第2位のトリビューン社が破産手続きを申請したのです。その負
債総額は130億ドル(約1兆3000億円)にのぼるのです。
今から思えば、それが雪崩のような米新聞社の経営破綻のはじ
まりだったのです。3月までをメモしてみることにします。
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◎2009年1月15日
・ミネソタ・スター・トリビューンが破産申請
◎2009年2月15日
・NYT社の経営危機が表面化
◎2009年2月23日
・フィラデルフィア・インクアイアラーズ社破産申請
◎2009年2月26日
・ロッキー・マウンテン・ニュースが廃刊
◎2009年3月31日
・サンタイムズ・メディア社破産申請
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同業の新聞社の倒産を伝える新聞の見出しには「大虐殺」の文
字まで躍り、倒産情報専門の「新聞死亡ウォッチ」というサイト
まであらわれるほどだったのです。
ここに興味深いデータがあります。発行部数の上位5社の米新
聞社の2009年3月現在の発行部数と前年比です。
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1.USAトゥデー
2113725(− 4.60 %)
2.ウォール・ストリート・ジャーナル/WSJ
2082189(+ 0.61 %)
3.ニューヨーク・タイムズ
1039031(− 3.55 %)
4.ロサンゼルス・タイムズ
723181(− 6.55 %)
5.ワシントン・ポスト
665383(− 1.16 %)
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注目すべきことは、WSJだけが前年比がプラスになっている
ことです。実は全米トップ25紙中でも前年比プラスはWSJだ
けなのです。
第1位のUSAトゥデーは、2009年10月には発行部数は
188万部に減少し、第2位のWSJのそれは202万部で全米
トップの地位を奪っているのです。なお、このWSJの数字には
40万部近い電子版が含まれています。
このWSJとニューヨーク・ポストは、いくつものテレビ局や
新聞社を傘下に置くメディア王、ルパート・マードック氏の保有
紙なのです。マードック氏は、グーグルやヤフーなどのプラット
フォーム業者によるコンテンツの無料閲覧には強い危機感を持っ
ており、2009年4月2日の有線放送業者の年次総会で次のよ
うに怒りをぶつけています。
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インターネットを使って、ニュース・コンテンツを無料で閲覧
する時代を終わらせなくてはならない。いつまでグーグルなど
が我々の著作権を盗んでいくことを許しておくのか。NYTや
WSJといったブランド力のある媒体は、そんなことをさせる
必要はない。 ──河内孝著『次に来るメディアは何か』
ちくま新書/826
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米国では、2009年に入ると、新聞社、通信社などのコンテ
ンツの提供者──コンテンツ業者とグーグルやヤフーなどの集約
・配給者──プラットフォーム業者の間で、利益の配分や、最終
消費者に小額課金制を導入することの是非を巡って、厳しい対立
が続いています。
元毎日新聞常務取締役で現国際厚生事業団理事の河内孝氏によ
ると、ここでいうコンテンツ事業者のことを「アグリゲイター」
と呼んでいますが、ここでアグリゲイターとは仲介業者という意
味になります。
こういうマードック氏の「他人の作ったコンテンツを売り、広
告収入を上げながら、富をコンテンツ提供者と分かち合おうとし
ないプラットフォーム業者は寄生虫のようなもの」という批判に
対しては反論も少なくないのです。
CNNのケビン・ボイグ記者は、マードック氏の批判を次のよ
うに批判しています。
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マードックの言うことはいったんひねり出した歯磨き粉をチュ
ーブに戻すような試みではないか。
──河内孝著『次に来るメディアは何か』
ちくま新書/826
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しかし、マードック氏にしてみると、WSJについては電子版
の有料化に成功しつつあるものの、グループ全体の利益が前年に
比べて実に47%に落ち込み、約3200億円の赤字になってい
るので、事態を深刻と受け止めざるを得ないのです。
そのため、マードック氏としては、数年かけて新聞「紙」から
撤退し、電子版に移行する──その前提として、インターネット
・アグリゲーター、消費者へのニュース提供を有料にするという
方針を打ち出し、実行に移そうとしてきているのです。
つまり、新聞「紙」ビジネスをデジタルコンテンツ・ビジネス
に切り替えられない限り、マードック帝国の明日はないとみてい
るのです。鋭い時代感覚であり、日本のメディアの経営者も見習
うべきです。どうも日本では、電子書籍化の怒涛のような波が既
存メディアに襲いかかりつつあるという認識を持つ人が少ないよ
うです。 ──[メディア覇権戦争/04]
≪画像および関連情報≫
●FOXテレビでのルパート・マードックの言葉
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10年後には、ほぼすべてのニュース・コンテンツがパソコ
ン、もしくはアマゾン社の携帯電子媒体キンドルなどを通し
て、読者に読んでもらうことになるだろう。
2009年6月8日/ルパート・マードック
──河内孝著『次に来るメディアは何か』
ちくま新書/826
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ルパート・マードック氏


