2006年04月03日

米国による富の収奪システム(EJ1807号)

 第2次世界大戦後に日本は荒廃のなかから世界が驚くようなス
ピードで立ち直っています。その秘密は日本が輸出立国を目指し
たからです。原料を輸入・加工して製品を輸出し、見返りに外貨
を稼ぐという経済モデルが当たったといえます。
 長期間にわたって、1ドル=360円という固定相場制をひき
しかも当時は、輸出先の先進工業国に比べて労働賃金の水準が大
幅に安かったので、割安の日本製品をまるで集中豪雨のように海
外に輸出したのです。
 国内の企業は輸出を突破口として拡大再生産を追及し、それを
可能にする設備投資を拡大化することによって高度成長を実現す
ることができたのです。
 経済成長には「外需による成長」と「内需による成長」の2つ
がありますが、日本は「外需による成長」策をとったのです。な
ぜなら、その方が成果を上げるのが早かったからです。一時は貿
易摩擦によって「内需による成長」に転換しようとした時期もあ
りましたが、内需拡大策はいずれも成功しなかったのです。その
ため、現在でも日本は極端な外需依存体質を持つ国なのです。
 結論からいうと、そこを米国に巧妙につけこまれたといえるの
です。現在の日本の苦境の原因のひとつはそこにあります。この
ことについて知るには、通貨についての知識が必要になります。
 日本と米国の取引について考えてみます。
 当たり前ですが、日本は円、米国はドルをそれぞれ国内取引で
は使用しています。問題は貿易の決済をどちらの国の通貨で行う
かにあります。
 日本と米国の場合は、その力関係によって、どうしてもドルと
いうことになってしまうのです。日本としても米国がそれを望ん
でおり、米国の意向に逆らえないということで、ドルでもいいと
判断したのです。また、ドルは基軸通貨であり、米国以外の国の
決済にも使えるので、日本としてはドルでよいと考えたのです。
 それだけではないのです。仮に米国に円での支払いを求めると
米国の輸入業者は外国為替市場でドルを売って円を買い求めるこ
とになります。そうすると、円相場が切り上がって輸出採算が悪
化してしまうのです。なぜかというと、日本はすでに輸出超過で
すから、市場には大量にドルが供給されているからです。
 したがって、日本は円高を恐れて米国に対し、円での支払いを
求めない――米国はそう読んでいるのです。そうすると、日本は
輸出代金をドルで受け取り、そのままドルを米国内に据え置くこ
とになります。
 これは、米国にとっては願ってもないことなのです。なぜかと
いうと、米国は日本から買い物をします。当然サイフの中からド
ルは出ていきますが、そのドルは米国内に据え置かれますから、
支払ったはずのお金が戻ってくるのと同じなのです。
 これは、米国内のある銀行にある米国人Aさん名義の預金が、
日本人Nさん名義の口座に変わるだけの話なのです。どちらにせ
よお金は米国内に留まっているので、米国政府としてはそれを国
内の経済のために――例えば減税などに使えるわけです。
 一方、日本の立場はどうなるでしょうか。
 決済上は米国が輸出代金としてドルを支払い、日本はそのドル
を受け取る――しかし、ドルのまま米国に据え置くので、それを
日本国内の経済活動には使えないのです。何のことはない、米国
の買い物の代金を日本が立て替えてあげることと同じです。です
から、米国は経常収支が巨額の赤字でも、いくらでも輸入できる
ことになります。
 本来はこういうことがあってはいけないので、通貨制度は「金
本位制」がとられたのです。金本位制を理解するため、自国通貨
として金そのものを使うケースについて考えます。つまり、貿易
決済はすべて金で行われると考えるのです。
 金本位制においては、金は赤字国(輸入国)から黒字国(輸出
国)へと移動します。そうすると、赤字国は通貨量そのものであ
る金を減らすことになるので、国内に出回る金――すなわち、通
貨が減少し、必然的に不景気になります。
 その結果、赤字国は経済の規模は縮小して購買力は減退し、輸
入規模も小さくなります。一方、黒字国はそれによって輸出量も
輸出による経常収支の黒字額も減少して、貿易の不均衡は調整さ
れ、均衡がとれてくることになります。
 しかし、金そのものを通貨として使うのは問題があるので、国
内には金と交換できる「金兌換紙幣」が流通したのです。外国と
の取引では、自国通貨と金兌換紙幣の交換を通じて自国通貨の価
値を間接的に金と結びつける「金為替本位制」で行われていたの
です。少なくとも米国がルールを守ってくれているまでの話であ
りますが・・・・。
 米国というより欧米というべきですが、欧米諸国はよくルール
を途中で自国に都合がよいように突然変更することをよくやりま
す。オリンピックなどのスポーツ大会で、とくに日本が今までに
ないやり方で金メタルを取ったりすると、ルールを変更してその
ワザを使えなくしてしまうのです。
 これは、古くは卓球の荻村選手のスポンジ・ラケットの禁止か
らはじまって、平泳ぎの古川選手の潜水泳法、背泳の鈴木大地選
手のバサロ泳法、最近ではフィギュアスケートの荒川静香選手の
イナバウアーの無採点など、たくさんあります。
 古川勝という平泳ぎの選手は、スタートすると折り返すまで潜
水しっぱなしの潜水泳法で何度も世界のトップに立っのですが、
それがずるいということで潜水泳法は禁止となり、古川選手は世
界から姿を消したのです。
 通貨の世界で米国は大きなルール変更を突然やっています。そ
れは、1971年のニクソン声明です。これは「ニクソン・ショ
ック」として世界中に衝撃を与えたのですが、とりわけ日本には
そのショックは大きかったのです。それ以来日本は米国の巧みな
富の収奪システムに巻き込まれ、現在でもなお、もがき苦しんで
いるのです。           ・・・[日米関係の謎02]


≪画像および関連情報≫
 ・金為替本位制とは
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  古典的な金本位制の1つ。金貨本位制国または金地金本位制
  国の通貨を外貨準備として保有する国が、自国の通貨に対
  して金貨(地金)本位制国の通貨を、平価の上下のせまいは
  ばの中で決められたレートで売り買いする制度のこと。金地
  金本位制とあわせて金核本位制ともいう。
  http://www.1gaitame.com/archives/2005/09/post_455.html
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1807号.jpg
posted by 平野 浩 at 06:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日米経済関係の謎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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