す。フェイスブックにせよ、ツイッターにせよ、その発信される
情報の一つひとつを見ると、たわいのない、断片的なつぶやきや
おしゃべりに過ぎないものばかりです。ブログの場合は、多少の
骨のある主張もありますが、140字足らずのつぶやきが何の役
に立つのか──そう考える人は少なくないと思います。
しかし、企業はいま真剣にソーシャルメディア──とくにツイ
ッターを企業活動に利用しようとしています。それは消費者との
つながりが今まで以上に重視されてきているからです。
基本から考えてみます。企業が製品を大量生産します。企業は
その製品をテレビや新聞の広告枠を買い取って、一方的に消費者
に告知します。かつてはこのように、川上から川下へ流れるよう
にモノも情報も消費者はそのまま受け取るしかなかったのです。
しかし、商品にしてもサービスにしても、多かれ少なかれ消費
者の不満や苦情はあるものです。この対策として企業サイドとし
ては、お客様相談センターのようなものを作り、そこへと消費者
の不満や苦情を吸い上げているのです。
このお客様相談窓口については、その企業のウェブサイトにも
そういうコーナーを設けて対応しています。しかし、リアルにし
ろ、ネットにしろ、製品やサービスに関する不満の情報はその担
当部署に積み上がるだけで、消費者の間で共有されるということ
は今までになかったのです。
ここで企業のウェブサイト上にあるお客様相談コーナーについ
て述べておくと、そのコーナーにおいて、消費者が不満や苦情を
書き込んで送信しても、それは担当部署に届くだけで、消費者同
士で共有されないのです。これがホームページ──企業ウェブサ
イトの限界であるといえます。
もし、この相談コーナーのページがブログでできていると、あ
る消費者がその企業の製品やサービスについて書き込んだ不満や
苦情は、そのままブログ上のコメント記事として残り、他の消費
者と情報を共有できるのです。しかし、企業は過度にそれを嫌が
り、ブログを採用しないか、採用してもわざわざコメント機能を
停止するケースが多いのです。「荒し」を恐れるからです。
しかし、ブログを先陣とするソーシャルメディアの出現によっ
て「広告」というものが変貌してしまったのです。広告は、表現
は悪いかもしれませんが、その本質は商品にお化粧を施し、実際
よりも良く見せようとする手段です。
元CМプランナーで、現在はコミュニケーション・デザインを
担当するクリエイティブ・ディレクターの佐藤尚之氏は、広告を
次のように表現しています。
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よく使われる比喩ではあるが、ボクは、広告は消費者へのラブ
レターだと考えている。「ボクとつきあってください!ボクは
あなたをきっと幸せにします!」という、消費者への強い口説
きだと思っているのだ。(一部略)そう、広告とは、もともと
商品に関心すら持っていない相手にこちらを振り向かせ、あわ
よくば好きになってもらい、買ってもらおうと画策する、わり
とハードルの高いコミュニケーションだと思うのだ。もちろん
ラブレターを書いただけでは話にならない。ラブレターは相手
に渡さないと意味がない。広告で置き換えるなら、ラブレター
は制作した広告(テレビCМや新聞広告など)、そしてそれを
消費者に渡す手段がメディアとなる。テレビとか新聞とかのメ
ディアに載せて、消費者に見てもらうわけである。
──佐藤尚之著、『明日の広告/変化した消費者とコミュニケ
ーションする方法』/アスキー新書045
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佐藤尚之氏は、かつて「ジバラン」というサイトを立ち上げ、
有名になった人です。「ジバラン」とは、自腹ランキングの略で
す。どんなサイトかというと、一般消費者が自腹でレストランに
行って料理を食べて採点し、そのランキングをサイトで発表する
のです。このサイトは既に閉じられていますが、当時類似のサイ
トがなかったので、大変話題になったのです。
このジバランはマスメディアへの一種のアンチテーゼとなった
のです。雑誌やテレビから流れてくる「このレストランがいい」
という情報に、消費者をヨコにつなげて対抗し、逆襲を果たした
といえるからです。
昔は著名な企業や権威ある有名人、親しい友人のお勧め情報は
信頼に足るものとしてほとんど無批判に受け入れたものですが、
現代人はそういうものの買い方はしません。ものを買うときは、
「価格コム」などのサイトを参照して一番安い店を調べ、商品に
付いているレビューを読んでから購買行動を起こすようになって
います。つまり、ヨコにつながった消費者の生の情報を参照して
購買行動を起こすのが一般的なのです。
ジバランの反響から、佐藤氏はそこに広告が変質しているとし
て次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
雑誌やテレビから流れてくるトップダウンのレストラン情報に
消費者をヨコにつなげて対抗したジバランと同じ構図が、普通
の商品にも当てはめられるということだ。広告で商品にお化粧
してマスメディアからトップダウンで流しても、消費者がヨコ
につながって「商品のスッピンの姿」を教え合ってしまったら
どうなるんだ? ──佐藤尚之著、『明日の広告』より
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ジバランは普通のホームページだったのですが、現在のブログ
やフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアは、消
費者を簡単にヨコにつなげてしまう強力な機能を自ら有しており
企業にとって無視できないメディアになりつつあるのです。これ
らのソーシャルメディアによって広告が大きく変質することは確
かです。来週は現在最も注目されているツイッターについてお話
しすることにします。 ──[メディア覇権戦争/35]
≪画像および関連情報≫
●「ジバラン」に関するあるブログ
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ジバランは、そのサブタイトルが示す通り「自腹でレストラ
ンを巡り、評価しよう」をコンセプトに据えた飲食店ガイド
サイト。96年に開設され、05年に惜しまれながら閉鎖と
なりました。96年といえば僕は高校生になったばかりで、
PCどころかラジオもまともに使えなかった機械音痴時代。
・・・・まあ今でも機械音痴は全然直ってなくて、こないだ
イヤホンのプラグをUSBの穴に必死で挿そうとしましたけ
ど、そんな話は別にいいです。あのときは眠かったんです。
そういうことにしといてください。
http://builder.japan.zdnet.com/member/u514442/blog/2008/11/19/entry_27018036/
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佐藤 尚之氏と著書


