スタートしてそれほど年数の経っていないツイッターは2009
年12月には黒字化を達成しています。かねてから明確なビジネ
スモデルがないといわれてきたツイッターが、なぜ黒字化に成功
したのでしょうか。
ツイッターの収入源は、広告モデルでもユーザー課金モデルで
もないのです。グーグルとマイクロソフトに対して、ツイッター
のデータを検索可能にする契約を取り交わし、黒字化を果たした
のです。その金額は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
グーグル ・・・・・ 1500万ドル
マイクロソフト ・・・・・ 1000万ドル
―――――――――――――――――――――――――――――
検索エンジンの側からみると、約2億人のユーザーによる1日
当り6500万ツィート(つぶやき)のツイッターのデータが検
索できるかどうかは死活問題です。なぜなら、検索エンジンは、
多くのアクセスを獲得するために不可欠な存在であり、そのため
には、この世に存在するあらゆるデータが検索できないと、その
優位性を維持できないのです。
しかし、ツイッターはこのようにして落としたものの、SNS
──ソーシャル・ネットワーキング・サービスの雄といわれてい
るフェイスブック──全世界に5億人近いユーザー──は、検索
エンジンの検索を許していないのです。
なぜなら、フェイスブックは、2007年にマイクロソフトか
ら4000万ドルの出資を受けて以降はサービス本体で十分な収
益があることから余裕があるのです。しかし、その一方で個人情
報を売るという不祥事を起こしています。
ここで、改めて、SNSとは何かを明確にしてから先に進みた
いと考えます。SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サー
ビス、またはソーシャル・ネットワーキング・サイト──どちら
でも同じ意味です。それでは、SNSの目的は何かについては、
次の一点に絞られます。
―――――――――――――――――――――――――――――
ソーシャル・ネットワーキング・サービスの基本的な目的は、
人と人とのコミュニケーションにある。
―――――――――――――――――――――――――――――
この定義からわかるように、コミュニケーションができないも
のは、SNSではないのです。これによって、普通のホームペー
ジ、ウェブサイトはSNSではないのです。
コミュニケーションができるというのは、双方向のやり取りが
できるということを意味しています。そういう点ではコメントや
トラックバックができるプログはSNSということになります。
一方において、SNSは人と人とのつながりを促進・サポート
する、コミュニティ型の会員制のサービスであるとする狭義の定
義もあります。この人のつながりを重視して、「既存の参加者か
らの招待がないと参加できない」招待制のシステムになっている
サービスもありますが、最近は登録制が多くなっています。
日本のSNSとしては、最大の会員数を持つミクシィ、モバイ
ル向けのグリー、そしてモバゲータウンがあり、海外ではフェイ
スブック、マイスペースなどがあります。
この中にあって、ツイッターはどういう位置を占めるのでしょ
うか。ツイッターは、自由にコミュニケーションができるので、
SNSのひとつであることは確かです。
EJの読者にはツイッターをやっていない方が多いと思われる
ので、やっていない方でもある程度わかる解説を以下に試みたい
と思います。
ツイッターによるコミュニケーションの最大の特色は、そのリ
アルタイム性とスピードにあります。この原稿は9月11日に書
いていますが、10日の午後、郵便不正事件の村木厚子元局長の
無罪判決があったのです。
ちょうどそのとき私は事務所にいてテレビが見られない状況に
あったのです。午後2時過ぎになって、そろそろ判決が出た頃だ
と思い、新聞各社のニュース速報サイトにアクセスしたのですが
ぜんぜん出ていないのです。
そこでグーグルの検索窓に次のキーワードを入れて検索をかけ
たのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
村木厚子 ツイッター
―――――――――――――――――――――――――――――
そうしたところ、多くのツイッターのツィート(つぶやき)が
ずらりと出てきたのです。いずれも「村木厚子氏に無罪判決」と
書かれているツィートです。確か午後2時30分くらいだったと
思いますが、実際に判決は午後2時過ぎに言い渡されているので
ツィートはその直後に流されているのです。
そのとき、そのニュースを伝えていたのはテレビだけだったと
思います。ちなみにネットのニュースサイトは、午後4時30分
になっても「村木被告無罪判決の見通し」のままだったのです。
既に5時過ぎには、一部の夕刊紙には村木氏無罪を告げる記事が
出ていたのです。どうやら、ネットニュースは、紙の新聞が出る
前にはどんな重要ニュースでも出さないきまりになっているので
す。ネットですから、事件発覚直後にも出せるのですが、紙の新
聞が売れなくなることを恐れるからです。
おそらく無罪判決のニュースは法廷の傍聴席からアイフォーン
などのスマートフォンか普通の携帯電話によって発信されたもの
と思われます。そして、それが次々とリツィートされ、伝わった
のでしょう。ツイッターのツィートは上記のようにグーグルの検
索に対応するので、「村木厚子 ツイッター」で検索にヒットし
たのです。これがツイッターの驚くべきリアルタイム性です。こ
れがツイッターの最大の特色です。ネットのニュースサイトを遅
らせても意味はないのです。 ──[メディア覇権戦争/36]
≪画像および関連情報≫
●日本のSNSはもう限界なのか/コラム : 森祐治より
―――――――――――――――――――――――――――
海外の研究者と共著でSNSに対する考察を書いている。日
本、韓国、米国でSNSというサービスが社会的にどのよう
にとらえられ、またユーザーはどのような利用行動をとって
いるのか、各国で異なるSNSサービスに求められる特徴と
は何かといった議論をしている。それぞれ手元にあるデータ
や対象とするSNSの仕様そのものが異なっているため3ヶ
国カ国(論文では日韓2ヶ国の比較が中心となる予定)の完
全な比較は難しい。だが、ほかの著者らとのやり取りを通じ
て感じているのは(きわめて粗っぽい仮説だが)、日本にお
けるSNSは人と人の「つながり」を重視し、つながった相
手の動向を知ること、そして自分の動向を知らせることを志
向する傾向が強いということだ。
http://japan.cnet.com/sp/column_mori/story/0,3800105544,20344483,00.htm
―――――――――――――――――――――――――――
村木 厚子氏に無罪判決



「東京痴犬」で twitter の検索がきかなく
なったようなのですが、
「グーグルとマイクロソフトに対して、ツイッターの
データを検索可能にする契約」
このあたりとも関係していたのでしょうか?