経ちます。その時代から私はインターネットを使っていますが、
最近になってつくづく考えることがあります。
現代はリアルの世界と並んで、ネットの世界がまるでパラレル
ワールドのように存在し、ネットの世界で起こったことが、リア
ルの世界に強いインパクトを与えるようになってきています。報
道にしても、リアルの世界の新聞やテレビなどのメディアの情報
だけでなく、ネットの世界の情報を見たうえで判断しないと、判
断を間違えることがあるようになっています。
この原稿は9月4日に書いていますが、その時点での民主党の
代表選の候補者の支持率の情勢は、リアルの世界の新聞では「菅
支持85%VS小沢支持15%」なのに、ネットの世界では次の
ようになっているのです。リアルの世界とネット世界では正反対
の結果が出ているのです。
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菅支持 小沢支持
ライブドア 37・2% 62・8%
スポニチネット 20・0% 80・0%
グーニュースネット 36・1% 63・9%
ロイター通信オンライン調査 8162票 8477票
──9月4日発行/日刊ゲンダイより
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しかし、ネットの世界はPCやケータイなりでアクセスしない
と、見ることはできない世界です。ところが、「人間というもの
は目に見えないものは信じない」傾向が強いのです。そういう世
界があることはわかっていても、積極的に見ようとしない。日本
人はとくにそういう傾向の強い国民であると思います。
したがって、リアルの世界では菅支持が圧倒的だが、ネットの
世界では真逆であるといくら強調しても、誰もアタマから信じな
い。新聞・テレビに完全に洗脳されてしまっているのです。
これが進むとどうなるかというと、リアルの世界のことしか関
心を持たない人と、リアルとネットの両方を参照する人とは物事
に対する判断のしかたが大きく異なることになります。
今回のテーマである「メディア覇権戦争」でも、ネットの世界
で起きつつある事態が、リアルの世界に大きな影響を及ぼしてき
ていることをここまで書いてきたのですが、リアルの世界で変化
が起きてはじめてわかるという人が多いのです。
多くの人はインターネットにどのようにして接続するかについ
ては知っていますが、いったん繋がってしまうと、それから先の
ことには関心を持たないものです。しかし、その先のところで熾
烈な戦いが展開されているのです。それがプラットフォーム企業
によるメディア覇権戦争です。
もちろん一般ユーザーにとっては、ネットの先のことまで知る
必要はありません。水道の蛇口をひねると水が出る──それだけ
知っていれば、どのようにして水は出るのかについて考える必要
がないのと同じです。
しかし、国や企業はネットの先のところで起こっている戦争に
について熟知している必要があります。そうでないと、安全保障
やビジネスの肝心なところを米国のプラットフォーム企業に押さ
えられてしまうからです。
2009年から新たなプラットフォーム・レイヤーの展開が本
格化しています。「ネットサービスの4つのレイヤー」を再現し
て、説明します。
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1.コンテンツ/アプリケーション
2.プラットフォーム
3.インフラ
4.端末
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それは、プラットフォーム・レイヤーと端末レイヤーとの融合
の動きです。具体的な例として、アマゾンの電子ブックリーダー
「キンドル」がそれです。実はこのキンドル、端末としての完成
度は高く、なかなかの優れものなのです。
アマゾンは、このキンドルによって、プラットフォーム・レイ
ヤーと端末レイヤーの融合を実現し、2つのレイヤーで強い競争
力を持ったことになります。
アマゾンの戦略は、プラットフォーム・レイヤーにはグーグル
をはじめとするアップルやフェイスブックによって代表されるS
NSなどの強力な競争相手がひしめいていて、とうてい勝ち目が
ないので、プラットフォームに端末を融合させることによって、
対抗しようとしたものと考えられます。
アップルは、アイフォーンやアイパッドなどの端末をアイチュ
ーンズというプラットフォームに融合させています。これに対し
てグーグルは、携帯用の自社OS「アンドロイド」を無料で配布
し、世界中に多くのアンドロイド携帯を誕生させています。
これらはそれぞれメーカーは異なるけれども、グーグルとして
はOSを押さえているので、自社のプラットフォームと融合でき
るのです。これもプラットフォーム・レイヤーと端末の新しいか
たちの融合です。現在は、携帯電話からのネット利用が世界中に
急増しており、グーグルの戦略は実にタイムリーといえます。
携帯端末からのネット検索の割合は、米国市場でも世界市場で
も、2009年段階ではPCなどを含む検索全体の1%程度です
が、今後これが大きく伸びることが予想されます。
また、世界における携帯端末の売り上げは、2009年までは
少ししか伸びていないのですが、ネット接続機能やメール機能を
重視したスマートフォンの売り上げは、約13%も増えており、
今後は携帯端末からのネット利用が大幅に伸びることが予想され
ます。このように、現在でもプラットフォーム・レイヤーでの覇
権戦争は激化しており、予断を許さない情勢なのです。
──[メディア覇権戦争/32]
≪画像および関連情報≫
●パラレルワールドとは
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「この現実とは別に、もう1つの現実が存在する」というア
イディアは、「もしもこうだったらどうなっていたのか」と
いう考察を作品の形にする上で都合がよく、パラレルワール
ドはSEにおいてポピュラーなアイディアとなっている。登
場人物が何らかの切っ掛けで、自分が知っているのとは違う
現実に迷い込んでしまうといった作品が多く存在する。この
アイディアは広く一般化し、SF以外の作品でも、パラレル
ワールドの概念を取り入れたものが作られることは珍しくな
い。架空戦記作品に見られるような、史実とはどこかが異な
る「もう1つの歴史」を扱うフィクションは多数存在するが
これも我々の知る世界から見ればパラレルワールドである。
──ウィキペディア
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●図の出典/岸 博幸著/幻冬舎新書/156
『ネット帝国主義と日本の敗北/搾取されるカネと文化』より
プラットフォームと端末の融合


