す。2004年にソニーは、電子書籍端末「リブリエ」を日本国
内で発売し、電子書籍事業をスタートさせたのですが、うまく行
かず、撤退しているのです。
失敗の理由は、紙の書籍の売れ行きが鈍るのを恐れてか、コン
テンツを読める期間を2ヶ月に限定するなど、中途半端なサービ
スとの印象をぬぐえず、消費者の心をつかめなかったのです。
その後ソニーは、2006年7月に正式に電子書籍事業をスタ
ートさせ、欧米において電子書籍事業を展開し、2009年12
月には、携帯電話(3G)網を利用する通信機能を搭載した「リ
ーダー・デイリー・エディション」を発表しています。
これに対してアマゾンが「初代キンドル」を発売したのは20
07年11月のことです。そして、2009年2月には「キンド
ル2」、続いて同年5月には「キンドルDX」を発売し、この分
野でたちまち主導権をとったのです。
しかし、2010年4月にアップルが「アイパッド」を米国で
発売、日本でも5月に発売すると、一挙に電子書籍ブームが盛り
上がったのです。アイパッドの用途は電子書籍端末だけではない
ので、これによって、今まで電子書籍に関心のなかった人もアイ
パッドで本を読むようになり、世界中で電子書籍ビジネスは加速
することが期待されたのです。
それでは、キンドルやアイパッドによって、本の読み方や出版
形態はどう変わるのでしょうか。
キンドルの場合、本を探すときは、画面からアマゾンが運営す
る電子書籍のオンライン書店「キンドルストア」にアクセスし、
お目当ての本を選びダウンロードする──それだけです。あとは
自分の読みたいときに、キンドルでいつでも読むことができるの
です。もちろん文字も簡単に拡大できます。
雑誌の場合、定期購読を申し込むと、発売日に自動的にダウン
ロードされるのです。新聞も同様で毎朝、外に取りに行かなくて
もキンドルに毎日ダウンロードされるので、キンドルさえ手にす
れば、いつでも新聞が読めるのです。
既存の書店でも電子書籍を購入できます。米国の最大手書店、
バーンズ・アンド・ノーブル──もともとこの書店では、立ち読
みならぬ「座り読み」がウリだったのです。B&Nの店内には、
スターバックス・コーヒー店があり、書架から購入したい本を持
ち込み、そこで読めるのです。
最近日本の書店でも、ジュンク堂書店がはじめたことによって
「座り読み」は一般化していますが、B&Nが最初にはじめたの
です。最近B&Nでは、同社の発売した電子書籍端末「ヌック」
を手にするお客が増えているというのです。
B&Nの場合、ヌックを持って店内に入ると、無線LANで興
味のある電子書籍を一時的にヌックにダウンロードし、試し読み
ができるのです。内容が気に入らなければ買わなければよいし、
購入する場合は、その場でダウンロードできるのです。B&Nは
生き残りに必死であり、電子書籍時代でもリアルの書店を何とか
して残そうと努力をしているのです。
米出版社協会によると、2009年の業界全体の書籍売り上げ
は、239億ドルで前年比1.8 %減なのです。しかし、電子書
籍に関しては、3億1300万ドルで前年比176%増──電子
書籍関連の売り上げは、今年中に5億ドルを突破するとみられ、
市場の急拡大と競争の本格化が想定されるのです。
しかし、そこにアイパッドが登場したのです。キンドルやヌッ
クが書籍専用端末であるのに対して、アイパッドはそうではない
ところに特色があります。キンドルやヌックのユーザーには中高
年齢層が多いそうですが、アイパッドやアイフォーンは若手層が
中心であることです。これがどう影響するのでしょうか。
アイパッドやアイフォーンは、メールチェックや写真の閲覧、
さらに各種のソフトウェアをダウンロードすることによって、ゲ
ームや動画などを楽しむ端末として幅広く使われており、書籍端
末としてはどうかということを懸念する人もいたのです。
しかし、次の2つのことでそれは杞憂に終わったのです。1つ
は、アイフォーン用のアプリの数で電子書籍がはじめてゲームソ
フトを上回るなど、アップル製品上でも電子書籍は成長傾向が見
込めたのです。これは2009年9月のことです。
2つは、アイパッド発売日に25万冊の電子書籍がダウンロー
ドされたことです。アイパッドの魅力が電子書籍の裾野を大きく
広げたことを意味します。
現在米国では、アイパッドの登場によって、電子書籍であって
も従来の書籍の枠を超えるものが、大量に出てきているというの
です。これについて、「電子書籍革命」を特集した『週刊エコノ
ミスト』は次のように書いています。
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例えば、『不思議な国のアリス』の絵本。アイパッドを揺らす
と、それに合わせて挿絵の懐中時計が左右に揺れる。めくると
ストーリーに合わせてマーマレードの瓶が落ちてくるページも
ある。また、好きな音楽をかけると、リズムに合わせて挿入人
物がダンスする絵本もある。
──『週刊エコノミスト』6/1特大号より
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それでは、出版形態がどうなるのか──これは米国の場合と日
本では事情が異なるのです。既に米国では多くのベストセラー書
籍が電子化されているのに対して日本はこれからです。
日本の場合、著作者と出版社と流通において、収益分配をどう
するのかが決まっていないのです。それに日本の場合、再販売価
格拘束契約があり、価格による柔軟なマーケティングができない
のです。これをどう解決するかが課題になります。
しかし、日本だけが電子書籍化に遅れると、またしてもカラパ
ゴス化する恐れもあります。この日本が抱える課題については、
このあと取り上げます。 ──[メディア覇権戦争/05]
≪画像および関連情報≫
●アマゾンの電子書籍「キンドル2」
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ついにアマゾンの電子書籍リーダーのキンドルを入手した。
キンドルとは、書籍版アイパッドして07年に米アマゾンが
満を持して発売した読書用の携帯端末で、すでに30万冊以
上の書籍や、ニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリ
ート・ジャーナル紙といった有名新聞やタイム、ザ・ニュー
ヨーカー、ザ・エコノミストといった雑誌が対応している。
今春には、第2世代にあたる「キンドル2」と大型版の「キ
ンドルDX」がそろって発売されている。
http://eiga.com/extra/konishi/116/
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キンドルを発表するジェフ・ベゾスCEO


