無料で読めるサービス──『産経ネットビュー』を開始して話題
になっています。今まで産経新聞を読んでいなかった私は、この
サービスを利用して産経新聞を読み始め、残しておきたい記事が
あるときは、紙の産経新聞を買うようにしています。
実は産経新聞は、PC上で新聞がそのまま見られる『産経ネッ
トビュー』を2005年からはじめていたのです。しかし、こち
らは有料で月額315円です。アイフォーンの無料版とどこが違
うのかというと、PC版は一週間分が読めるのに対し、アイフォ
ーン版はその日の新聞しか読めないことぐらい──しかし、タダ
の威力は大きく、PC版をやめてアイフォーン版に切り替えた人
は少なくないはずです。
ところが、産経新聞はアイパッドが発売されると、高精細版と
称して有料にしたのです。問題はその価格なのです。「30日ご
とに1500円」──アイパッドで産経新聞を無料で読もうとし
ていた人はがっかりでしょう。どうしてこの新聞社は、このよう
に価格の振幅が大きいのでしょうか。
これにはいろいろな説があります。産経新聞は当初700円に
しようと考えていたのですが、他の大手新聞幹部から安売りしな
いよう圧力がかかったというもの。もっともこれについて、産経
デジタルの近藤哲司社長は「自社で決めたもの」としています。
しかし、産経新聞の発行部数は次のように減少する一方なので
す。この数値は、毎年の4月実績です。
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≪産経新聞発行部数≫
2008年 2009年 2010年
2220762 1889069 1675744
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上の数値の2010年4月は167万5744部ですが、5月
は161万0241部と1ヵ月で65503部も減少してしまっ
ており、同新聞社の先行きに不安が広がっています。
次は、産経新聞と同様に部数減少が顕著で心配されている毎日
新聞の対応です。
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≪毎日新聞発行部数≫
2008年 2009年 2010年
3900544 3830582 3028656
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普通の新聞社は「新聞の情報をネットへ」という流れを作ろう
としていますが、毎日新聞社の場合、逆に「ネットの情報を新聞
へ」流そうとしているのです。それが「毎日RT」です。
毎日新聞社はかねてからネットには力を入れており、同社の総
合ニュースサイト「毎日JP」には、ツイッターを組み込み、読
者の声を生かす工夫をしています。
この「毎日JP」でよく読まれた記事をピックアップして、ツ
イッターによる読者の声を合わせて、タブロイド判の紙面に掲載
し、「毎日RT」として販売しているのです。ターゲットは、若
い層であり、毎日新聞にとってシェアの低い首都圏の新しい読者
を開拓するのが狙いです。月額1980円で販売は東京都、神奈
川県、千葉県、埼玉県であり、駅売りなどはしておらず、毎日新
聞の販売店から毎朝配達されるのです。しかし、そういう努力に
もかかわらず、2009年からの1年間で80万部が減少してい
るのです。
それでは読売新聞はどうでしょうか。
読売新聞は王者だけあって、1000万部以上の部数を維持し
ており、その結果、経営は安定しているといえます。2010年
3月期の経常利益は前期比55%増の127億5400万円にな
っています。巨人優勝も大きく貢献しています。
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≪読売新聞発行部数≫
2008年 2009年 2010年
10020392 10020688 10010724
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その余裕のせいか、同社の掲げる目標の中にはデジタル戦略の
記述はないのです。ネット事業としては、医療情報サービス「ヨ
ミドクター」記事の一部を有料化して販売している程度です。料
金は月額420円、読売新聞購読者は210円です。
読売新聞の総帥、渡邊恒雄会長は、2009年合同新春所長会
議において次のように述べて、日本の新聞事業について自信を示
しているのです。そこにはネットの「ネ」の字もないのです。
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欧米の新聞は収入の八割を広告に依存しており、半分になった
らもう経営できない。戸別配達の割合が少ないので販売収入も
安定しない。日本は広告依存度が三割程度で、完全戸別配達網
が確立されているおかげで収入は安定している。
必要はない。 ──河内孝著『次に来るメディアは何か』
ちくま新書/826
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実際に渡邊会長にネットの可能性について聞いてみると、次の
返事が返ってきたというのです。
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IT企業の社長も毎日、新聞を読んで情報を仕入れている。こ
れからも紙の新聞が揺らぐことはない。 ──渡邊会長
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要するに、渡邊会長の言いたいことは、「紙の新聞に影響を与
えるようなデジタルビジネスはやらない」ということなのです。
毎年1000万部以上の実績が自信の裏付けになっているようで
すが、この3年間の数字は何とかやっと1000万部を維持して
いるようにも見えることから、そこに相当の無理があるとも考え
られています。 ──[メディア覇権戦争/12]
≪画像および関連情報≫
●『毎日RT』は中立を保てるか
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実はその『毎日RT』は普通の新聞ではない。なんとニュー
スや時事問題に関する皆の意見が取り上げられるそうだ。ど
のように?そこが目玉ですね。つまり毎日新聞のニュースサ
イト「毎日JP」のニュース記事についてのツイッターによ
るつぶやき(意見、コメント、批評)などがニュースと共に
掲載されるという。
http://www.amamoba.com/pc/mainichi-rt.html
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ツイッターの記事も見える毎日RT


