万引きす
ることはしません。リアルの世界で万引きすれば補導されると
分かっているからですが、リアルとネットでは常識が違うとい
う端的な例ではないでしょうか。
──岸 博幸著/幻冬舎新書/156
『ネット帝国主義と日本の敗北/搾取されるカネと文化』より
―――――――――――――――――――――――――――――
岸氏はもうひとつ重要な指摘をしています。もし、リアルの世
界において、身の回りのものやサービスのほとんどが、米国製ば
かりになったら、誰でもおかしいと考えるのではないかといって
いるのです。
リアルの世界では、「食」は国の安全保障に関わるから、食料
自給率を上げるべきであるといわれますが、現在ネットの世界で
は、食料と並んで国の安全保障に密接に関わる「情報」について
は、そのほとんどを米国に委ねています。しかし、そのことにつ
いて多くの人は無関心です。
リアルの世界とネットの世界の常識が違うのは、こんな時代に
なっても、ネットの世界を重視せず、その世界に入ってこない人
が少なくないことにも原因があります。
今やリアルとネットの両方の世界を体験している人と、リアル
の世界だけの人とは、その考え方も、発想も、常識も、異なると
思います。情報量の差が大きいからです。
どうして情報量が異なるのでしょうか。
現代の若者は、新聞もテレビもあまり関心がないといわれます
が、ネットの世界だけは頻繁に出入りしており、相互のコミュニ
ケーションもネットの世界を介して行っています。一方、年配者
を中心にリアルの世界のテレビや新聞や雑誌はよく読んでいるも
のの、ネットの世界の情報にはほとんど関心がなく、信を置いて
いない人がまだたくさんいるのです。
現在、リアルの世界の情報──テレビや新聞や雑誌などのマス
メディアに載った情報の多くはネット上でも発信されています。
それに加えて、マスメディアに載らない膨大な情報がブログなど
のソーシャルメディアに掲載されているのです。
今まで、テレビや新聞や雑誌という別の媒体に散らばっていた
情報がネットに集約されている──そのようにいってよいと思い
ます。したがって、世の中の情報をチェックするには、ネットを
チェックすればよいことになります。そういう時代にネットを無
視すれば、情報量に差ができるのは当然です。
しかし、ネットの世界は明らかにリアルの世界に大きな影響を
与えているのです。身近な例を上げると、ものを買うさいの人間
の購買行動に変化が生じているのです。
家電製品や電子機器などを購入するとき、現代人はいきなり量
販店に行くことはしないはずです。ネットで「価格コム」などの
ソーシャルメディアを訪問し、製品の使い勝手などの購入者のレ
ビューを読んで製品の評価を参考にし、そのうえで、その製品の
安値価格を確かめたうえで、量販店を訪ねるという順序を踏むよ
うになっています。
それだけではないのです。実際に量販店に行くこともせず、購
入すべき商品が決まれば、そのままネットで決済してしまうこと
も、ごく普通の購買行動として定着してきているのです。このよ
うに人々はごく自然にリアルの世界とネットの世界を使い分けて
おり、リアルの世界での人間の行動に影響を与えているのです。
重要なことは、現在ネットの世界では「価格コム」などのソー
シャルメディアが幅をきかせていることです。ソーシャルメディ
アとは、CGM──コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア
とほぼ同意義と考えてよいと思います。
製品を売る側の情報ではなく、製品を購入して使っている人の
情報(レビュー)が出ているサイトです。その特徴を上げると、
次の3つになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
1.一般生活者が情報の発信者であり受信者でもある
2.人と人(興味関心人そのもの)がつながれること
3.不特定多数が参加できるプラットフォームである
―――――――――――――――――――――――――――――
要するに、消費者が生成し、消費者が発信するメディアがソー
シャルメディアなのです。ブログも、SNSも、もちろんツイッ
ターもそれに属します。 ──── [メディア覇権戦争/44]
≪画像および関連情報≫
●ソーシャルメディアとは何か
―――――――――――――――――――――――――――
ソーシャルメディアは、インターネットやウェブに基づく技
術を用いて、ブログやツイッターのつぶやきのような一方方
向の独り言を多くの人々に伝えることによって、多数の人々
が参加する双方向的な会話へと作り替える。ソーシャルメデ
ィアは知識や情報を大衆化し、大衆をコンテンツ消費者側か
らコンテンツ生産者の側に変える。 ──ウィキペディア
―――――――――――――――――――――――――――
価格コム


