2010年06月07日

●「鳩山首相の無血クーデター/親指の意味」(EJ第2828号)

 政治評論家の鈴木棟一氏が興味深いことをいっています。鳩山
・小沢ダブル辞任は「鳩山の無血クーデター」であるというので
す。民主党の創立者である鳩山氏と菅氏は、自民党との二大政党
の一つという地位を確立しましたが、政権交代には自民党との間
に絶望的ともいえる差があったのです。
 そこで選挙に勝って政権交代を達成するため、鳩山氏と菅氏は
小沢氏率いる自由党と民主党の民由合併を図り、小沢グループに
民主党のひさしを貸したのです。おそらくこの時点では、本当に
政権交代が実現できるとは思っていなかったはずです。
 しかし、小沢氏の政治力は抜群であり、メール問題で前原代表
(当時)が辞任してガタガタになっていた民主党を、党代表に就
任して立て直し、その勢いを止めようとした検察によって代表を
辞任したものの、2007年の参院選を勝ち抜き、2009年の
衆院選で圧勝して、遂に政権交代が実現したのです。もし、小沢
氏がいなければとても実現しなかったといっても過言ではないと
思います。ところがせっかくの鳩山政権は、首相の政権運営があ
まりにも稚拙であり、加えて首相自身と小沢幹事長の政治とカネ
の問題があって、支持率が急落したのです。
 しかし、小沢幹事長の政治とカネの問題については謀略の疑い
が濃厚であり、EJではそのことを多くの情報を提示して説明し
てきたつもりです。小沢事件に関しては、仙谷国家戦略相に近い
郷原信郎弁護士など、限りなく「シロ」であると主張している人
が多く、それを示す資料は誰でも容易に入手できるのです。
 しかるに、いわゆる反小沢派といわれる人々は、そのほとんど
が弁護士であるにもかかわらず、それが実質的には民主党への卑
劣な攻撃であるのに何の手助けもせず、繰り返し説明責任と辞任
を迫るという権力闘争に終始したのです。明らかにこの事件の責
任をとって小沢氏に辞めて欲しいという意図は明らかです。用事
は済んだので、辞めてくれとは実に身勝手な話です。
 しかし、何といっても民主党の支持率低下に拍車をかけたのは
首相の普天間問題の迷走なのです。今ある情報を総合すると、昨
年末には代替基地は普天間しかないとわかっていたにもかかわら
ず、「最低でも県外」と主張して沖縄の人の心を弄んだ挙句、結
局普天間で日米共同宣言をしたのです。これに反発して社民党が
政権離脱して支持率がさらにダウンすると、今度は小沢幹事長を
道連れにして辞任し、政権を放り出したのです。小沢氏もこれほ
どひどいとは考えてもいなかったと思います。
 確証はありませんが、さまざまな情報を分析した結果、鳩山首
相(当時)の小沢氏道連れ辞任については、事前に菅副総理と相
談していたものと思われます。時期は小沢幹事長と輿石参院幹事
長が鳩山氏を尋ねた前後であると思われます。その前から鳩山氏
と小沢氏は電話で次のようなやり取りをしていたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 『社民党を切ってはならない。選挙協力をどうするのだ』と小
 沢氏は強く言っていた。普天間の決着は、もう少し、選挙後ま
 で延ばせばいいじゃないか、と。
     ──「鈴木棟一の風雲永田町」4日発行「夕刊フジ」
―――――――――――――――――――――――――――――
 この時点で鳩山氏は辞任を考えていたと思います。「オバマを
取るか小沢をとるか」──結局首相として何かを残したい鳩山氏
は、オバマを取り、小沢幹事長を道連れにして自爆テロを行なっ
たのです。オバマに褒めてもらいたかったのです。
 2回目に鳩山氏が小沢、輿石両氏と会ったとき、鳩山氏は小沢
氏に幹事長辞任を迫っているのです。そのとき、小沢氏が辞任を
受け入れたので、鳩山氏は外に出たとき、親指を立てたのです。
これは菅副総理への勝利のサインであると考えられます。
 要するに、これは鳩山──菅両氏の出来レースなのです。両氏
としては、小沢氏に「ひさしを貸して母屋を取られた」と考えた
ので、自分が小沢氏と道連れ辞任をすることで、クリーンな民主
党を取り戻したという構図なのです。
 さて、4日に菅首相が確定すると、直ちに仙谷官房長官、枝野
幹事長という情報が駆け巡り、ちょっとした騒ぎになって首相の
記者会見が大幅に遅れたのです。これは菅首相サイドが作成した
執行部の主要人事と主要閣僚リストが流れたからです。わざと流
したのか、漏れたのかはわかりませんが、そういうものが既にで
きていたことは確かなのです。したがって、菅氏は、かなり前か
ら準備していたフシがあります。
 もし、今回の民主党内の政権交代が、鳩山・菅の連携プレイで
あったとすると、このさい徹底的に「小沢外し」をやってくると
思います。今回は「小沢色を消す」という大義名分があるので、
菅首相にとっては絶好のチャンスといえます。ポイントになるの
は「枝野幹事長」があるかどうかです。この原稿を執筆している
5日正午の時点では、菅氏のグループ内から反対意見が相次いだ
ということで、ペンディングになっていますが、この人事は変わ
らないと思います。逆にこれが変わるようであれば、菅氏のリー
ダーシップに疑問符が付きます。
 この人事があると、枝野氏は小沢氏がこれまで組み立ててきた
システムをすべて壊してくると思われます。会期を延長したのは
郵政法案を通すためだけでなく、政調会の復活や参院選の戦い方
まで干渉してくる可能性があります。もっと露骨にやると、小沢
氏に政倫審での説明が証人喚問を求めることもあると思います。
国対が変わると、それは十分あり得ることです。
 しかし、これは危険な賭けであると思います。小沢グループは
一斉に反発し、党内は混乱します。現在、国対幹部は小沢グルー
プで占められ、選挙は小沢氏が一手に握っています。もし、枝野
氏がこれに手を突っ込んでくると、小沢グループは選挙から一斉
に手を引くでしょう。それで選挙が戦えるのでしょうか。
 かつて小沢氏が辞めるといったとき、それを思いとどまるよう
説得したのは、誰だったでしょうか。鳩山氏と菅氏ではありませ
んか。          ―──[ジャーナリズム論/32]


≪画像および関連情報≫
 ●岩手総決起大会での小沢一郎氏のビデオ演説
  ―――――――――――――――――――――――――――
  菅直人新首相が誕生した6月4日、「小沢王国」といわれる
  岩手では、盛岡市で参院選に向けた民主党県連主催の「総決
  起集会」が行われた。当初は出席の見通しだった小沢一郎氏
  は欠席したものの、ビデオで心境を語った。小沢氏は今回の
  幹事長辞任について「ご迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪。
  「いったんは幹事長から身を引いたが、本当の意味で私の理
  想を実現するため頑張っていく」と思いを語ると約1500
  人の民主党支持者が埋め尽くした会場から拍手がわいた。た
  だ、小沢氏は「理想」の具体的中身は語らなかった。
  ―――――――――――――――――――――――――――

鳩山首相勝利のサイン.jpg
鳩山首相勝利のサイン
posted by 平野 浩 at 04:15| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャーナリズム論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
実は4月に前原氏が鳩山氏を訪ね、「小沢氏を切れ、創立当時のクリーンな民主党に戻そう!」と迫ったのです。
その後、水面下で7奉行を中心に小沢外しのクーデターが画策されたのです。

小沢氏は初め気づいていなかったようだが、
1日、30分の会談の後、出てきた顔はゆがんでいた。
一方、幹事長の首を切れた鳩山氏は、意気揚々と親指をあげたのです。
辞任の時に述べたスピーチの内容は、ほとんど4月に決まっていたようなものだ。

だから菅氏が面会を申し込んでも、小澤氏は突っぱね続けて会わなかったのです。
首相が辞めるなら、これを機に自分も辞めた方が、選挙に勝てると考えたから、特に騒ぎはしなかったが、菅総理誕生直後に、秋から先頭を走ると宣言したのです。

人を裏切らない小沢氏。
武村氏を切った鳩山氏がクーデターを起こした。

そうして誕生した菅政権は、小沢氏が率いてきた路線とかなり違ったものになりそうだ。
特に、玄葉氏のような新自由主義者を重用しているので、今までの民主党と変質してしまいそうである。


Posted by 新党 一人 at 2010年06月07日 11:12
日経・読売は、虚報まで出して国民に「小沢=悪」を植えつけました。

日経・読売の虚報問題を日経本社に追及し開設したブログに載せました。

皆さん拡散よろしくお願いします。

「一市民が斬る!!」

http://civilopinions.main.jp/

Posted by 世直し人 at 2010年06月09日 19:02
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