2010年06月23日

●「世界中から非難のマトの記者クラブ」(EJ第2840号)

 記者クラブの中で最もプライドの高いのが、司法記者クラブと
財研(財政研究会)記者クラブであるといわれます。すなわち、
財研の記者クラブとは、財務省の記者クラブのことです。
 財研記者クラブは、国内の主要新聞、放送、通信社のほか、海
外メディアも所属しています。「財研」の略称で知られ、各社の
経済部エリートが集い、経済記者の中でのステータスはきわめて
高いのです。彼らの主張は大蔵省時代から一貫して官僚と同じ財
政規律至上主義が多く、財政危機や巨大公共事業反対の論調はこ
こで作られるのです。業界紙などによる別の「財政くらぶ」とい
う団体も財務省内に存在しています。
 以下は、この財研についての亀井前金融相と上杉隆氏との対談
の一部です。
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 亀井:財研に所属する記者クラブの記者たちは、財務省の大本
    営発表にコントロールされて、その感覚でしか予算を見
    ないし、経済を語れない。そういう報道を見た国民は、
    自分たちを不幸な方向に連れて行く予算であっても、拍
    手喝采してしまうんだよ。そういうことから抜け出さな
    いとダメだよ。
 上杉:だから、どうしても縮小予算を是とする報道になりやす
    い、というわけですね。
 亀井:予算編成の責任者である主計局長の任期は基本的に1年
    なので、自分の任期中に組む予算ではできるだけ国債発
    行額を減らしたいと考える。
 上杉:省内での評価はそこで決まるわけですよね。
 亀井:その結果、経済が萎もうが、彼らは関係ない。安穏とし
    た生活は保障されてるから。彼らは優秀なアナリストで
    はなく、予算の「切り屋」なんだよ。彼らには未来を作
    る力がないんだ。だから、おれは、そんな財務省の受け
    売り記事を書いている記者クラブは信用しない。
              ──上杉隆著/小学館101新書
     『記者クラブ崩壊/新聞・テレビとの200日戦争』
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 日本がバフル崩壊後、「失われた20年」といわれるほど、弱
い経済になった責任を私たちは時の政権のせいにします。自民党
が支持率を下げている原因はまさにそれなのです。それは当然の
ことであり、時の政権の責任は免れませんが、もっと悪いのは、
そういう政権を裏から操る財務省の官僚と財研の記者クラブなの
です。彼らは諸悪の元凶なのです。
 日本は経済が立ち直りかけると、すぐ縮小予算を組み、増税を
してそれを潰してきたのです。そのため、20年以上かかっても
デフレから脱却できず、現在もなお、経済は低迷したままです。
 そうなった責任の多くは財務省にあるのです。彼らは、亀井大
臣のいうように「経済が萎もうが、彼らは関係ない。安穏とした
生活は保障されてるから。彼らは優秀なアナリストではなく、予
算の『切り屋』である」という批判は当たっているのです。そし
て、その財務省の作ったシナリオを何の批判も加えず、たれ流し
ているのが、財研の記者クラブなのです。菅政権は手もなくその
財務省の官僚に洗脳され、増税路線に走ろうとしています。小沢
氏のいない民主党の正体見たりという思いです。
 日本のメディアは報道しませんが、2009年11月21日付
の「ニューヨーク・タイムズ」の国際面のトップに亀井大臣の写
真を大きく掲載する記事が出たのです。そのタイトルは次のよう
になっています。
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 日本の新しい指導者たちは記者クラブとの癒着関係に終止符を
 打とうとしている。
 ──2009年11月21日付「ニューヨーク・タイムズ」紙
http://www.nytimes.com/2009/11/21/world/asia/21japan.html?_r=2&ref=global-home
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本の記者クラブは世界中で嫌われているのです。これも日本
のメディアは伝えていませんが、米国の週刊誌である「タイム」
や「ニューズウィーク」が、相次いで東京支局を閉鎖して中国に
移ったことを中国共産党の機関紙である「人民日報」が次のよう
に論評したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 その理由には中国の台頭が背景にあるのはもちろんのことだが
 「記者クラブ」制度が中国にはなく、より簡単に取材できるこ
 とも同時に認められるべきだろう。
          ──2010年1月8日付、「人民日報」
―――――――――――――――――――――――――――――
 自由な言論が保障されていないとして先進国から批判されてい
る中国から、メディアの閉鎖性を指摘されるようでは日本は終り
です。記者クラブメディアは恥ずかしくないのでしょうか。
 歴史作家の井沢元彦氏はこういっています。「テレビの番組名
にまでなっている番記者という言葉があるが、これは自由な報道
とは正反対の象徴である」と。情報を自分たちだけでずっと独占
していればそれは一種の利権と化し、政治家側や官僚側から利用
されやすくなるのです。
 英国人の在日ジャーナリストは、自らの体験から日本の記者ク
ラブを次のように断罪しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本政府は記者クラブによって海外メディアのアクセスを規制
 し、また日本人記者も記者クラブを介して私たちを妨害してい
 ると言える。国の文化という側面もあるだろうから、記者クラ
 ブを組織するのは勝手だが、私たちの取材活動の邪魔をされて
 は困ります。記者クラブは有害であり、日本の新聞を退屈にし
 ているのではないか。      ──上杉隆著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
              ──[ジャーナリズム論/44]


≪画像および関連情報≫
 ●「記者クラブをめぐる『ほんとうの話』」/神林毅彦氏
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  何度か会ってくると「ささやき」をするアメリカ人がいる。
  そのささやきに共通しているのは「日本の一番の問題は日本
  の大学とメディア」だということだ。これには異論があるだ
  ろうが、自分の経験からも、やはり、アメリカと一番異なる
  のはこの二つではないかと思う。もちろん、日本人や欧米の
  人も同じことを「ささやく」。しかし、この「ささやき」を
  大手メディアの人間や日本の大学教授にするだろうか。
  http://www.news.janjan.jp/media/0904/0903310594/1.php
  ―――――――――――――――――――――――――――

ニューヨーク・タイムズ紙と亀井前大臣.jpg
ニューヨーク・タイムズ紙と亀井前大臣
posted by 平野 浩 at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャーナリズム論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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