ているといわれます。B&Nというのは、米国で最大の書店チェ
ーンであり、最大の専門の小売店です。2009年10月現在の
数字ですが、米国50州とコロンビア特別地区で合計777店舗
を保有する米国最大のリアル書店です。
B&Nは、大規模で高級感のある店舗を構えることで有名な書
店であり、多くの店舗がスターバックス・コーヒーを提供する喫
茶コーナーとベストセラー本を値引き販売するコーナーを設置し
ています。
この書店は、表面的に見ると、オンライン化しており、電子書
籍化にも、独自端末「ヌック」を投入し、対応しているのです。
それでいて、新大陸のアマゾンに比べると、大きく遅れてしまっ
ているのです。
メディア覇権戦争を特集した『週刊東洋経済』では、B&Nの
ことを次のように表現しています。
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B&Nの店内をのぞくと、ヌックの販売促進のために1人販売
員を配置し、ヌックだけでなく、豊富なアクセサリーも販売し
ている。が、店内には当然、多くの紙の書籍が売られており、
設置されたスターバックスにはコーヒーやマフィンを買って、
何時間も粘る相変わらずの常連客がいる。古い書店に、そのま
まデジタルをつなぎ合わせたような印象だ。
──『週刊東洋経済』7/3号より
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B&Nでは、リアル書店にしかできない読書会や近所の学校の
音楽クラブの演奏会を店内で行うなどの地域コミュニティ活動に
力を入れてきたのですが、このような文化活動をいくら行っても
収益面での貢献はきわめて小さいのです。
B&Nを疲弊させたのは、リアル書店の高コスト体質を維持し
たままで、アマゾンとの厳しい値下げ競争を行い、「ヌック」な
どのデジタル投資を行ったからであり、それはB&Nの体力を確
実に奪ったのです。やはり、旧大陸に軸足を置いたままでの新大
陸開拓は、コスト面で先行企業に太刀打ちできないのです。
全米第2位のリアル書店ボーダーズは、B&N以上に深刻な状
態にあるようです。2010年1月、ボーダーズはCEO以下の
全役員が辞職し、5月になってたばこ会社のベクター・ルポー氏
が高利ローン負債を負債を返済して、ボーダーズのCEOに就任
して当面の危機は乗り越えたものの、先行きは不安そのものの状
態にあります。
この7月には、電子書籍端末を149ドル99セントで発売し
たものの、明らかに投入時期が遅れており、その評判はいまいち
であるといいます。
結局は、B&Nとボーダーズの両社が経営統合し、リアル店舗
を大幅に閉鎖しない限り、両社の生き残りの道はないといっても
過言ではないという状況になっているのです。
もともと米国の書店ビジネスは、出版社が表示した希望小売価
格どおりに販売すれば、40%の利幅がとれる利益性の高いビジ
ネスだったのです。したがって、店舗数を増やせば増やすほど、
利益がもたらされたのです。
しかし、B&Nの場合、この多店舗戦略が裏目に出たのです。
2000年代に入ると、アマゾンの躍進により、大幅な値下げ販
売が行われ、低コスト体質のアマゾンのシェアがどんどん上昇す
るなかでB&Nの競争力が奪われたのです。
この傾向は、日本の書店においても例外ではないのです。6月
21日のことですが、紀伊国屋書店では高井昌史社長が電子書籍
流通への参入を発表しています。高井昌史社長は次のように危機
感を表明しています。
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現在、2兆円の出版市場の10%がこの2〜3年で電子書籍に
移行するだろう。非常に大きな市場であり、無視することはで
きない。電子書籍に対応できるか否かに書店の将来がかかって
いる。 ──高井昌史紀伊国屋書店社長
──『週刊東洋経済』7/3号より
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紙の書籍を読者に届けるルートを考えてみましょう。日本の場
合は、出版社からトーハン、日販などの取次を経て書店に書籍が
届けられるのです。書店に届けられる冊数は取次によって決めら
れ、その時点で出版社には冊数分の代金が支払われます。この場
合、売れない本はやがて戻ってくるので、その分は出版社は返済
しなければならないわけです。
電子書籍の場合はどうなるのかというと、取次、リアル書店を
経由しないので、リアル店舗は完全に「中抜き」の状態になって
しまうのです。
1996年をピークに出版市場は縮小が続いているので、書店
の経営は苦しくなっています。それでいて電子書籍市場の勃興を
座視していれば、書店はますます危機に陥るだけです。
そうであるなら、電子書籍を扱うプラットフォームの運営に乗
り出すべきである──日本の書店チェーンの第2位の丸善は、そ
のように考えて手を打っています。 丸善の小城社長は、次のよ
うに述べています。
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同じ紙の書籍を売るオンライン書店とリアル書店は食い合う関
係だが、電子書籍はリアル書店と競合するものではない。ハイ
ブリット化させることは可能なはずだ。
──丸善小城社長
──『週刊東洋経済』7/3号より
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しかし、新市場に討って出る余力のあるのは大手書店の一部に
過ぎないのです。出版界、取次、そしてリアル書店のすべてが変
わろうとしています。 ──[メディア覇権戦争/02]
≪画像および関連情報≫
●ボーダーズ電子書籍市場に遅すぎる参入
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ボーダーズが電子書籍の販売に参入することを明らかにしま
した。同社はバーンズ&ノーブルに次ぐ書籍チェーン2位に
位置する企業ですが、いままで電子書籍の販売はしてきませ
んでした。投資をしているカナダのKobo という会社から技
術提供を受けての販売開始です。アマゾン、バーンズ&ノー
ブル、アップルのようにデバイス(ブックリーダー)は投入
しません。ネットで見る限り、アイフォーンやアイパッド用
アプリで対応するようです。この参入、遅すぎたんじゃない
でしょうか。「この市場はいままさに始まったばかりで、遅
いと言うことはない」と同社は説明しているんですけどね。
http://www.retailweb.net/030/031/
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米書籍市場の現状


