があると思います。そのため、無批判に特定の新聞やテレビの報
道を見ていると、物事に対する考え方が偏ってしまう傾向があり
ます。これは恐ろしいことです。
とくにネットは一切見ないで表のメディアの報道だけを見てい
ると真実を見失ってしまう危険があります。現代は複数のメディ
アを参照しないと真実は見えてこないのです。
EJは小沢氏を擁護し過ぎるというコメントをいただくことが
あります。しかし、EJではほとんどの小沢氏に関する書籍や諸
雑誌──小沢氏を支持するものだけでなく、批判するものの両方
を集めてていねいに読み、それに加えて可能な限りの情報を表の
メディアやネットも含めて収集し、努めて客観的に書いているつ
もりです。その結果、どのように考えても、昨今の世間の小沢叩
きは異常と考えるのでそう書いているだけです。しかし、世の中
にはそれが当たり前だと考えている人が多いようです。
国民新党の亀井静香代表が6月14日の大臣記者会見で次のよ
うにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
電話調査はカネをかけないでできるからか、マスコミが毎週世
論調査をやっている。やりすぎだ。芸能人の人気のようにパー
ッと上がったり、捨てられたり目まぐるしい。国民は大脳皮質
で考えていない。非常に感覚的な面が強い。支持率にあまりこ
だわらず、支持率がゼロになっても、国民にとってやるべきこ
とはやるんだという覚悟が政党にないと代議制の意味がない。
代議制では選ばれた人が自信をなくして世論を気にしている。
──亀井静香国民新党代表
6月15日発行「日刊ゲンダイ」より
―――――――――――――――――――――――――――――
最近の電話調査はRDD方式──ランダム・ディジット・ダイ
アリングといわれ、コンピュータで乱数計算を基に電話番号を発
生させて電話をかけ、応答した相手に質問を行なう方式を大手メ
ディアは採用しています。しかし、いきなり電話をかけるので、
あまり深く考えず、適当に答えたり、イエスかノーかで聞くケー
スが多くなるので、イエスが多くなる傾向があるといわれます。
つまり、「どちらともいえない」という中間的なケースも、イエ
スかノーで答えてしまうこともあるのです。鳩山内閣や菅内閣の
支持率もこの電話調査で調べているのです。
例えば、「小沢氏は幹事長を辞任すべきだったと思いますか」
とか、「鳩山首相の普天間対応を評価しますか」と聞かれれば、
それぞれ「イエス」「ノー」と答えるはずです。ちなみに実際に
被調査対象者に直接会って聞き取る時事通信の対面調査では、菅
内閣の支持率は41.2%であって、新聞社の調査と20%もの
差があるのです。果たしてどちらが本当の支持率をあらわしてい
るのでしょうか。
従来は、電話帳を基にして調査員が直接電話をかけていたので
すが、電話帳に自宅の電話番号を掲載しない人も多くなったので
RDD方式を採用するようになったというのです。
しかし、いずれにせよ、かけるのは固定電話だけであり、携帯
電話は入っていないのです。改めていうまでもなく、現代は携帯
電話の時代であり、固定電話はほとんど使わない人も少なくない
のです。さらに調査をするのは昼の時間帯であると考えられるの
で、その時間帯に固定電話に出る人はかなり限定された層である
ということになります。そのような電話調査の結果は、本当に世
論を代表しているといえるのでしょうか。
ちなみに、朝日新聞の世論調査によると、子ども手当の来年度
からの満額支給断念に対して72%が賛成し、読売新聞では消費
税率の引き上げについて66%が賛成という結果が出ているので
す。これらはいずれもRDD方式の電話調査なのです。これは果
たして本当に国民の声を反映しているのでしょうか。
民主党は、菅政権の支持率が意外にも非常に高いので、少しで
も早く選挙を行おうとしていますが、宮崎の口蹄疫の感染が終息
しない現在、果たして選挙を行うべきでしょうか。少なくとも、
宮崎県は選挙どころではないはずです。
口蹄疫と選挙との関係について私たちは、英国のケースを参考
にすべきであると思います。
1967年11月にイングランド中西部シュロプシャー州で口
蹄疫が発生。感染源は輸入肉とされたため、家畜や畜産品の輸入
を停止するとともに、のべ44万人の軍隊を投入、40万頭以上
を殺処分にし、感染の根絶に7カ月を要したのです。これは英国
にとって貴重な経験であったはずです。
しかし、この「初期対応のスピードがすべて」という教訓は生
かされなかったのです。2001年2月、ブレア政権の時代、同
南東部エセックス州で感染が確認されたものの、初動が遅れて、
のべ21万人の軍隊が650万頭以上を殺処分にし焼却したので
す。ブレア首相は総選挙や地方選挙を1カ月延期して、政府が事
実上の終結宣言を出したのは翌2002年1月のことだったので
す。影響は畜産業にとどまらず観光業や地方経済に広がり、被害
総額は80億ポンド。当時の為替レートを1ポンド=180円で
換算すると1兆4400億円にのぼったのです。これによってブ
レア政権は大きく評判を落としたのです。
2007年にも口蹄疫が流行したのですが、このときはブラウ
ン前首相が陣頭に立ち、感染の早期根絶に成功しています。それ
までの経験を生かした対策を取ったからです。
この話は現在の日本でも参考になるはずです。一部の自民党議
員がテレビの政治番組で英国のブレア政権の失敗について話して
はいますが、新聞やテレビは、内閣の支持率ばかり調べていない
で、こういう問題こそ取り上げるべきであると思います。それこ
そメディアの真の役割であると思うのです。すべてをチェックし
ていませんが、取り上げたところはなかったと思います。
――――――――――――――──[ジャーナリズム論/41]
≪画像および関連情報≫
●「朝日RDD」方式とは何か
―――――――――――――――――――――――――――
朝日新聞社では、「電話」「面接」「郵送」などの方法で、
国民の意見を探るさまざまな世論調査を実施しています。こ
のうち、内閣支持率などを調べる毎月の調査や、大きな出来
事があったときに実施する緊急調査は、「朝日RDD」方式
による電話調査で行っています。朝日新聞社では、選挙情勢
を探る調査で、1999年11月の奈良県知事選挙から、調
査方法を「朝日RDD」方式に切り替え、選挙結果の予測な
どが正確にできることを確認しました。そのうえで、200
1年4月から内閣支持率などを調べる全国世論調査について
も「朝日RDD」方式に切り替えました。
http://www.asahi.com/special/08003/rdd.html
―――――――――――――――――――――――――――
亀井大臣退任会見


