のように対応しようとしているのでしょうか。ここで日本の置か
れている現状を整理してみることにします。
シンプルに考えてみましょう。基本的に次の2つの大きな問題
があるのです。
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1.誰が本の権利者なのか
2.誰がその本を売るのか
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日本の場合、一番問題になるのは、1の誰が書籍──コンテン
ツの権利を持っているかです。
これははっきりしているのです。日本の著作権法では、著作権
は著者(著作権継承者)が持っているのです。出版社は著者から
本を発行する許諾を得ているに過ぎないのです。
そのため、紙の本を出しているからといって、出版社は勝手に
その電子書籍を作るわけにはいかないのです。出版社としては、
今後デジタル化権を含めた包括的かつ排他的契約を著者と結びた
いところですが、著者が同意するかどうかわからないのです。
現行の著作権法では、出版社の権利はほとんどないのです。こ
の場合、問題になるのは編集権や版面権──著作権隣接権をどう
ように認めていくかは大きな課題なのです。
実際に本を作る場合、企画から取材までを著者と編集者が共同
で行い、タイトルも編集者が決めるのが普通です。しかし、コン
テンツの権利は著者が握っているので、紙の本はA社で出すが、
電子書籍はB社でといわれてしまうと、企画から関わったA社に
は編集などの対価が入ってこないことになります。
次にもっと大きい問題、2の「誰がその本を売るのか」につい
て考えてみましょう。日本にはアマゾンやアップルのようなハー
ドウェアからコンテンツ販売までを一体的に扱う事業者は存在し
ないのです。
紙の書籍の場合を考えてみます。紙の書籍の場合、次の3つの
主体があります。これらは「業界3社」とか、「業界三位一体」
といわれます。
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1.出版会社
2.取次会社
3.書籍会社
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多くの場合、大手出版会社は取次会社の株主であり、取次会社
が株主になっている書店も多くあります。さらにこれら業界3社
は次の2つの制度によって緊密に結びついているのです。
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1.再販制度 ・・・・・ 定価制
2.委託制度 ・・・・・ 返品制
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これは、EJ第2867号でも説明しましたが、観点を変えて
説明します。
出版業界の流通に詳しいフリーライター永江朗氏は、この業界
3社の関係を次のように述べています。
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再販制度(=定価販売制度)と委託制(=返品制)によって業
界三者は深く結ばれている。再販制度と委託制によって、紙の
本はあたかもニセ金のように、あるいは業界内地域通貨のよう
に振る舞う。 ──『週刊エコノミスト』6/1特別号
―――――――――――――――――――――――――――――
出版会社が著者の許諾を受けて本を制作すると、それを取次会
社に持ち込みます。取次会社は内容を見てその本がどのくらい売
れるかを決め、配本数を決定します。
出版会社が本を3000部印刷したとします。取次会社はその
うち1500冊の配本を決め、配本する書店を決めて書店宛に本
を送ります。このさい、書店の意向は無視されます。そして、出
版会社に対しては、配本部数の仕入れ代金を支払い、書店は取次
会社に仕入れ代金を支払います。
普通の業界であれば、ものとお金の流れはこれで終わるのです
が、出版界では返品があるのです。書店は一定の期間店に本を置
いて売れなかった分は取次会社に差し戻します。取次会社はそれ
を出版会社に返品し、返品分の代金を受け取り、それを書店に返
します。といっても、実際は次の仕入れ代金と相殺されるのです
が、基本的にはこういうシステムになっているのです。なお、書
店から注文して仕入れた本については返品できないのです。
現在日本の出版界は、売り上げは伸びないのに、新刊の点数は
増加しています。どうしてこのようなことになるのでしょうか。
しかも、現在の返品率は実に40%に達しているのです。
出版会社は、返品された本の代金を取次会社に支払うため、お
金が要ります。その資金繰りのため、新刊書を出そうとします。
新刊書を出せば取次会社からお金が入るからです。
既出の永江朗氏は、出版、取次、書店間のこのシステムについ
て次のようにいっています。
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出版社は、常に返品を上回る新刊をつくらないとやっていけな
い。自転車操業というより、新刊という燃料を入れて走る「オ
ートバイ操業」である。こうやってモノとお金が出版界の中を
ぐるぐる回っている。どこかで流れが詰まったり漏れたりする
と、全体が壊れかねないデリケートなものだ。
──『週刊エコノミスト』6/1特別号
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この紙の書籍が電子化されて電子書籍になった場合、何がどう
変わるのでしょうか。少なくとも取次会社と書店は大きなダメー
ジを受けることは確かです。出版会社はどうなるでしょうか。
──[メディア覇権戦争/09]
≪画像および関連情報≫
●「キンドル」のニュース/2009年10月時点
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2009年10月14日、以下のようなニュースが流れた。
毎日新聞を引用・要約すると次の内容となる。――米ネット
通販大手、アマゾン・ドット・コムが発売した電子書籍端末
「キンドル」(世界100カ国で販売)の開発、マーケティ
ング、技術設計を担当するチャリー・トリッツシュラー氏は
日本での販売に合わせて東京都内で記者会見し「どの言語に
も対応することが長期ビジョンだ」と述べ、日本語書籍もダ
ウンロードできるサービスを検討していることを明らかにし
た。時期は明言を避けたが「キンドルは米国での発売から2
年で世界で発売した」と述べた。
http://blog.livedoor.jp/samuraibenz/archives/443000.html
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●●図の出典/『週刊エコノミスト』6/1特別号P30より
業界三位一体の構図


