2010年06月18日

●「マスメディアの真の役割は何か」(EJ第2837号)

 前にも書きましたが、最近のメディアの報道にはいささか問題
があると思います。そのため、無批判に特定の新聞やテレビの報
道を見ていると、物事に対する考え方が偏ってしまう傾向があり
ます。これは恐ろしいことです。
 とくにネットは一切見ないで表のメディアの報道だけを見てい
ると真実を見失ってしまう危険があります。現代は複数のメディ
アを参照しないと真実は見えてこないのです。
 EJは小沢氏を擁護し過ぎるというコメントをいただくことが
あります。しかし、EJではほとんどの小沢氏に関する書籍や諸
雑誌──小沢氏を支持するものだけでなく、批判するものの両方
を集めてていねいに読み、それに加えて可能な限りの情報を表の
メディアやネットも含めて収集し、努めて客観的に書いているつ
もりです。その結果、どのように考えても、昨今の世間の小沢叩
きは異常と考えるのでそう書いているだけです。しかし、世の中
にはそれが当たり前だと考えている人が多いようです。
 国民新党の亀井静香代表が6月14日の大臣記者会見で次のよ
うにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 電話調査はカネをかけないでできるからか、マスコミが毎週世
 論調査をやっている。やりすぎだ。芸能人の人気のようにパー
 ッと上がったり、捨てられたり目まぐるしい。国民は大脳皮質
 で考えていない。非常に感覚的な面が強い。支持率にあまりこ
 だわらず、支持率がゼロになっても、国民にとってやるべきこ
 とはやるんだという覚悟が政党にないと代議制の意味がない。
 代議制では選ばれた人が自信をなくして世論を気にしている。
                 ──亀井静香国民新党代表
            6月15日発行「日刊ゲンダイ」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 最近の電話調査はRDD方式──ランダム・ディジット・ダイ
アリングといわれ、コンピュータで乱数計算を基に電話番号を発
生させて電話をかけ、応答した相手に質問を行なう方式を大手メ
ディアは採用しています。しかし、いきなり電話をかけるので、
あまり深く考えず、適当に答えたり、イエスかノーかで聞くケー
スが多くなるので、イエスが多くなる傾向があるといわれます。
つまり、「どちらともいえない」という中間的なケースも、イエ
スかノーで答えてしまうこともあるのです。鳩山内閣や菅内閣の
支持率もこの電話調査で調べているのです。
 例えば、「小沢氏は幹事長を辞任すべきだったと思いますか」
とか、「鳩山首相の普天間対応を評価しますか」と聞かれれば、
それぞれ「イエス」「ノー」と答えるはずです。ちなみに実際に
被調査対象者に直接会って聞き取る時事通信の対面調査では、菅
内閣の支持率は41.2%であって、新聞社の調査と20%もの
差があるのです。果たしてどちらが本当の支持率をあらわしてい
るのでしょうか。
 従来は、電話帳を基にして調査員が直接電話をかけていたので
すが、電話帳に自宅の電話番号を掲載しない人も多くなったので
RDD方式を採用するようになったというのです。
 しかし、いずれにせよ、かけるのは固定電話だけであり、携帯
電話は入っていないのです。改めていうまでもなく、現代は携帯
電話の時代であり、固定電話はほとんど使わない人も少なくない
のです。さらに調査をするのは昼の時間帯であると考えられるの
で、その時間帯に固定電話に出る人はかなり限定された層である
ということになります。そのような電話調査の結果は、本当に世
論を代表しているといえるのでしょうか。
 ちなみに、朝日新聞の世論調査によると、子ども手当の来年度
からの満額支給断念に対して72%が賛成し、読売新聞では消費
税率の引き上げについて66%が賛成という結果が出ているので
す。これらはいずれもRDD方式の電話調査なのです。これは果
たして本当に国民の声を反映しているのでしょうか。
 民主党は、菅政権の支持率が意外にも非常に高いので、少しで
も早く選挙を行おうとしていますが、宮崎の口蹄疫の感染が終息
しない現在、果たして選挙を行うべきでしょうか。少なくとも、
宮崎県は選挙どころではないはずです。
 口蹄疫と選挙との関係について私たちは、英国のケースを参考
にすべきであると思います。
 1967年11月にイングランド中西部シュロプシャー州で口
蹄疫が発生。感染源は輸入肉とされたため、家畜や畜産品の輸入
を停止するとともに、のべ44万人の軍隊を投入、40万頭以上
を殺処分にし、感染の根絶に7カ月を要したのです。これは英国
にとって貴重な経験であったはずです。
 しかし、この「初期対応のスピードがすべて」という教訓は生
かされなかったのです。2001年2月、ブレア政権の時代、同
南東部エセックス州で感染が確認されたものの、初動が遅れて、
のべ21万人の軍隊が650万頭以上を殺処分にし焼却したので
す。ブレア首相は総選挙や地方選挙を1カ月延期して、政府が事
実上の終結宣言を出したのは翌2002年1月のことだったので
す。影響は畜産業にとどまらず観光業や地方経済に広がり、被害
総額は80億ポンド。当時の為替レートを1ポンド=180円で
換算すると1兆4400億円にのぼったのです。これによってブ
レア政権は大きく評判を落としたのです。
 2007年にも口蹄疫が流行したのですが、このときはブラウ
ン前首相が陣頭に立ち、感染の早期根絶に成功しています。それ
までの経験を生かした対策を取ったからです。
 この話は現在の日本でも参考になるはずです。一部の自民党議
員がテレビの政治番組で英国のブレア政権の失敗について話して
はいますが、新聞やテレビは、内閣の支持率ばかり調べていない
で、こういう問題こそ取り上げるべきであると思います。それこ
そメディアの真の役割であると思うのです。すべてをチェックし
ていませんが、取り上げたところはなかったと思います。
――――――――――――――──[ジャーナリズム論/41]


≪画像および関連情報≫
 ●「朝日RDD」方式とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  朝日新聞社では、「電話」「面接」「郵送」などの方法で、
  国民の意見を探るさまざまな世論調査を実施しています。こ
  のうち、内閣支持率などを調べる毎月の調査や、大きな出来
  事があったときに実施する緊急調査は、「朝日RDD」方式
  による電話調査で行っています。朝日新聞社では、選挙情勢
  を探る調査で、1999年11月の奈良県知事選挙から、調
  査方法を「朝日RDD」方式に切り替え、選挙結果の予測な
  どが正確にできることを確認しました。そのうえで、200
  1年4月から内閣支持率などを調べる全国世論調査について
  も「朝日RDD」方式に切り替えました。
       http://www.asahi.com/special/08003/rdd.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

亀井大臣退任会見.jpg
亀井大臣退任会見
posted by 平野 浩 at 04:14| Comment(1) | TrackBack(0) | ジャーナリズム論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
朝日新聞は伝統的に自発的に民主党と北朝鮮の機関紙であることを標榜している。
Posted by 左巻き菅 at 2010年06月18日 10:58
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