2010年05月28日

●「小沢問題/どこに違法性があるのか」(EJ第2822号)

 小沢氏をはじめ、大久保・石川・池田3氏の逮捕・起訴で問わ
れているのは、陸山会による東京都世田谷区の土地購入を巡る事
件での「政治資金規正法違反(虚偽記載)」です。
 これについての詳細は、5月4日の休日特集号/02を参照し
ていただくとして、その核心部分は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2004年10月末に行われた東京都世田谷区深沢所在の土地
 取引は何であったのかというと、陸山会にとっては、その土地
 を押さえる手続き上のプロセスに過ぎないのです。この時点で
 は登記も個人小澤一郎との契約もできていないので、それがで
 きた時点で行うこととして、2004年度陸山会政治資金収支
 報告書には記載されず、契約ができた2005年度に正しく記
 載されたのです。これが「期ずれ」の原因です。
                 ──EJ休日特集号/02
http://electronic-journal.seesaa.net/article/148698542.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 休日特集号/02では、「期ずれ」にはちゃんとした理由があ
り、そこに違法性など何もないことを明らかにしてありますが、
もうひとつ新しい事実が出てきたのです。
 それは、2004年10月時点の世田谷区の土地の地目は農地
であることです。そうであるなら、小沢氏の名義は「所有権移転
請求権」に過ぎず、小沢氏に所有権は移転していないのです。そ
して2005年1月に農地転換が完了し、地目が宅地になった時
点ではじめて小沢氏名義の本登記が完了されているのです。
 したがって、陸山会における事務所費計上は、農地では法的に
困難であるので、農地時点での10月の事務所費記載は記載され
ていなくて当然なのです。そうなると、「期ずれ」ですらないと
いうことになります。一体どこに犯罪性があるのでしょうか。
 一番わからないのは、司法試験に合格して検事に任官された人
の中で、最も優秀な人だけが集まるといわれる東京地検特捜部の
検事ともあろう人が、こんな基礎的な法的事実がなぜわからない
のかということです。
 元検事の郷原信郎氏は、現時点でも多くの国民は──おそらく
検察審査会で小沢氏に「起訴相当」を議決した11人の審査員も
含めて──この事件を次のように考えているに違いないと自著で
述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ほとんどの国民が、小沢氏から四億円の現金が提供されている
 のに陸山会の2004年の収支報告書には、「小沢氏からの借
 入金」についての記載がまったくなく、それが政治資金規正法
 違反に問われているものと思っていたはずだ。『サンデープロ
 ジェクト』に出演した私が、「陸山会の2004年の収支報告
 書に借入金として小沢氏からの四億円が記載されている」と発
 言した途端、司会の田原総一朗氏は「ええっ」と驚樗の声を上
 げ、スタジオ中が静まりかえった。     ──郷原信郎著
            『検察が危ない』/ベスト新書274
―――――――――――――――――――――――――――――
 郷原氏が述べている『サンデープロジェクト』は私も見ていた
ので、新聞関係者がうろたえていたのをよく覚えています。新聞
社は、きちんと事実を調べないで憶測記事を書いているのでしょ
うか。そうであるとしたら、メディアも劣化しています。
 郷原氏の本を読むと、『サンデープロジェクト』で郷原氏が4
億円の借入金が記載されていると指摘したあと、読売新聞の記者
が郷原氏の事務所を訪れ、『サンデープロジェクト』での発言に
ついて抗議してきたというのです。記載されているものを記載さ
れているといってなぜ抗議されなければならないのでしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「陸山会の収支報告書に小沢氏からの借入金四億円の記載があ
 ると私が発言したために、世の中の多くの人は、その記載があ
 ることで政治資金規正法違反が成立しないかのように思い込み
 新聞がその事実を意図的に報じてこなかったように誤解した。
 私のテレビでの発言で世の中がハレーションを起こしている」
 というようなことを言って私の発言を批判してきた。それがま
 ったく的外れの批判であることは、既に述べたところからも明
 らかであろう。              ──郷原信郎著
            『検察が危ない』/ベスト新書274
―――――――――――――――――――――――――――――
 一連の小沢報道において、メディアの中で一番小沢氏──とい
うより民主党政権──に悪意をもって書いているのは、読売新聞
と産経新聞ですが、それにしてもよくこんな幼稚なことで大新聞
の記者が抗議にこれるものかとあきれてしまいます。
 「小沢=巨悪」と考えている人たちから見ると、この郷原信郎
氏という元検事を小沢寄りの人物ととらえていると思いますが、
ぜんぜん違うのです。
 郷原氏は民主党の政治家では、反小沢派とされる仙谷由人議員
と長年親交があり、仙谷氏の紹介で原口一博議員や枝野幸夫議員
とも協力関係にあったのです。このような経緯で郷原氏は小沢氏
が代表になる前から、主として仙谷氏を中心とするグループに参
加して、いろいろな仕事をしてきたのです。
 しかし、小沢氏が代表になると、小沢グループの力が強くなり
仙谷氏のプロジェクトの予算が削られることもあったのです。つ
まり、郷原氏にとって小沢氏は「百害あって一利なし」という存
在であり、けっして小沢親派などではないのです。
 その郷原氏でも、今回の検察の捜査のやり方はあまりにも乱暴
であり、支離滅裂であるというのです。あの宗像氏でさえテレビ
の番組では検察擁護の立場に立つものの、番組終了後の話では検
察の暴走を認めているのです。
 検察とメディアが一体となって動くと、これからも冤罪は続出
します。一度でも検察に睨まれると、誰でも巨悪にされてしまう
からです。        ―──[ジャーナリズム論/26]


≪画像および関連情報≫
 ●郷原信郎著『検察が危ない』/ベスト新書の書評
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「検察が危ない(ベスト新書)」が話題になっています。ど
  のようなきっかけでこの本を書かれたのでしょうか。
  本のタイトルである「検察が危ない」には2つの意味があり
  ます。ひとつは、このところ質の劣化した捜査で暴走を繰り
  返す特捜検察が、社会にとって"危ない"存在になっていると
  いうこと。もう一つは、そういった存在になってしまった検
  察組織そのものも"危ない"状態にあるということです。
  http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/05/post_561.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

郷原信郎著『検察が危ない』.jpg
郷原 信郎著『検察が危ない』
posted by 平野 浩 at 04:12| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャーナリズム論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
世田谷の土地についての追加
地目「畑」が「宅地」に変更されるためには農地転用だけでなく建物が建っていることが必要です。従って仮登記をした日から本登記をした2ヶ月余りの日数で、農地転用・建築確認・建築工事を終えたことになります。このようなことが04年中に完了して年内に本登記できたということを立証しないと虚偽記載にもならない。検察審査会が共謀の認定の前にすべきことだと思います。
Posted by 竹崎 元 at 2010年05月28日 07:48
 基本的にご指摘の点は賛成ですが、本件土地については都市計画法上の「市街化区域」であるとの情報もあるようです。そうすると、「農業委員会の農地法5条の転用目的譲渡許可」は不要で、届け出だけで足りますね。 この点精査する必要がありますね。
 私は、「所有権移転時期は代金支払い時に限定されず、当事者で任意に定めることが出来る」ことが根本にあり、本件はそれを移転登記時としたに過ぎず、それゆえ「期ずれ」には「虚偽」は存在しない、と考えています。政治資金規正法上も、同土地取得が報告されているのですから、全く問題はなく、検審の補助員弁護士のヤメ検兼ヤメ判が無能だったととらえていますが。
Posted by 豊後魂 at 2010年05月29日 17:11
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