2010年07月09日

●「増税は2012年実施で進められている」(EJ第2852号)

 いよいよ2日後に参院選の投開票が行われます。ここまでのメ
ディアの論調を見ていると、主力メディアは菅首相が打ち出した
消費税増税に関して一貫して容認の姿勢です。『週刊ポスト』7
/16は、朝日新聞と読売新聞を例として取り上げ、そのことを
指摘しています。
 6月28日付、朝日新聞の朝刊は、「消費税最大の焦点は19
%」という見出しで次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 朝日新聞が26〜27日の両日に実施した全国電話世論調査に
 よると、消費税の引き上げを参院選の最大の争点だと思う人は
 19%で「消費税以外にも大きな争点がある」とする人は71
 %にのぼった。有権者の多くは幅広い問題を選択基準にしよう
 としている。    ──6月28日付、朝日新聞の朝刊より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この報道を読むと、国民は消費税増税をそんなに気にしていな
いのだなという印象を受けてしまいます。増税に反対だった人も
大方の人は増税容認の姿勢なんだと感じると、自分の考え方を修
正する人も多く出てくるのです。これがメディアの力です。
 しかし、この世論調査には問題があるのです。質問は次のよう
になっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ●消費税引き上げの問題は、あなたにとって参院選の一番大き
  な争点になると思いますか。消費税以外にも大きな争点はあ
  ると思いますか。
  ・一番大きな争点になる
  ・消費税以外にも大きな争点はある
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは極めて不自然な二者択一です。大手メディアの元世論調
査室長は次のように疑問を呈しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 有権者に選挙の争点を聞く場合、例えば、消費税、景気対策、
 社会保障、政治とカネの問題などと選択肢を列挙して選ばせる
 のが最もニュートラルな方法です。しかし、朝日は「他にもあ
 る」という網羅的で選びやすい選択肢と「一番大きな争点」と
 いう限定的で選びにくいものを二択にしている。この結果をも
 って、「消費税は参院選の争点ではない」という結果を導き出
 すのは恣意的といわれても仕方がない。
                ──『週刊ポスト』7/16
―――――――――――――――――――――――――――――
 それでは、読売新聞はどうでしょうか。読売新聞は6月29日
付、朝刊一面で「消費税/問われる決断」と題して、丸山淳一経
済部長が消費税引き上げを迫っていますが、英国の例を引いたく
だりで、意図的とも思えるミスリードがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 首相が「政治主導の見本」とする英国では、キャメロン新政権
 が政権交代からわずか40日で、付加価値税率の引き上げや、
 子ども手当の3年間支給停止などを柱にする財政再建の具体策
 をまとめた。     ──6月29日付、読売新聞朝刊より
―――――――――――――――――――――――――――――
 これだけみると、どこにも問題はないように見えます。英国の
新政権でも付加価値税率の引き上げや子ども手当支給停止を打ち
出している──同様なことを菅政権はやろうとしているだけでは
ないかと考えてしまうものです。
 しかし、それは違うのです。英国の新予算の基本の柱は、官僚
の採用抑制や昇格停止という4兆円以上の緊縮財政なのです。確
かに付加価値税率の引き上げをしていますが、同時に所得税減税
と銀行税新設、それに法人税引き下げが行われているのです。
 それなのに、「消費税引き上げ」と「子ども手当支給停止」だ
けを取上げているのは恣意的であり、ジャーナリズムにあるまじ
き虚報である──このように『週刊ポスト』は批判しています。
 それでは、どうして大新聞が菅政権に肩入れするがごとき態度
をとるのでしょうか。それは、記者クラブメディアと財務官僚が
つながっているからです。
 財務省は恐るべき役所なのです。財務省では課長や主計官クラ
スから審議官、局長までが担当を決めて、テレビの解説委員や新
聞の論説委員、各社の経済部長などと会談を行い、消費税引き上
げの必要性を説いて回るローラー作戦を展開中なのです。
 そのさいには財務官僚機密費で記者に飲み食いさせたり、財務
省が望む都合の良い記事を書かせることなど朝飯前なのです。菅
政権が参院選に勝利すれば、増税は確実視されるので、選挙の争
点にしないよう新聞で世論誘導報道をさせているのです。
 実は財務省内には「増税司令部」ができているといわれます。
彼らは綿密なスケジュールに沿って計画を立てて動いており、菅
首相の「消費税10%発言」もその計画に沿ったものです。政府
側の担当者は、玄葉政調会長兼特命相なのです。玄葉特命相は入
閣前には衆議院財務金融委員長であり、財務省と税制改正につい
て入念なスケジュールを組んでいるのです。
 そして、菅首相が「消費税10%発言」を表明するや、玄葉氏
は「最速で2012年秋」と述べています。ここで間違ってはな
らないことは、2年間かけてじっくり議論するという意味ではな
いことです。
 消費税の税率を引き上げる場合、銀行のAТMから商店のレジ
や企業の会計システムの変更など、膨大なインフラ整備が必要に
なるので、少なくとも一年はかかります。しかし、複数税率や国
民番号制のシステムづくりまでやるのはとても無理であり、場合
によってはやらないで増税をする可能性もあります。12年の秋
にやるとすれば、少なくとも来年の秋の臨時国会までに増税法案
を成立させる必要があります。その場合、必ずしも選挙で信を問
わない陰謀もあるのです。  ──[ジャーナリズム論/56]


≪画像および関連情報≫
 ●『特会仕分け』はアリバイ工作
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  内閣府の幹部はこううそぶく。「財務省が菅故確に消費税を
  を早くやらせようとしているのは、このままの税収では嫌で
  も特会のカネに手をつけるしかなくなることを恐れているか
  らだ。特別会計にも無駄削減のメスを入れたという姿勢は見
  せておく必要はあるが、まァあれは増税を前提にしたアリバ
  イづくりに過ぎない」。菅氏らは、ここまで官僚に馬鹿にさ
  れてもなお、国民を裏切って、彼らのために働くつもりなの
  か。            ──『週刊ポスト』7/16
  ―――――――――――――――――――――――――――

玄葉光一郎民主党政調会長.jpg
玄葉 光一郎民主党政調会長
posted by 平野 浩 at 04:09| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャーナリズム論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

「増税司令部」とやら、組織的ですね。
私の周りでも、「消費税上がってもしょうがないわね」の声を聞きます。
「15%なら許容する」という友人もいます。
見事に、官僚とメディアの巧妙な罠に嵌まっています。
インテリといわれる人ほど、活字を信じてしまうようです。
まずは、メディアがかける罠をはずしたいと思います。
ブログ「一市民が斬る」で、罠の解きほぐしをやっています。
http://civilopinions.main.jp/2010/07/74.html
ぜひ、読んで拡散してください。
Posted by 世直し人 at 2010年07月09日 11:37
数字はうそをつかないが、数字でうそをつける。

ある意味、巧妙な詐欺。
Posted by cova at 2010年07月14日 09:32
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