2010年06月25日

●「菅首相を強気にさせたある世論調査」(EJ第2842号)

 菅首相の消費税発言で民主党の支持率がメディア各社で大きく
ダウンしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  報道ステーション(テレビ朝日) ・・・ 45.3%
  NHK ・・・・・・・・・・・・・・・ 49.0%
  朝日新聞 ・・・・・・・・・・・・・・ 50.0%
  読売新聞 ・・・・・・・・・・・・・・ 55.0%
―――――――――――――――――――――――――――――
 いずれも平均60%からのダウンですが、選挙前のこの時期の
ダウンは民主党にとって痛いはずです。だから、「まだ先のこと
だ」とか、「実施する前には総選挙で信を問う」とか釈明に追わ
れているのは見苦しいです。
 しかし、この世論調査の数字は、本当に信用できるものなので
しょうか。菅政権誕生直後のある世論調査では、消費税増税や民
主党のマニュフェスト修正には高い支持が出ていたことが夕刊紙
などで報道されたのです。その内容は次のようなものです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 【問3】消費税についてどう思いますか。
  ・現在の5%が妥当       ・・・ 35.0%
  ・10%なら増税してもよい   ・・・ 49.2%
  ・15%までなら増税してもよい ・・・  7.6%
  ・20%までなら増税してもよい ・・・  1.2%
  ・25%までなら増税してもよい ・・・  1.0%
  ・その他            ・・・  6.0%
 【問5】民主党は、子ども手当の減額など、昨年の衆院選で
  のマニフェストの変更も検討していますが、これについて
  どう思いますか。
  ・変更してもよい        ・・・ 73.4%
  ・変更するべきでない      ・・・ 21.0%
  ・その他/わからない      ・・・  5.6%
 http://digest2chnewsplus.blog59.fc2.com/blog-entry-16369.html
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 これは、首都圏成人男女500人に対する電話調査の結果なの
ですが、どこが実施したのかはっきりしないのです。しかし、夕
刊紙などにはその調査結果が大きく掲載されたのです。したがっ
て、菅政権がこれを見ていた可能性は十分あります。
 この時点で菅政権の支持率は60%以上あったのです。そのた
め、菅政権首脳が「これはいける!」と強気に考えても不思議は
ないのです。それに自民党が「消費税10%」をマニュフェスト
に取り上げている──それなら、ウチも打ち出しても大丈夫だと
判断したのではないでしょうか。
 しかし、これは軽率な判断だと思いします。自民党は野党であ
り、民主党は与党なのです。首相が「消費税10%」と口にした
瞬間からそれは現実味を帯びるのです。菅氏はまだ野党気分から
抜けていないのではないかと思います。
 世論──日本的民意に関して、小泉元首相が対イラク武力攻撃
に対する、当時の民主党の直嶋正行議員(現経産相)の質問に対
して次のように答えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 世論は世論であります。尊重しなけりゃならないと思いますけ
 れども、世論の動向と日本全体の利益を考えてどう判断すべき
 かというのは、政治の責任に当たる者として十分配慮しなきゃ
 いけないと思っています。世論の動向に左右されて正しいかと
 いうのは、歴史の事実を見ればそうでない場合も多々あるわけ
 であります。私は、そういう面におきまして、戦争か平和かと
 問われれば、だれだって平和を望みますよ。(略)世論が、あ
 る場合は正しい場合もある、ある場合は世論に従って政治をす
 ると間違う場合もある。それは歴史の事実が証明しているとこ
 ろであります。             ──小泉純一郎氏
     佐藤卓己著『輿論と世論/日本的民意の系譜学』より
―――――――――――――――――――――――――――――
 もともと菅首相がここは消費税を上げなければならないと考え
ていたのであれば、信念を貫けば良いのです。そのような意味で
考えると、45%〜55%の支持率はむしろ高いといえます。
 そうではないから問題なのです。菅氏は与党になってからも消
費税を増税するときは、それこそ雑巾を絞って絞ってもう一滴も
水が出ないほどムダを削って、なおかつ足らなければ、増税をお
願いすることもあるといっていたのです。
 菅氏が財務相のとき、国会の休憩中にある新書本を読んでいる
のをテレビカメラが放映していたのを見たことがあります。その
本をご紹介しておきましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
           与謝野馨著/文春新書
      『民主党が日本経済を破壊する』
―――――――――――――――――――――――――――――
 こういう本を読むこと自体は菅さんらしいといえますが、国会
内で読むときはカバーをつけて何の本かわからないようにすべき
であると思います。それともわざと自民党に見せつける作戦だっ
たのでしょうか。
 ところで、菅政権にはこんな噂があったのです。菅政権が発足
したのは6月8日のことですが、10日になると「衆参同日選」
の噂が流れたのです。シナリオは3つあるのです。1つは所信表
明の演説の直後、2つは16日の会期末、3つは国会を1日延長
した17日です。これでメディアは大騒ぎになって、「ダブル選
予測」まで出す新聞まであったのです。
 これは、郵政法案の採決を迫る国民新党に対するブラフという
見方もあるのです。もうひとつ、今衆院解散を仕掛ければ自民党
は壊滅し、そして「小沢=巨悪」のイメージで、オザワ・チルド
レンの大半は落ちる──そうすれば真の「脱小沢」が実現できる
と考えたのではないか、と。 ──[ジャーナリズム論/46]


≪画像および関連情報≫
 ●『民主党が日本経済を破壊する』の一つの書評
  ―――――――――――――――――――――――――――
  与謝野馨氏と平沼赳夫氏が新党「たちあがれ日本」を結成し
  た時に買った本です。時間的に読む暇が無かったのですけれ
  ど、ようやく読み終えました。読んだ感想として一番に思っ
  たのは「たちあがれ日本」には何も期待できないという事で
  す。この本のタイトルは、民主党への批判です。しかし、与
  謝野氏が、この本を書いた動機は別だと思います。私は、去
  年の選挙前に行った自分の行動の正しさを示すために書いた
  気がするのです。第1章と最期の第7章は民主党批判ですけ
  れど、第2章からして『麻生総理に退陣を迫った日』なので
  すから。与謝野氏が自己弁護するのは構いません。その言い
  分を素直に聞けるかどうかは別にして。それよりも私は、こ
  の本を読んで驚いた事があります。それは与謝野氏自身が、
  『耳学問の与謝野経済学』と明かしてしまっている事です。
  与謝野氏は政策通、経済通と思っていただけに意外でした。
  しかし、これで解った事があります。それは与謝野氏の主張
  が、どうして財務省の主張にそっくりであるかがです。財務
  の役人が意見を与謝野氏の耳に入れ続けたのでしょう。
     http://d.hatena.ne.jp/oguogu/20100426/1272274140
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与謝野氏の民主党批判本.jpg
与謝野氏の民主党批判本
posted by 平野 浩 at 04:10| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャーナリズム論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
菅氏は、市民運動家といわれていますが、市民のことは皆目わかっていないようです。
また、経済のこともからっきしわからず、官僚の「ギリシャのようになる」という言葉を信じ、増税を訴えています。
「1ドルは94円位がよい」と言ったのも出まかせか、官僚の受け売りですね。
この方が総理を続けると日本は危ないと思います。
私もこの思いをブログに書きましたのでお読みいただくと幸いです。
http://civilopinions.main.jp/2010/06/623.html
Posted by 世直し人 at 2010年06月25日 10:57
菅総理が唐突と思える消費税10%を選挙の公約を発表、経済音痴の総理が何故と思っていましたが6月23日BSフジ プライムニュースに大阪大学教授小野善康氏、内閣府参与2010年2月〜菅総理とは10年来の友人と言っていました。消費税増税は私から見れば口がうまく詐欺師的な要素があり、菅総理がまんまと乗っかっての発言ではなかったかと思えます。中身がなくすぐ感化されるような総理では先行きが不安です。今までの消費税導入時、5%に増税した時も消費が冷え込み20年以上の不景気のままです。また現政権が導入しようとはサル以下ではないかと言わざるを言えません。
Posted by MA at 2010年06月25日 19:38
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