手ITベンチャーは口をそろえています。その流れを作ったのは
2008年10月に決まった麻生内閣の定額給付金であり、甲府
市の決断から始ったのです。
支給の実行部隊は市町村になり、2009年3月からの実施で
す。とても新たなシステムを組んでいる時間はない。そういうわ
けで甲府市はクラウドを選択したのです。
甲府市が選択したのは、NTTコミュニケーションズとセール
スフォース・ドットコムが構築した「セールスフォース・オーバ
ー・VPN」のです。理由としては、ハード、ソフトの購入やシ
ステム開発が不要であったからです。
開発期間は1ヵ月、コストは当初予測の5分の1に抑えられた
のです。クラウドのメリットは、このように迅速に利用すること
ができることであり、ハード、ソフトなど、使用するIT資源の
増減が、状況に応じて簡単にできることにあります。
しかし、最大の問題は個人情報である住民の情報が海外のデー
タセンターに置かれることです。もちろん、セキュリティは高い
レベルのものが確保されているとはいえ、データセンターのある
外国の管理下に置かれることが大きな問題となります。
日本は本来世界のデータセンターのメッカになれる条件を備え
ているのですが、前回述べたように、法人税や電力価格が高いこ
とや、新しいスタイルのデータセンターを日本で作ろうとすると
建築基準法や消防法などの法律に抵触するので、ビル型の高コス
トのデータセンターしか構築できないのです。
この点について、グーグル日本法人の名誉会長である村上憲郎
氏は次のように述べています。村上氏は2003年にグーグル日
本法人社長になり、2009年から現職に就いています。
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グーグルなどのIT企業は「機器を壊しながら使う」という考
え方を採っているが、これが日本では受け入れられない。グー
グルのデータセンターは室温30度ぐらい。がっちりしたビル
で防寒着が必要なぐらい冷房を効かせている日本のセンターと
はまったく違う。水で少しは冷却しているが、わざわざ電力を
使って、冷却する必要はない。機器は4年程度で取り替えれば
いいのだから、寿命を延ばすために冷やす必要がないのだ。
──グーグル日本法人・名誉会長/村上憲郎氏
──『週刊東洋経済』7/3より
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CPUの速度向上に関しては、次の「ムーアの法則」というの
が有名です。
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半導体の集積密度は18〜24ヶ月で倍増する
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これは、1年半から2年で価格性能比が倍になるという法則で
す。IT機器はこの法則が今でも働いており、4年後には同じコ
ストで4倍の演算能力を持つ設備が導入できるのです。
そうであるとしたら、設備にお金をかけて機器を守るよりも、
4年ごとに交換した方が効率が良い。日本の環境はそういう考え
方になっていない──村上氏はこのように指摘するのです。
このように、つねに最新のIT機器を備えておけば、データセ
ンターが世界のどこにあろうと、データ応答の待ち時間──レイ
テンシーは、ほぼゼロになっています。
しかし、データの法的管轄権は確かに問題であり、重要なデー
タはコストがかかっも国内に置くようにすべきであるという意見
は強くなってきているのです。先進各国でもその動きが少しずつ
始まっているのです。
カナダでは、政府機関が米国のクラウドサービスの利用を禁止
したのです。それは、米国の愛国者法が、国内サーバー上のデー
タを捜査対象とすることを認めていることに危機感を抱いた結果
の措置です。
日本でも遅まきながら、総務省のスマート・クラウド研究会で
は、2010年5月に海外の大手事業者を誘致するため、データ
センター特区を誘致するプランを原口総務相に提出しています。
設置目標は2011年度ですが、民主党が参院選に敗北して党内
が不安定になるなど、実現は微妙な情勢です。
しかし、これに対して既出の村上憲郎氏は、データの法的管轄
権の重要性はわかるが、むしろデータを特定地点にまとめて置く
ことの方が危険であるとして、次のように述べています。
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デ一夕の法的管轄権は大きな問題だ。特に政府がデータを預け
る際、どこにデータを置くかは論点になりやすい。ただ実は、
どこにどのデータがあるのかはグーグルにさえわからない。デ
ータセンターの安全性は、データを複製し、世界中に分散保存
することで確保している。ある特定の地点にデータを置いてし
まうほうが危険だと考えている。 ──村上憲郎氏
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しかし、そうなるとアタマの痛い問題が起きるのです。日本は
米国に次いでクラウド・サービスが盛んな国であり、定額給付金
やエコポイントの手続きなどのように政府機関がそれを使うこと
も多いのです。
しかし、データセンターはほとんど海外にあり、つねに海外に
アクセスしないとつながらないことになります。しかも、日本の
ブロードバンド料金は先進主要国のうち世界一安いので、クラウ
ド・サービスの業者の多くは日本に拠点を置いて気軽に海外にア
クセスしているのです。
このように海外のデータセンターから提供されるサービスの利
用量が急増した結果、国内から海外につながる通信トラフィック
量は急増し、国内のトラフィック全体の半分を占めるに至ってい
るのです。これは日本の通信網へのただ乗りになるという指摘が
出てきています。 ──[メディア覇権戦争/31]
≪画像および関連情報≫
●グーグルデータセンターの内側--明らかにされた独自性
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グーグルがデータセンター業務を公開することは滅多にない
が、米国時間の2008年5月28日、グーグルフェローで
あるジェフ・ディーン氏が業務の一部を話題に取り上げた。
28日に当地で開催された「グーグルI/O」カンファレン
スの超満員の聴衆に対して講演を行ったディーン氏は、グー
グルのインフラがいかに独特かを説明しながら、グーグルの
の秘密を少しだけ明らかにした。
http://japan.cnet.com/news/commentary/story/0,3800104752,20374847,00.htm
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村上 憲郎氏とグーグル・データセンター


