2010年07月12日

●「鳩山辞任は米外交の勝利である」(EJ第2853号)

 7月11日の「参院選/2010」──このEJが届く頃には
決着がついていると思います。おそらく民主党は過半数をとれな
いと思います。
 もし、鳩山─小沢体制に政治とカネに関わる検察の暴挙がなけ
れば、さらにあの普天間基地問題の処理の失敗がなければ、民主
党は単独過半数は簡単に取れたと思いますし、それによってこの
国の民主主義は大きく前進したはずです。なぜなら、小沢前幹事
長の改革はまだ道半ばであるからです。
 ところで、鳩山前首相の普天間処理の失敗について、現在多く
の人が考えているのとは、まったく違う考え方があるのです。つ
まり、これは鳩山政権の失敗ではなく、あれ以外には解決策がな
かったという考え方です。その証拠に、菅政権になっても何ら問
題は解決されていないのです。もし、菅政権が普天間の日米合意
を強行すると大変なことになると思います。
 しかし、米国の見方は違います。カーネギー国際平和財団のロ
バート・ケーガン上級研究員は、2010年6月29日付のワシ
ントン・ポスト紙に寄せたコラムのなかで、オバマ政権が6月に
「5つの外交の勝利」を上げたと評価し、その3番目に「鳩山辞
任」を上げています。鳩山辞任は米国に仕掛けられた謀略だった
のです。このコラムは同日付のワシントン・ポスト紙19面に出
ていますが、次のURLで原文を見ることができます。
―――――――――――――――――――――――――――――
   http://dankai.miwako-kurosaka.com/?eid=967225
 鳩山首相が退陣し、米国へのコミットメントは確認されたと。
 「この成果は、日本の中国に対する『恐怖』以外のなにもので
 もないが、しかし、オバマ政権は正しい方向に舵をとることを
 助けたということで賞賛される価値がある」、と。)
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 ケーガン氏の「5つの外交の勝利」をご紹介しておきます。
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  1.アフガニスタン駐留米軍司令官の更迭
  2.国連安保理のイラン制裁決議
  3.日本の鳩山首相辞任による日米同盟公約の再確認
  4.米韓自由貿易協定交渉の前進
  5.ロシア大統領にグルジア問題を明確に指摘
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 これについて、名古屋大学教授春名幹男氏は、次のように解説
しています。
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 この(ケーガン氏の指摘の)中で最も注目すべきことは、鳩山
 前政権が中国寄りに軸足を変更しようとした、と米側が判断し
 ていたことだ。その脈絡で、普天間基地問題でも鳩山前政権の
 対応を批判したのである。鳩山政権の東アジア共同体構想にも
 オバマ政権は神経をとがらせていた。    ──春名幹男氏
   ──『国際情報を読む』/18日発行の日刊ゲンダイより
―――――――――――――――――――――――――――――
 普天間問題に関して鳩山政権では、岡田外相と北沢防衛相、そ
れに、前原国交相や長島昭久防衛政務官などが、鳩山首相とは違
う趣旨の、ばらばらな発言をして顰蹙を買いましたが、これには
わけがあるのです。
 彼らの発言には、米国の意向がバックにあるのです。このこと
を理解するには、米オバマ政権内部の人的関係について知る必要
があります。これについては、佐藤優氏と副島隆彦氏の本を参考
にして述べることにします。
 オバマ政権で国家安全保障担当・大統領補佐官を務めるジェイ
ムズ・ジョーンズという人がいますが、彼は海兵隊出身です。彼
は、海兵隊の司令官をやっていたのです。海兵隊は陸海空3軍に
次ぐ4番目の軍隊であり、格がひとつ下なのです。大佐が最高位
であり、司令官/コマンダーがトップになるのです。
 このジョーンズ大統領補佐官を中心にオバマ政権には海兵隊出
身者が大きな政治力が持っているのです。このなかで東京で暗躍
して政治干渉をしているのは次の「2人のマイケル」です。
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          マイケル・シファー
          マイケル・グリーン
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 マイケル・シファーという人物は、オバマ政権でアジアを担当
するウォレス・グレッグソン国防次官補の下で国防次官補代理を
努める高官です。副島氏によると、マイケル・シファー国防次官
補代理は、100人ぐらいのCIA要員を動かして横田基地と南
青山の米軍施設を固めて、カート・キャンベル国防次官補と連動
して、非常に危ない動きをしているというのです。共和党政権時
代はアーミテージ国防次官補が同様の任務をしていたのです。
 このマイケル・シーファーの上司はローレス国防副次官であり
その上がロバート・ゲーツ国防長官です。ローレス国防副次官は
沖縄の米軍基地のグアム移転計画の実行責任者です。
 もうひとりのマイケルは、マイケル・グリーン──CSIS/
戦略国際問題研究所研究員です。彼は東アジア上級部長をしてい
たことがあり、渡辺恒雄(民主党渡辺恒三議員の息子)は彼の忠
実な部下です。また、前原誠司国交相や長島昭久国防政務官も、
このマイケル・グリーンの影響を受けています。なお、あの小泉
進次郎衆議院議員もCSISの大学院を出ているのです。
 これら2人のマイケルは、いわゆる安保マフィア──日米安保
でメシを食う人々といわれ、沖縄利権に深くかかわっているので
す。このように鳩山政権の閣僚の多くが、米国の安保マフィアの
意向を代弁しており、これでは鳩山氏がいくらがんばっても、思
うように前に進まないのは当然のことです。それに小沢前幹事長
については、渡辺恒雄氏を通じ、渡辺恒三氏の口を借りて巧みに
辞任を迫るという方法をとっていたわけです。すべてはつながっ
ており、恐るべきことです。 ──[ジャーナリズム論/57]


≪画像および関連情報≫
 ●長島昭久氏という政治家の正体/あるブログより
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   今日の東京新聞朝刊第2面(政治)に見過ごしてしまいそう
  な目立たない場所に、しかし見過ごすわけにはいかない次の
  ようなとんでもない記事があった。
  「長島氏は『米国は歓迎されないところには置かない。沖縄
  が本当に反対し、日本政府も出て行けとなれば、簡単に出て
  行く可能性は非常にある』と発言。「沖縄の海兵隊は日本の
  安全保障の根幹。駐留は当分続かざるを得ない」と述べ、海
  兵隊を沖縄にとどめておくためにも、五月までの決着が必要
  と強調した。
      http://adat.blog3.fc2.com/blog-entry-1430.html
             http://q.hatena.ne.jp/1274077297
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マイケル・グリーン前アジア上級部長.jpg
マイケル・グリーン前アジア上級部長
posted by 平野 浩 at 04:13| Comment(1) | TrackBack(0) | ジャーナリズム論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
謀略国家アメリカの本質を知らないと、この辞任劇は裏が見えないでしょうね。
Posted by cova at 2010年07月14日 09:29
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